VS冒険者②
ヒドラのいる森の近くにある町。
そこは今そのヒドラの話題で盛り上がっていた。
危険生物が出たというのに町は活気に溢れている。
これは異世界ならではの文化なのかもしれないな。
ヒドラが目撃された時にはチラホラとしか見かけなかった冒険者たちも、今では町の道路を埋め尽くすほどに溢れかえっている。
どこにこんな冒険者がいるのか不思議だ。
神様たちの中に人間はGのように増えると言っている神様がいるが、ちょっと分かる気がする。
そういえば最近ステータスを確認していなかった。
ちょっと見てみよう。
『名前:スイ
種族:ガラクタ・アンデッド・デミドラゴン・キラー・ネオファイタースライム
技能:真捕食、真分裂、真擬態、強溶解液、強腐食液、サイズ変化、胃袋、改造、火魔法、弱点看破、探知無効、黒の世界、雷魔法、真武術、虚偽記載
レベル:20→30
体力:1144→1164
魔力:1748→1768
物理攻撃力:871→881
物理防御力:831→841
魔法攻撃力:783→793
魔法防御力:925→935
素早さ:833→843
耐性:打撃、毒、全属性
弱点:斬撃、刺撃
擬態:土、石、葉、カラス、ダンゴムシ、ムカデ、ミミズ、花、ミツバチ、グール、黒猫、人間、鉄の剣、銅の短剣、弓、矢、麻痺毒、斧、槍、黒いローブ、銅貨、銀貨、金貨、酒、瓶、ライター、タバコ、火薬、麻薬、小麦粉、パン、リンゴ、モモ、古びた壺、魔法ランプ、ネックレス、ペンダント、指輪、鍵、手錠、鎖、腕時計、鏡、綿、白い布、木材、ペン、インク、紙、ワイバーン
連絡先:アマテラース、ゼウッス、ヘパイストース、タケミカヅーチ、ミミューズ、オロチ、ヘルメッス、ヘッラ、ロッキー』
レベルがいっきに三十に上がった。他は特に変わりないかな。
屋台で買い食いをして冒険者ギルドに向かう。
ここ最近は人間以外の姿で過ごしていたので食事も久しぶりだ。
冒険者ギルドに到着し、扉を開けて中に入る。
「あん? ガキが何のようだ? ここは冒険者ギルドだぞ?」
なんか絡まれた。
モヒカンの冒険者だ。
「おい、あれって……あぁ、『破鎚』のボンクだ。実力はあるが素行が悪いことで有名なヤツだな」
「あのガキ死なねぇか?」
「死ぬ……かもなぁ……」
ギャラリーが騒ぐ。
いやいやいや、出会い頭にギルドで暴力振るうヤツなんていないでしょ。
少なくとも王都では絡まれなかったけど?
ニヒッ。
ボンクが嗤う。そしてそれと同時に僕の頬に衝撃が走った。
「ぶっ!?」
僕は壁に激突し、口の端から赤い液体を流す。
「な、なにを、するんですか……」
「知ってるかガキ? 新天地で舐められないようにするにはな、実力を見せるのが一番良いんだ」
それで弱そうな僕に暴力を振るったのか。
でもそれって実力を見せたことになるのかな?
ダメだ。馬鹿の考えてる事はわからないや。
でも死ぬ訳にはいかないし……。
困ったなぁ。弱者のふりしちゃったし。
カウンター打ち込めばよかった。
よし! 次攻撃してきたらカウンターしよう!
ボンクは背負っていた武器のハンマーを地面に置く。
ドンッ! と強い音がして何人かがビクついた。
「知ってる者もいるようだが自己紹介をしてやる。俺の名はボンク! 破鎚の二つ名を持つBランク冒険者だ! 俺は弱い奴が嫌いだ! 足手纏いになる前にレイド戦は辞退するんだな!」
あれ? 暴力は? 暴力ないの!?
そんなぁ! これじゃあめちゃくちゃ弱いと思われるじゃん僕!
ボンクはそのまま去ろうとする。
えー! ちょっと! 誰か絡めよぉ! そのモヒカン馬鹿に言い返せよぉ!
「弱い奴が嫌い、か。それは確かに同感だが、私は貴様のような者こそ弱者だと声を大にして言うぞ」
「あぁん? なんだてめぇ……」
「私はアンジェリカ。冒険者ランクはCだが貴様よりも遥かに強者だ」
「Cランクがほざくな」
睨み合う二人。
しかしアンジェリカさんはボンクを無視してこちらに歩み寄ってくる。
え? ちょっと待って……
「大丈夫か、少年。ん? これは……ふはははははっ!」
あーあー、バレたよ。もぅ……。
「どったのアンジェリカ?」
「ふふふ、何でもない。思ったよりもそこの馬鹿が弱いと再認識しただけだ」
「死ねぇええええええっ!!」
アンジェリカさんの後頭部に向かってハンマーが振り下ろされる。
それを止めたのは……僕だ。
「なっ!? てめぇは!」
「お前が逝け」
「――ぶぺらっ!?」
高速の裏拳を頬にぶち込んだ。
ボンクは扉を最大に破壊し、外で気絶する。
僕は顔に付いている血のりを拭き取り一言。
「よし」
悪党成敗!
冒険者ギルドの中は静寂に包まれたが、アンジェリカさんだけが面白そうに笑っていた。
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