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デジタル時計はすぐ狂う  作者: とうふ
【第一章】未来から何の目的もなく来ました。
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2.5 自分の席に座ってくる女の子ってなんか気になっちゃうけどその女の子からは見向きもされないってのはよくある話だよね

晴輝の思い出シリーズ


 休み時間に晴輝が席から離れると決まって晴輝の席は占領される。


 「どうしてさも当たり前かのように俺の席に座って談笑してんだよ」


 こいつが席に座っていると順番待ち抜かされたときと同じぐらいイライラする。いつもこいつに話しかける時、椅子を蹴る理由だ。


 「今、彩と喋ってんのが見えねえのか?」


 席を蹴ったと同時に喉を絞められる。普通に暮らしている中学生がここまで殺気を感じるこることが本当にあっていいのだろうか。

 腰まで届きそうな茶髪が動作に遅れて揺れる、綺麗な碧眼で晴輝を睨み、形の整った唇で晴輝を罵倒し、女性らしい細腕で今現在晴輝の喉を絞めている。今にも晴輝を殺しそうな勢いでキレているがその美貌が揺らぐことはない。

 彼女の名は 『槇原優衣』 自他共に認める超絶美少女、なんでもありの天才だ。バトル漫画から産まれてきたのかと聞きたくなるぐらいに喧嘩が強く。こいつに勝てる人間を晴輝は1人しか知らない。


 「優衣、声が怖いあと悶えてる晴がキモいからやめて」


 少女の透き通った綺麗な声で優衣の手が止まる。


 「確かに、自分の死に様の気持ち悪さに救われたな帰ったら親に感謝しとけよ」


 優衣が手を緩め涙目の晴輝が地面に俯く。


 「優衣も晴をいじめるのはそこまでにしてあげて、優衣のせいで晴は顔芸キャラって世界レベルで有名人になっちゃったんだから」


 少女は勉強する手を止めて、色素の抜けたかのような白い綺麗な手をこちらへ向ける。


 「俺の顔は世界に匹敵するほど面白くないんだが」


 「命の恩人に対して感謝の言葉もないわけ?」


 ガラガラの声で文句を言いながらその手を取る


 「……ありがとよ」


 「よろしい」


 黒髪のショートに、大きな瞳、すっと通った鼻、作り物のような唇、神が作った人形のような少女。

 この美少女が晴輝の知る限りたった1人槇原優衣に勝てる人間 『伊上彩』 だ。

 小学が同じで晴輝のことをあだ名で呼ぶ数少ない人間の1人、地元でも可愛いことで有名な彩だが、中学に入ってからは優衣派と彩派の派閥ができ、若干彩派が劣勢だが本人達はそこまで気にしてない、ちなみに晴輝は彩派である。


 「それで、お前席離れろよ」


 「どうして?」


 まるで言ってることの理由が分からないような顔でこちらを見てくる。いやこいつなら自分がここに座るのが本当に当たり前だと思っている可能性もある。


 「俺の!座る!席が!ないだろうが!」


 身振り手振りのオーバリアクションで自分の席がないことを説明する。すると


 「岡村くーん、席借りても大丈夫かな?」


 先程の殺気100%の声はどっから出たのか気になるぐらい可愛い声で男子から席を借りた。


 「なんで晴はこんな簡単なこともできないの?席ぐらい頼めば誰でも貸してくれるよねー?彩」


 岡村の席に座る晴輝に優衣が悪意ある声で言う。


 「晴は友達少ないから頼むって行為に壁があるんだよ優衣や私には一生感じることのできない壁だよね」


 美女2人にコミュ障だボッチだの口撃される。新手の性癖に目覚めそうだが目覚めた瞬間全てが終わると本能が伝えてくるので、新たな世界の扉を閉める。


 「つーかなんで優衣は俺の席借りるときも俺から許可貰えよ」


 「なんで?」


 この3文字だけでこいつに何頼んでも無駄なんだなってのが分かった。どうしようもない徒労感を味わって休み時間は終わる。

 この3人で昼休みを過ごすのにも大分慣れてきた。優衣も今では晴輝に好意的?に接してくれてはいるがこうなるまでにかなりの時間がかかった。もっとはやい時期から仲良くなっておきたかったと晴輝は思っている。

 それぐらい槇原優衣は晴輝の青春に大きな変化を与えたのだ。

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