追われる少女
新しい魔法を試すシーコ
マジックホールの外には新しく習得した魔法を試す場所がある
攻撃魔法や防御魔法などを実践前の練習のような感じで魔法使い達は利用する
もちろんそこで試さなくて自分の修行の場で試す魔法使いもいる
利用するかは自由だ
でも上級の攻撃魔法は強大な威力で範囲も広く危ないので街中では簡単に試せない
直ぐに上級の新しい魔法を試したい!そういうときにはここを利用する魔法使いもいる
シーコが覚えたトラペアは透明魔法
一定時間透明になることができる
透明になっていられる時間も魔法使いのレベルによって変わる
もちろんレベルが高いほど持続時間も長い
シーコはまだレベル3というまだ低いレベルの魔法使いなので透明になれる時間は30秒ほど
「トラペア!」唱えるとシーコがみるみる透明になった
「シーコが見えなくなったぞ、すげー」初めて見た魔法に驚くドクン
「どう、透明になってる?」しかしすぐに透明化が解除されてしまった
「はや!もうかよ!」不満顔のクーポン
「ふぅ、しかたないでしょ、まだわたしは魔法使いのレベルが低いから透明でいられる時間は30秒くらいなんだから」
リンも目を丸くして可愛らしい仕草で驚いていた
「はぁ、はぁ」少女は誰かに追われているようで息遣いが荒い
ガジャン、ガジャンと鎧を装備している者たち複数が少女を追っている
マジックホールで魔法の練習を終えたシーコはドクン達と旅の準備のため食料などを買いに町を歩き回っていた
「こっちのほうが人がいなくて早くいける」ドクンが指差し裏道に入ろうとした
「そうね」
突然そこから走って出て来た少女とドンッ!!と体が激しくぶつかるドクン
ドクンは少女と衝突しても倒れるような影響はなかったが少女は衝撃で少し吹っ飛んで倒れてしまう
「ちょっと大丈夫?」「お前、大丈夫か?」シーコとドクンが声をかけても少女から返事はない
少女は今までの疲労でかすかに開いていた目を閉じ気を失った
そこへ少女を追っていた怪しい集団が現れる
姿は騎士だ。みな程々に立派な鎧を身につけていて腰には剣を差している
ガシャシャン、仲間らしい騎士が後ろからも現れて数は全員で10人以上いる
シーコとドクン、クーポンにリンと少女を囲うような状況になった
「なんかヤバくねえか」「そんなの分かってるわよ」
クーポンとシーコが小声で話す
リンも不安そうな表情をしている
ドクンは前に立ちキリッ!と引き締まった顔をしている
不穏な空気が流れる・・・
緊迫した状況の中、騎士達のリーダー的な男が口を開いた「その女を渡してください」
「お前たちはなんだよ」直ぐにドクンが強めの言葉で応対
騎士のリーダー的な男「失礼しました、私はこの町の警備兵でレンイツキーといいます。大切な宝を奪って逃げた。その女は悪い盗賊なんです」穏やかに柔らかい口調で話す
身長は175㎝年齢は20台半ばといったところで髪は灰色。見た目は好青年に見える。しかし彼の内面までは分からない
シーコ「あ~びっくりした~ ちょ、ちょっとドクン、この人達、この町の警備兵らしいじゃない?怪しい人達じゃないじゃない」キョドリながら言葉を発するシーコ
「・・・」しかしドクンは騎士達のリーダー的な男レンイツキーの言葉を信用していない
それどころかキッ!と睨みつけて臨戦態勢だ
「いや、こいつ嘘ついてる、俺分かるんだ」
「まあいいです、それなら力づくで奪っていきます」
「あわわわわ」体を小刻みに動かして慌てるシーコ
そこで周りにいた騎士の一人が近づきリンを後ろから襲おうとして触れかけた時、ドクンから強烈な攻撃を受ける。腹に拳を入れると同時に顎を蹴り上げた
「ぐはぁっ」騎士はドクンに攻撃されて苦痛な声を出し、ズザザザザーーーー 10mほど吹っ飛び意識不明で倒れてしまった
瞬きしていたら見逃すほどドクンの攻撃は一瞬だった
「!!!」騎士達に衝撃が走る
「き、きさま、我らに、は、反抗する気か た、ただじゃすまなくなるぞ」周りにいた騎士の一人がドクンの攻撃に驚きビビりながら言う
少女は横になりシーコに介抱されていたが、かすかに意識が戻りかけたようで
そしてかすかに目を開き「助けて・・・」 か細い声でつぶやく
その言葉を皮切りに戦闘が始まった
「ヤレ」騎士達のリーダーレンイツキーが部下に命令した
囲んでいた騎士たちが一斉に剣を抜きドクンに襲い掛かってきた
しかしドクンは余裕で騎士達の剣をかわし、拳や蹴りで応戦しあっという間に囲んでいた騎士達を倒してしまった
「ぐはっ」「あぼっ」「へぐうッ」ドクンの攻撃を受けた騎士達の苦痛の声だ
かわすと同時に相手の態勢を肘や手の甲などで軽く崩し拳や蹴りで軽く叩いただけだが騎士達には大ダメージだったようだ
ドクンのあまりのスピードに騎士達は反応できない
ドクンは全く本気を出していないが実力が違いすぎて騎士達は踊るようにただやられるだけだった
騎士達も弱くはないがドクンの圧倒的な力に為す術がない ドクンの攻撃によって囲んでいた騎士達は倒れて気を失った者やまだかろうじて意識がある者はあまりの激痛に倒れて悶えていた
シーコやクーポンにリンもドクンの段違いな強さに驚いていた




