幼馴染はお菓子と悪戯を共にねだる
「トリックオアトリート!お菓子くれないとイタズラしちゃうぞ!」
放課後、茜は帰りの準備をしている俺の目の前に来て、いきなりそんなことを言う。
「えっ?」
「いや、『えっ?』じゃなくて、だからお菓子くれないとイタズラするぞ!」
「……あぁー、今日ハロウィンか。」
「えっ!今気づいたの!?じゃあ私が付けている猫耳は何だと思ったの?」
「なんか、気分転換かなんかかと思ってたんだけど……」
「……君がここまで鈍感だとは思ってもいなかったよ。それで?」
「うん?」
「お菓子、くれないの?イタズラしちゃうよ?」
「あー、はいはい分かったよ。えぇっと………、はいチョコパイ。」
俺は鞄の中から、何故か入っていたチョコパイを茜に渡す。
「うわーい、ありがとう!」
そう言って茜はチョコパイは食べ始める。
「え、ここで食べるの?」
「うん、お腹空いてたからさ。」
「……さいですか。」
何と言うか、ズルいな。
………俺もしてみるか。
そう思った俺は周りを見渡す。
………これにするか。
「トリックオアトリート。お菓子くれないとイタズラするぞ。」
俺はペンをさながらウ〇ヴァリンのように挟ませて、茜に言う。
「えっ!お菓子か……、も、もう食べちゃったよ。」
茜は空になったチョコパイの袋をピラピラさせる。
いや、早っ
「それじゃあ、どうしようかな……」
お菓子、無いのか。
残念。
すると茜は何故か俺の手を自分の首元にペタッとつけて、上目遣いで
「だからさ、イタズラ、してくれない?」
「はっ!?」
俺はサッと手を引っ込める。
な、何を言ってるんだ!?
「なんてね、冗談だよ。はい、クッキー。」
茜はそんな俺の姿を見て苦笑しながら、鞄の中から1枚の鳥型のクッキーを出して、俺に渡してくる。
「あ、ありがとう。」
「フフッ、臆病者の君にはぴったりのお菓子でしょ?」
「うん?どういうこと?」
「うぅん、何でもない。それじゃあ明日ね、バイバイ!」
「お、おう、また明日。」
そう言って茜はパタパタと教室から出ていく。
まったく、まるで台風のようなやつだ。
俺は教室から出ていく彼女の後ろ姿を見ながらそう思うのだった。
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「幼馴染はお菓子と悪戯を共にねだる」を読んでいただきありがとうございます。
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