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獲物


 古代兵器の体内。胃の部分。

 そこでは血爆のマーガレットに果敢に挑むバネッサがいた。


 ボンッ!


 度々起こる爆発。

 それはマーガレットが常時発動している爆破バリアに何かが触れる音だった。


「はあっ!」


 バネッサの大剣がマーガレットに接近する。

 しかし…………


 ボンッ!


 攻撃は爆破によって防がれ、代わりにバネッサの腕がボロボロになってしまった。

 その爆破を何度受けたのだろうか?

 バネッサの腕は血と火傷に塗れ、今にも武器の大剣を落としてしまいそうだ。


「しつこいわねぇ。もう諦めたらぁ?」

「っ…………お生憎と、アタシは諦めが悪いのさ。それに、あんたの魔力にも限界があるんだろう?」


 マーガレットの眉がピクリと動く。

 そしてバネッサはさらに言葉を続けた。


「それにあんたが攻撃してこないのは、アタシの一撃を怖がってるからさ。あんたは攻撃と防御を同時にできない。アタシの攻撃を一発でもくらえばあんたは負けることがわかってる。だから攻撃せずに防御ばかりしているんだろう? 見ての通り、アタシがあんたの攻撃に耐えてしまっているから」


 バネッサの指摘は当たっていた。


「ふ〜ん、意外とかしこいのねぇ。バネッサちゃんって……もっと脳筋な子だと思ってたわぁ。でもねぇ〜」


 マーガレットがバネッサに急接近する。


「攻撃できないっていうのは間違いよぉ」


 手のひらが開かれ、そこから収束された爆発がバネッサに向けて放たれた。


「っ……あ゛ぁっ!」


 回避もせずに覚悟を決めて受けることにしたバネッサ。その代償は大きいが同時にチャンスでもあった。

 今なら防御が間に合わない。

 バネッサはマーガレットの首をめがけて大剣を振った。

 しかし………………


 ボンッ!


 一歩踏み込んだバネッサの足下で爆発が起き、バネッサは衝撃で転がる。


「ぁ……はぁ……っ……な、何が……」

「最初からこうすればよかったわぁ。剣士にとって踏み込みの一歩は大事でしょう? だからね、そこに罠を仕掛けたのよぉ。あはははっ! 狙い通り爆発してくれてありがとう。バネッサちゃん」


 マーガレットの手のひらが爆熱で赤く染め上がる。

 同時にバネッサは死を悟った。


 ――すみません。団長……アタシは、どうやらここまでのようです……。


「楽しい狩りだったわぁ。さようなら。バネッサちゃん」



 ドガンッ!!



 トドメを刺そうとするマーガレットは、その音に攻撃を中止し、振り返る。

 広間の中央付近。壁が壊されるような音だ。

 バネッサは失いそうな意識を保ち、その土煙が晴れるのを見て、希望の光を目に宿した。

 天井を突き破り、そこに現れたのは…………


「やっと大きな部屋に出たわねぇ! ここに核はあるかしら? スイとクルルよりは早く見つけたいわね。負けたら何言われるかわかったもんじゃないわ」


 自分のことは棚に上げてそう呟くエリス。

 そして、エリスは気配を感じて振り向いた。

 ボロボロになり床に倒れているバネッサと、その近くにいる敵。


 ボンッ!!


 瞬間、マーガレットの側で爆発が起きる。マーガレットはその衝撃で距離を取った。取らされていた。

 先程までマーガレットがいた場所には、いつの間にかエリスがいたからだ。


 ――なに、この子……。


 マーガレットは表情を強張らせる。そして自分の勘に従って咄嗟に防御術式を組み込んだのは間違いではなかったと悟った。


「ねぇバネッサ。あれ、貰っちゃってもいいのよね?」


 拳と手のひらを合わせて気合いを入れるエリス。

 そんなエリスを見て、バネッサは微笑みながら言った。


「あぁ、くれてやるさ。どうやらアタシには大きすぎる獲物だったみたいだからね」


 狩る側と狩られる側。交代の時間だ。




「殺すなって言われてるから武器は使わないであげるわ。寛容なこの私に感謝しなさい!」


 ビシッ!

 マーガレットに指をさして宣言するエリス。

 マーガレットはその言葉に少しだけホッとするが、同時に目の前の少女は自分を逃すつもりがないと悟った。

 この古代兵器の体内が迷路であろうとどこまでも追ってくるだろう。

 必然、マーガレットが取れる選択肢は一つになる。


「あらぁ、お姉さん嬉しいわぁ。手加減してくれるなんて、感激しちゃうわねぇ!」


 ボンッッッ!!!!


 今までよりも一段階強い爆発魔法。

 エリスの後ろにいるバネッサ諸共葬るつもりで放った魔法だ。

 庇っても死ぬ。庇わなくても死ぬ。

 それがマーガレットの取った選択肢だった。

 しかし…………


「ちょっと! いきなり攻撃してくるなんて卑怯じゃない! 攻撃する時は攻撃しますって言いなさいよね!」


 目の前の少女は、エリスは無傷でその場に立っている。

 挙げ句の果てに文句まで言ってくる始末だ。

 その姿を見てめちゃくちゃだ。と思ったのはエリスに護られているバネッサだった。

 先程まで自分を殺そうとしたマーガレットだが、今は同情しかできない。


「というわけで――」


 ボコッ!

 エリスのパンチがマーガレットの頬を捉え、地面を転がる。


「殴るわね」


 マーガレットは口から出る血と鼻血を押さえながら起き上がった。


「殴る前に……いいなさいよぉ……」

「ちゃんと殴る前に言いましたぁ! 声が遅いのよ! 声が!」

「そんなわけ……ねぇだろぉぉ!」


 ボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンッ!!!!!!!!!


 キレたマーガレットがエリスに向かって無数の爆発魔法を飛ばす。

 その中にはエリスに向かわずバネッサや天井に向かうものもあった。


「もう危ないでしょう」


 スパンッ!


「はぁ?」


 マーガレットは信じられないものを見る。

 エリス自身に当たらない魔法を、エリスが手刀で消し去ったのだ。

 そして………………


 ボコッ!!


 再びマーガレットの顔に急接近したエリスの拳が炸裂した。


「あっ、殴るって言い忘れちゃった。ごめんね」

「もう気絶してるよ。聞こえてないさね」


 バネッサ・エリス対マーガレット。

 決着。



お読みいただきありがとうございます。

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