第十二話
さっぱり。
すっきり。
気持ちよくお風呂を堪能できた。よかった。日本のお風呂と同じだった。
世界にはサウナのようなお風呂もあるというし、文化が違うと慣れるか不安だけれど、ここは日本と同じような湯船のあるお風呂だった。
ドレスに着替えると、再び、ミネルヴァに案内されて広間にやってくる。
大きなテーブルがあり、そこにパンとスープが用意されていた。
食事ということらしい。
よかった。何かお腹に入れたかった。
いつから食事をしていないのだろう。
ずいぶん、前のように感じた。
なるべくゆっくり食べようと思ったけれど、気が付くと無心だった。
空になった食器が片付けられると、今度はエドアルドがやってきた。
無表情で何を考えているかは読めない。
「行くぞ」
声をかけられ椅子から立ち上がる。
後ろからミネルヴァもついてくる。
今度はどこに連れていかれるのか。
身綺麗にされ、食事を与えられ、いよいよ処分の発表ですか。
私は緊張で震えが止まらなかった。
牢獄のあった塔を出て、昨日、通った道を逆に進んでいるのは何となくわかった。
外のほうではなく、奥のほうに入って行くようである。警備を担当している兵士なのか、みな、エドアルドを見かけると道を開けて敬礼する。
彼の背中で翻るマントは上級者の証なのだろう。
分かりやすく身分を表しているのだ。
見た感じは落ち着きがあり、むき出しになっている部分の腕は筋肉が隆起し、鍛えていることがわかる。威厳を感じるが、実は若いと思われる。肌は日に焼けているが、首の皺はほとんど見かけない。
そして何より、私より年下のようだ。
後ろからついてくるミネルヴァも年下な気がする。
若いのに私よりしっかりしている。気迫が違う。
すっかり気圧されて私はますます肩をすぼめた。
入るように促された部屋は役職者の執務室のようだった。
やや厚めのじゅうたんが敷いてあり、重厚感のある机には書類が積んである。棚には書物が並び、背表紙を見ても文字が読めなかった。
言葉はわかるが、文字はわからない。
それは昨日から気が付いていた。
エドアルドが書いている調書の文字も読めなかったからだ。




