世界を崩壊させる10の天界の宝
「・・・?なんだ?」不思議そうな顔のドクン
「なあー、今声がしたんだけど」そう言ってシーコ達のほうに振り返るドクン
「え?別に何にも聞こえなかったけど・・・ねえ」シーコが首を傾げる
「は、はい」ミリアも何も聞こえておらず疑問に思うような返事をする
「何も聞こえねえぞ」クーポンにも聞こえていないようだ
リンも可愛くふるふる首を振る
シーコ達にはトラの像の声は聞こえてないようだ
「おっかしいなー」
像に背を向けて歩こうとした時「おい!」またトラの像から声が
「おめーか?しゃべれんのか」
「まさかこんな小童に我の声を聞ける資格があるとはな」
巨大な白銀の像のトラは語りだした
トラの名前はヴァルーザ 何百年もの間、目の前に来たものに話しかけていた
しかし、いつも声は届かず反応はなし
我は神より作られし召喚された神獣
これからのお前の未来には厳しい道がある
トラはこれはお前の運命だとドクンに言い沈黙した
「なんだったんだいまの・・・」
「まさか、わし以外にヴァルーザの声を聞ける者がおるとは・・・あの小僧・・・」その様子を屋根の上で見ていたフェックル
ミリアの家で話し声が聞こえる
ミリアが下界に行った理由、これからどうするべきかについて
話をしているのはミリアの祖父フェックル、弟子の壮北、水格、土門、その他坊主頭で同じ服装をしている弟子たち数十名
大広間でフェックルは上段の間に座っている 壮北、水格、土門が中段の間に座っていてその他の弟子達10人ほどは下段の間に座っている
「これ以上ミリア様に危険なことはさせられん」水格
「こうなったら我らで探して奪い返すまで・・・」土門
「まさか我らの宝が下界に散らばってしまったとはな」壮北
「フェックル様、いかがいたしますか」その他の弟子
「・・・・・・オホンッ! そのことについてはわしに考えがある ミリアを呼んできてくれんか・・あとあの者達もな」
「はっ」その他の弟子
ドクン、シーコ、ミリア、リン、クーポンの5人が坊主に呼ばれて部屋の前へ
スゥー・・・タンと襖を開ける坊主 ドクン達が部屋へ入る
中段の間に座るドクン、シーコ、ミリア、リン、クーポン
「ようきたのー、天界の町はどうじゃったか?」笑顔のフェックル
「は、い・・楽しかったです」少し緊張しているシーコ
「おじいちゃん、それより何?」
「うむ、お前がしている宝探しについてな」
「!!!・・・あれはわたしが取り戻すから!」少し強めに言うミリア
「ミリア様!また下界に降りるということですか、またあのような輩に会ったら危険な目に」水格が厳しい口調で言う
「そんなこと分かってる!でも取り戻さないと!」ミリアも負けずに言い返す
シーコはミリアの気迫に口を開けてポカーンっとしたが「あ、あの、宝って何のことですか?」
「そのことについては私がお話しましょう」土門
土門はミリアが下界に来た理由を話した
天界の宝が下界に散らばってそれを探しに下界に降りたこと
天界の宝は全部で10
その一つ一つには国を支配できるほどの強大な力を持っている
悪意に満ちた者が手に入れたらこの世界が崩壊するほどの危険があること
「・・・」ドクン
「・・・」シーコ
「・・・」クーポン
「・・・」リン
ドクン達はその話に衝撃を受ける。目を見開き冷や汗をかいて数秒固まってしまった
「どうじゃ、お主たちもミリアと一緒に宝探しを手伝ってくれぬか?」
ミリアが下界に来た理由を聞いたドクン達はミリアの祖父フェックルから一緒に天界の宝を探してほしいと頼まれる
「フェックル様!!!!!」壮北
「何を考えているのですか!!!」水格
フェックルのあまりにも無謀な発言に弟子の壮北と水格が言葉を強める
「まあ、そう怒るな・・・わしに考えがある・・・」
フェックルが発言して緊張感が漂う静まり返った空気の中
「じいちゃん強いのか?」ドクンが特に深い考えもなく何気なくしゃべった
「!!!」その他の弟子
「!!!」壮北
「!!!」水格
「!!!」土門
ドクンの何気ない言葉にフェックルの弟子たち全員が戸惑う
「そのお方はこの国で一番の魔法の使い手であり※法力、あらゆる武術を極めた大僧正フェックル様だぞ」その他の弟子
※法力とは仏教修行によって得た不思議な力
「だ、いそ、うじょう?ってなんだ?」
的外れなドクンの発言にその場にいた者みんなガタッとずっこけてしまう
「オホンッ! 大僧正とは僧の最高の位で多大な功績を残し王達に認められ王権によって選ばれた、そのお方が我らの師であるフェックル様だ」その他の弟子
「・・・・・?」口をポカーンと開けて理解できてない様子のドクン
「と、とにかくもんの凄い偉い人なのよ!」シーコが焦って言う
「ふぉっふぉっ」笑顔のフェックル
「ミリアのじいちゃんそんなすげーじいちゃんだったのか!じゃあ俺に修行つけてくれ」
「!!!」その他の弟子
またドクンの思わぬ発言に一同が驚く・・・数秒間の後フェックルが口を開いた
「いいじゃろう」
「フェックル様、よろしいのですか?」水格
「お言葉ですが、こんな子供が我らの修行についてこれるとは思えませんが・・」壮北
「この小僧はな、ヴァルーザの声を聞けたものじゃ」
「!!!」その他の弟子
「!!!」壮北
「!!!」水格
「!!!」土門
「こんな子供が・・・」壮北
「信じられん」水格
「ドクンといったか…強くなりたいか」
「ああ、強くなりてえ」
「うむ、明日から弟子たちと修行じゃ ミリアとの宝探しはその後じゃな」




