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階‐きざはし‐の彼方  作者: 炎鷹
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第三話

 ここはどこ?


 先ほどまで、確かに駅のホームにいた。

 金曜日の夜で、陽気な人もいる会社帰りの人もいる大勢の中だった。

 けれども、今自分一人だけで、全く想像のつかないところに、倒れている。

 状況が把握できない。

 頭打った?

 先週末に見たファンタジー映画の残像か、はたまた、ネット小説の影響か。


 私はかなりはっきりとした夢を見る。

 色はもちろん、たまには感触まであるかなり現実的な夢だ。

 声も音も聞こえるのだ。

 それではないか?と考えられた。


 卓上の冷たさが、手のひらだけでなく膝からも上がってくる。

 先ほどまで、夜だったのに窓の外は赤みを帯びているが、明るい。

 日が差し込み、室内が暖められている。夜の気配は、まだ先だ。


 正面にいる青年は驚愕していたが、興味深そうにこちらを眺めているようだ。

 何となく、偉い人?

 それは、長方形の机の狭い辺に座っているからだ。彼だけ、周りの比べると椅子が豪華だ。


 突然、背後から気配を感じ、首が苦しくなった。

 コートの後ろ襟を掴まれたのだと分かったと同時に、卓上から引きずりおろされた。

 手から鞄が抜け、体だけ勢いのまま転がり壁を背にして止まった。

 突然のことに、呼吸が乱れ激しく咳き込む。襟がのどに食い込んだらしく、首をさすり痛みを和らげる。


 涙目になりながら相手を見上げると、いかめしい顔をした体の大きな男が立っていた。

 マントを背中に流し、軍服のようなものを着ていた。肩から腕にかけて盛り上がった筋肉が衣服を通しても分かる。


 その腕が動き、目の前に銀色に光る冷たい金属が迫る。

「御前だぞ、エドアルド!」

 脇に座っていた男が立ち上がる。

 声に反応して、直前で止められたものを見れば、幅のある剣だった。


 私はどうやら、エドアルドという男に、卓上から降ろされ、始末されるところだったらしい。

 つまり、不審人物であると。

 でしょうね、この状況を見れば。

 周りはとても日本の室内とは思えない。

 映画、もしくはゲームの世界に近いようだ。テレビで見たヨーロッパの館の中に似ている。


 エドアルドは暫く逡巡しているようだったが、やがて、剣を収めた。

 ほっと、息を吐くと、今度は手が伸びてきた。

 すぐ後ろは壁だったので逃げる場所はない。なるべく身を小さくしていると、腕を掴まれ強引に立たせられた。

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