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VS闇ギルド②


 にゃふふっ。


 僕は黒猫の姿で炎を纏う虎の前に立った。

 悪魔の因子のせいで弱体化してしまったが、タケミカヅーチ様のもとで鍛えた身体の動かし方は忘れていない。

 それに勝算もある。

 人相手では厳しいが、獣相手には負ける気がしにゃい。


「にゃ〜ご!」

「ふ〜ん、あんたもペットを飼っていたとはねぇ」

「ペットじゃないよ。頼もしい仲間さね」


 任せていいんだろうね?

 とバネッサ姐さんが目で確認してくる。

 もちろんです。

 と目で応えた。


「行きなエンコ! あの黒猫を丸焼きにしておやり!」

「ガウゥッ!」


 エンコが突進をしてきた。確かに近づいただけで焼死しそうだ。

 僕も負けていられない。


「死ねにゃ!」


 黒雷砲、発射!

 ちっ、躱されたか。


「……今、その猫喋らなかったかい?」

「聞き間違いさね」

「いや、今確かに喋ったような……もう一度突っ込みな、エンコ!」

「ガウゥッ!」

「死ねにゃ!」

「やっぱり喋ってるじゃないかい!?」


 ちっ、やっぱり躱された。黒雷砲って威力はあるけど直線攻撃だから見切られやすいんだよな。


「喋る猫なんて珍しいじゃないかい? 捕まえてアタシ好みに調教してやるよ!」


 げっ!? ムチが飛んできた。


「悪いね。こいつをやるつもりはないのさ」

「ちっ」


 おぉ! バネッサ姐さん頼りになるぅ!

 でもあれじゃ動けないよな?


「エンコ! 女に向かって炎を放ちな!」

「ガウゥッ!」

「なっ!?」


 エンコがバネッサ姐さんに向かって炎を放つ。

 向こうは容赦がない。本気で殺しに来ている。

 でもさ、そのブレスって魔法だよね?

 僕はこの時を待っていたのだ。

 魔法反射!


「なにっ!?」

「ガウゥッ!?」


 狙いはお前だ! ホウエン!

 だが、炎のブレスは僕の思った場所に反射しなかった。

 代わりに向かった先は戦闘中のエリスだ。


「ごばっ?!」


 エリスが炎に包まれる。

 瞬間、僕は顔が真っ青になった。


「ヒャハハッ! 味方のスキルで死にやがったァ! ザマ――ァベシッ!?」


 リッパーがエリスの拳を顔面に食らって、地面をバウンドしながら転がり、気絶する。

 そう、顔が真っ青になった理由はエリスが死ぬと思ったからではない。

 あの程度の炎でドラゴンであるエリスが死ぬはずがないのだ。

 エリスは片手を振り払って炎を消すと、こちらを見てきた。


「あんた……後で覚えてなさいよ……」

「ゴ、ゴメンニャサイ……」


 僕はプルプルと震えながら謝り、後方に退場する。

 このスキル、反射の角度調整が難しいんだよね……。

 エンコの相手はエリスに任せよう。


「あんたが元凶ね……」

「ガ、ガウゥ……」


 本人もやる気満々だし。それにドラゴンの前じゃ虎もただの猫のようだ。


「な、なんだい、あの女は……」

「臨時の傭兵団員さね。それと向こうも終わったようだね」

「なんだって? ブッチョ?!」

「……オ、オラ、潰れ…………」

「うむ、中々硬いガードだった。が、終わりだ。大人しく捕まって今までの罪を償ってもらうぞ」


 レオーラがブッチョを倒してこちらに向かってくる。

 エンコもエリスに倒されて消滅した。

 これで三体一だ。

 勝った。

 と思ったが、敵の三人の足下に魔法陣が出現し、三人はどこかに転移してしまった。

 随分と手際がよかった。

 まるで見ていたようなタイミングだ。


「さすが僕の親友とその仲間たちだ。うん、やっぱり君たちを選んで正解だったよ」


 そう言ったのは護衛をしていたはずの領主様。

 気弱そうな雰囲気から一転。悪戯が成功した時のような子供っぽさを醸し出している。


「どういうことだ、ロッキー?」


 いち早く正体を見破った僕は問い質した。


「僕の方に依頼があったんだよ。そんな時にちょうど君たちが件の町に向かっているじゃないか。これは利用しない手はないと思ってね」


 気弱な領主から一変。ルーク少年の姿になったロッキーは、レオーラからも睨まれる。


「ええっ!? 領主が子供になった!?」

「姫様、こいつは領主様じゃないのかい?」

「えぇ。ヤツは神らしいです。悪戯好きの神様だとか……」


 初めてロッキーを見たエリスが驚き、バネッサ姐さんは警戒をしている。


「なるほど。悪戯小僧ってわけかい? 領主様は無事なんだろうね?」

「それなら大丈夫だよ。気絶はしてもらったけど……命はほら、この通り」


 ロッキーが気絶した領主を何処からともなく取り出す。

 

「返してもらおうか?」

「嫌だね。こっちも目的があるんだ。封印された古代兵器を壊さなきゃならない。その為には封印を解く。それが依頼主の要望だからね」


 そう言い残してロッキーが転移する。


『戦いが終わるまでは領主の命は保証するよ。それから古代兵器は核を破壊すれば消えるから、よろしくね』


 最後にその言葉をその場に残していった。



「結局領主様を連れ去られてしまいましたね」

「うん」

「どうするのよ? 誰も捕まえられなかったし。あっ、というかあんた、さっきはよくもやってくれたわねぇ?」

「ご、ごめんて……」


 頬をつねって持ち上げるエリス。動物虐待だ。いや、スライム虐待だ。


「とりあえず戻って団長に報告するさね」


 バネッサ姐さんにそう言われ、襲撃された応接室に戻った。

 ヒカリンちゃんが結界を張っていた為、全員無事のようだ。

 僕らは雨ノ月団長に起こったことを報告した。


「なるほど……。神の依頼ですか……。それは大変面白いことになったようですね……。まさかそのようなことを自分が経験することになろうとは……。人生とは不思議なものです……」


 雨ノ月団長は落ち着いた様子でそう言うが、どこか楽しそうな雰囲気を感じる。

 

「そろそろ敵の後を付けていた者が帰ってくるでしょう……。準備をしてこちらから乗り込みます……。古代兵器の破壊もしなければいけませんしね……」


 そしてちょうどそのタイミングで傭兵団の青年がやってきた。


「報告します。敵勢力は三ツ山の一番西の山に拠点を作っていました。入り口も確認済みです」

「報告ありがとうございます……」


 青年団員が素早く場を去って行く。


「さて、それでは反撃といきましょうか……」


 古代兵器を破壊する為に。領主様を取り返す為に。

 僕らは敵の本拠地へ向かうのだった。



お読みいただきありがとうございます。

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