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第九話 勉強会2(過去編)

「この問題は簡単でしょ、単純計算じゃん」

「簡単じゃないよ!」

「えー」

「私の勉強できなさを舐めないでよ」

「なめてはないけど、詩織ってこんな勉強できなかったんだなって」

「むかつく」

「でもここはこうやったらいけるんじゃないの」

「無理、分かんない」

「どうしたらいいんだろう」


 私は丁寧に教えてるつもりなのに。


「ここは上と下でそれぞれ掛けたらいいんじゃないの?」

「え?」

「そんな難しく考えないでさ、単純な掛け算でしょ」

「確かに」

「凄いこいつに理解させるなんて、もしかして勉強教えるのうまい?」

「そうかな」

「そうだよ!」


 あんなに理解できてなかったのに。


「ちょっと私を問題児みたいに言わないでよ」

「だってそうじゃん、こんなところもわからないじゃん」

「ひどいー! 美香がひどーい」

「よしよし」


 そんな詩織を真由美がなでる。


「詩織って子供だね」

「またひどーい」

「すぐ泣くじゃん」

「うるさい」

「まあじゃあ私が真由子に教えて、真由子が詩織に教える感じ?」

「まあそうなるね、でも美香ちゃんは?」

「私は自分で勉強できるよ」

「そう」

「じゃあ頑張ってこー」

「一番勉強教えてもらう人が言うな!」

「えー」




「もう無理休憩しよ!!」

「まだ三〇分しかやってないよ」

「図形の角度とか知らんもん」

「ごめん私でも無理かも」

「そっか、真由子でも無理か」


 むしろ頑張ってくれていたほうだ。


「どうしたらいいの? こいつの馬鹿さ」

「もう無理でしょ、あそぼあそぼ」

「馬鹿なのは認めるんだ」

「仕方ないでしょ全然わかんないんだから」

「もう、この問題はね、対辺を足したら180度になるから対辺を180度から引いたらいいの」

「対辺を見つけるのが無理なの!」

「対辺は向かい側の辺でこの問題は5角形だから2つ飛ばしたらその辺が対辺なの」

「じゃあ六角形だったら?」

「だったら飛ばす角が一つ増える」

「アーそういうことね」


 詩織は納得した口ぶりで問題を解く。


「もう尊敬だわ、こんな教えられるなんて」

「ありがとう、でも私ももう疲れた」

「よしお菓子持ってくるか」

「やったー」

「詩織はできるだけ友達に迷惑かけないように、この時間もさぼらないでね、1番あほなんだから」

「あほとバカじゃあ意味が違うよー」

「じゃあ持ってくるねー」




「お母さんお菓子頂戴―」

「早くない?」

「だって詩織があほすぎて私たち全員疲れるんだもん」

「そういうものなの?」

「うん」

「で、なにがほしいの?」

「チョコとか?」


 糖分と言えばチョコだろう。


「オッケーわかったわ」

「ありがとう!」



「持ってきたよ」

「えーポテチがいい」

「我儘言うな、糖分ほしいでしょ」

「それはよくわからないんだよね、なんで糖分とると脳が回復するの?」

「知らない」

「え?」

「知ってるわけないじゃん、まだ習ってないし」

「美香でも知らないかー」

「あーでも普通に考えて脳に栄養行くんじゃない?」

「まあそうか」

「詩織これでまだ()()()よね」

「怖い怖い」




「もう無理疲れた頭痛い」

「まだ二時間でしょ、チョコレートの力でかんばってよ」

「もう二時間だよ、美香が体力化け物なだけでしょ」

「私もそろそろ疲れてきた」

「じゃあさー遊ぼうよ」

「えー詩織が言うと無理」

「なんでよ」


 当たり前だとおもう。詩織なんて遊ぶことしか脳がないし。


「私もちょっと遊びたいな」

「いいよー」

「私にだけ厳しくない!?」

「厳しくないよ、詩織の提案は受け入れたくないだけ」

「それでもひどいよ」

「まあ何して遊ぶー?」


「はいはーい私サッカー」

「無理」

「なんで?」


 逆になぜ受け入れられると思ったのか……


「昨日の件があるし、それにそもそも出かけんのめんどい」

「じゃあトランプ?」

「私は人生ゲームがしたい」

「もしかしてー、計算させようとしてる?」

「うん」

「ずるいよ」

「まあ私が人生ゲームの気分だったのもあるけど」

「私もやりたい」


「えー少しいいですか」

「急に改まってなに?」

「トランプも大富豪なら頭使うよ」

「いや、本音は私が人生ゲームしたいだけだから」

「じゃあ二対一で決まりだね」

「じゃあ用意するね」


 と、軽い落ち込みを見せてる詩織を無視して人生ゲームを持ってくる。

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