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突入


 放送で呼び出され正門前に集合する。

 集まった面々は一目で強者と分かるほどの実力者たちだった。

 そんな中、僕をこの部隊に選任したギルドの担当官が全員を見渡しながら言う。


「見て、感じて分かると思うが、ここにいるのは俺が経験と直感からヤバいと感じ者たちだ。お前たちは他者よりも何かに秀でている。それを今回の作戦に活かしてほしい」

「それは嬉しいね。で、作戦ってなんだい?」


 最初に担当官に発言したのは褐色肌でカラフルなボディペイントをしている薄着の女性だった。

 武器は大剣か。アマゾネスみたいだ。


「ここにいる者たち全員で、オークの住処を急襲してほしい」

「……ふ〜ん、なるほどね。アタシは賛成だよ」

「オレも異論はない」

「同じく……」


 アレスレアと弓持ちの女性エルフが賛成した。

 数日前の銀行強盗の狙撃はこの女性だろう。

 後で名前を聞いておこう。

 そして視線が僕と、ぼけーっとしていた白竜の少女エリスに向く。


「え、な、なに?」

「作戦に異論はないか、ということだ」

「も、もちろんよ!」

「僕も無いよ」

「その二人は大丈夫なのかい? どこからどう見ても強者の雰囲気じゃないんだけどねぇ」


 アマゾネスの女性が突っかかってくる。

 視線は担当官だ。


「わからん。その二人は俺でも未知数と断定した。だからこの部隊に選任した。それだけだ」

「ふ〜ん……」


 ぶんっ!

 アマゾネスの女性が、近づいてくるなり大剣を横薙ぎに振ってきた。

 最初に首が飛ぶと思われたエリスは「きゃっ!」と可愛らしくしゃがんで躱し、僕は一歩下がって躱した。


「なるほどね。認めようじゃないか」

「ちょっと危ないじゃない! 当たったらどうするのよ!」

「態とらしく躱したじゃないか」

「わ、態とらしく!?」

「違うのかい?」

「ちちち、違うわよ! ちゃんとギリギリでしたぁー!」


 いや、誰がどう見ても態とらしく躱していた。

 まあその気持ちは分かる。人間のフリするのも大変だよね。


「遊びはそこまでにしろ、バネッサ」

「あいあい」


 アマゾネスさんの名前が判明した。

 バネッサさんね。バネッサ姐さんとか呼ばれてそうだ。


「負担をかけてしまうかもしれないが、これは選択だ。被害を最小限にして勝つ為の選択。俺はお前たちが負けるとは思えない。だから生きて帰って来てほしい」

「「「了解!」」」

「あいよ」

「ん……」


 僕とエリス、アレスレアが元気よく返事をし、バネッサ姐さんは貫禄たっぷりに、エルフの女性は頷いただけだ。

 随分と個性的なメンバーが集まった。

 この人たちと話もしたいし、不甲斐ない戦いをしたら神様たちから何を言われるかわかったものじゃない。

 いっちょやってやりますか!

 こうして僕らは戦場に突入した。



 オーク達の住処である洞窟に行くには二つの方法がある。

 遠回りをするルートとオークの群れに突っ込んで行くルートだ。

 僕たちが選んだのはもちろん後者だ。


 スパッ!

 ドガンッ!

 ブスッ!

 スパスパッ!


 わぁ、皆凄いなぁ。

 僕が何もしなくても道ができていく。

 おっ、一匹来た。

 よし! 初獲物!


 プスッ!


「ごめん……」


 エルフさんに盗られた。

 くっっっっそ。結局一匹も倒せないまま洞窟まで来てしまった。

 そして洞窟内でも僕の活躍はない。

 早い者勝ちが常識の冒険者。

 なりたての僕はワンテンポもツーテンポも遅く、オークが大量にいるのに未だに一匹も倒せていない。

 一番多く倒しているのはエルフさんだ。

 見事に一撃必殺でオークを屠っている。

 続いてアレスレアとバネッサ姐さん。

 後ろに目があるのかエルフさんの矢を気にする素振りもなくオークたちを大剣や拳で屠っていた。

 そして最後にエリス。

 竜形態なら既にオーク達は消えているだろう。

 ハンデありとはいえ剣だけで屠っているのは流石というべきか。

 ん? タケミカヅーチ様からメールが来てる。通話じゃなくてメールだ。

 なになに?

 げっ……。


『前に出ろぉおおおおおおお! 倒せぇええええええええ!』


 発破をかけられた僕は渋々前に出てオークを倒す。

 ……はぁ、やっと一匹か。



 洞窟を進んで行くと少し開けた場所に出た。

 そこには巨大なオークが一匹待ち伏せている。武器はバネッサ姐さんと同じく大剣だ。


「へぇ〜、アタシがやる。あんたら手ぇ出すんじゃないよ」

「わかった」

「先行く……」

「え? じゃ、じゃあまた」

「頑張ってください」


 アレスレアが同意したのを始まりに、エルフさんが同意し、エリスも戸惑ったように頷いた。

 僕もエールをし、バネッサ姐さんを残して巨大オークを素通りする。

 もちろん行かせまいと妨害してきたが、バネッサ姐さんがそれを阻止した。


「アタシと遊ぼうじゃないか? 坊や」

「グァアアアアアアアアアッ!!」


 自分よりも巨大なオークを坊やとは言えないよな?

 ともあれ僕らはバネッサ姐さんを残して先に進んだ。

 あーあー、神様たちいいなぁ。今頃お茶でも飲みながら観戦してるんだろうなぁ。後で録画を見せてもらおう。


 更に奥に進むと、今度は細マッチョなオークがいた。武闘家オークかな?

 おっ、早い。僕の横に来た。

 これは僕の獲物ってことでいいよね?


「ひょいひょいっとね」

「悪いが貰うぞ。先に行ってくれ」

「えー……」

「行く……」


 僕がぽかんとする横でエルフさんが淡々と告げる。

 僕とエリスはエルフさんの後を追従した。


「じゃあ私が次ね!」

「ん……っ!?」


 突然、土の弾丸が僕らを襲来する。


「おっと、何でもガード!」


 二人とも反応できそうもなかったので、真捕食で相殺した。

 技名が思い付かなくて適当に言ってしまった。

 魔法の出所を見ると上の方にローブを着たオークがいた。


「ありがと……。先に行って……」

「え? でも僕が……」

「あれは私がやる……。先に行って……」

「あ、はい」

「ほら行くわよ!」


 なんか怒っていたな。僕のせいじゃないと思うけど。

 しかし同じ空間にファイターと狙撃手が二名ずつか。

 絶対激アツなバトル確定じゃん!

 ゆっくり観戦してる神様たちずるい!

 絶対に録画を見せてもらおう!


 そう決意しながら僕はエリスと二人で奥に進んだ。


 やばい……どうしよう……僕、全然活躍してないや。



お読みいただきありがとうございます


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