騎士レンイツキー
(ドクンすげえええーーーー)口を開けて呆気にとられたマヌケな顔のシーコが思う
「お前こんなに強かったのかよ」思わず口に出してしまうクーポン
リンもびっくりしている
(ドクン強い・・・)そして顔を赤らめて興奮している
そのリンの表情をシーコは見逃さなかった
(ドクンのこと好きになった?)
この3人の中ではシーコはドクンと旅をして一番長い、長いといってもほんの数日の違いだがドクンが狩ったブラックベアを一緒に食べたしホワイトタイガーも蹴り一撃で倒したのも見ている。2人と比べてドクンの強さは分かっていたはずなのにそれでも驚いた
この町の警備兵も日々訓練を積んで心身・技能を磨いている戦士だ。それをこんな小さな少年が圧倒的な力で叩きのめしたことに改めて驚いて心がさわいだ
クーポンも驚いた。レティ村でクーポンが催眠で操っていた村人たちとドクンの戦いも観察してある程度ドクンの強さを分かっていたつもりだった。村人と警備兵では強さが違うわけで、まさかこれほど強いとはと呆気にとられた
その戦いを険しい眼差しで見ていた騎士達のリーダー的な男レンイツキーが言葉を発する「なかなかいい腕をしている。部下たちでは歯が立たないようだ」
「あんたも怪我したくないなら早く倒れている人達連れて帰ったほうがいいよ」
「この私をそこで倒れている騎士達と一緒にしないほうがいい」
「あんまりかわらないよ」
「ふふ、そうか・・・・・はああああああ」レンイツキーが力をため始めた
レンイツキーの周りの空気がパチッパチと弾ける ゴゴゴオオオと大地が震える そして解放した 体の周りを赤い闘気がユラユラと揺らめく 大剣を抜いた刃の部分が緑色に輝く 相当な業物のようだ
「いきますよ」レンイツキーがドクンに切りかかってきた 先ほどドクンが軽く倒した騎士達とは比べ物にならないスピードだ (早い) シュパッ! レンイツキーの動きにドクンも警戒したように後ろに飛び攻撃をかわす
「よくかわしましたね、でも」ドクンの胸の部分にパラっと一筋の切れ目が どうやら完全にかわし切れてなかったようだ だが服が切れただけでドクンにも怪我などのダメージはない
「あんた強いな」
「ふふ」レンイツキーが不敵にほほ笑む
「次はこっちから行くぞ」今度はドクンからレンイツキーに攻撃を仕掛けた レンイツキーに向かって猛スピードで突っ込むドクン 身構えるレンイツキー 突然ドクンが視界から消えた
「ほう、凄い速さだ」レンイツキーは動じずドクンの動きを見て冷静に言葉を発した
ドクンはレンイツキーの周りを超スピードで動き回って幻惑している 普通の人の視力では残像でドクンが複数いるような目の錯覚をしてしまうだろう
「・・・」レンイツキーは真剣な顔でドクンを凝視する
ドクンはレンイツキーの頭上にいた 蹴りを入れようとレンイツキーに攻撃
ボグッ しかしこれを大剣で受け止める
「いい攻撃だ 部下に欲しいくらいだよ」レンイツキーは余裕の口調でドクンの攻撃を受け止めて称賛する
「へへ」足で弾いて回転して後ろに飛ぶドクン
ドクンとレンイツキーの戦いが始まりかけたその時、ピピピピィーーー と音が鳴る 「!?」 レンイツキーの所持している無線機からだった
「はい、こちらレン」
「どうだ 捕まえたか?」
相手は老人のようだが荘厳で重々しさがあって立派な声
「まだです 少々トラブルがありまして」
「ほう」
「ちょっと強い子供に部下たちが全員のされてしまって・・・」
「そうか ふははははは それでレン、お前は勝てそうか?」
「今、戦闘中ですが お互い力の探り合いですね」
老人はなにやらレンイツキーに言う
「わかりました では」プツンッ レンイツキーと老人の話が終わった
ドクンはこれからレンイツキーとの戦いの続きが始まると身構えていた しかし、レンイツキーから思わぬ言葉が出る
「少年、名前は何という?」ドクンは一瞬「?」という表情をしたが「俺はドクンだ」と答える
「それじゃあドクン、この戦いはまた今度だ」「え?」
「ふふふ」微笑みながら歩いて帰っていった
「あいつ、倒れてる部下を置いていっちまった」どうすんだという表情のドクン
「もう、なんだったのよ」緊張が解けて足の力が抜けたシーコがへナッと体を崩してヘタレる
クーポンとリンもどっと疲れて胸をなでおろす




