魔法使いの社交場マジックホール
「こっちのほうが近いかな」
「そうなのかー」
ドクンに抱えられているシーコと走っているドクンの会話だ
最初はドクンの走るスピードに悲鳴を上げていたシーコだったが慣れてしまって
落ち着いて話をしている
他愛のない会話をしているとあっという間に近くの町に着いた
それなりに大きな町サニー活気があって人も多く商業施設に銀行や学校などの施設も充実している
町の入口の門の両脇に警備兵が2人立っていたが見られるだけでとくに止められることもなくすんなり入る4人
「とりあえず、まずはマジックホールに行きましょ」「何だ?マジックホールって?」初めて聞いた言葉に質問するドクン
「マジックホールって言うのは簡単に言うと私たち魔法使いの修行で貯まった経験値を付与してくれるところね。レベルが上がると新しく魔法を覚えたりすることもできるの。まだ新人で悩んでる子の話を聞いてもらったり魔法使いの相談所みたいなところかな。大きな町には大抵あるわね」
「ふぅん」と言い何となく理解したようなドクン
歩きながら話をしていると突然バーン!っと銃声らしき音が聞こえた
「えっ?なになに」驚くシーコ
「なんだ!」クーポンも予想外の出来事に戸惑う
リンは可愛く目をつぶって耳をふさいでいる
猫の獣人なので人間と比べて耳がよく銃声の音が耳に響いたようだ
「キャーーー」っと言う悲鳴も聞こえてくる
すぐそばの建物が騒がしい
その建物の中から3人の覆面を被った者が出てきてバックからはみ出た現金も見える
どうやら銀行強盗のようだ
「銀行強盗か、物騒ねー」
「悪い奴なのか?」
「そうね、銀行強盗だから悪い奴らね」
「じゃあ俺捕まえてくる」走り出すドクン
「ちょっと待ってよー、そんなのこの町の警備兵に任せとけばいいじゃないのー、たくっ!」シーコはドクンの勝手な行動に不満いっぱいの様子
移動する車の中
銀行強盗A「へへ、うまくいったな」
銀行強盗B「ほんとちょろいぜ!この町はよ」
銀行強盗C「そうだな・・・・なんだ!?ガキが追っかけてくるぞ」
ミラーを見た強盗は驚く
なぜなら車のスピードは優に時速80キロは出ている
その車に少年が走って追いつこうとしているからだ
ドクンはジャンプし車の屋根に一撃ドゴーン!と拳を叩き込む
車は大破し銀行強盗3人も服がボロボロの状態で多少怪我もしている
銀行強盗A「な、な、なんだ?何が起こった?」
驚きの表情で声も震えている
銀行強盗B「い、いや、分かんねえ」
銀行強盗Cは倒れてのびているが死んではいないようだ
そこへドクンが目の前に来て「お前たち、ぎ、んこうごう、とう?とかいう悪い奴らだろ!」
ドクンはまだ言いなれない言葉に詰まりながら言う
銀行強盗A「は、はい・・」戦意喪失の銀行強盗が小さな声で返事をした
銀行強盗を捕まえてこの町の警備兵に感謝されるドクン
「シーコー!」手を振って近づいてくるドクン
「何がシーコーよ!勝手な行動しないでよ!」怒るシーコ
「行動力あるな~ドクンは」クーポンも少し呆れ気味に言う
リンはドクンの行動は気にしていない様子
「なに怒ってんだよシーコ、まだマジックホール?とかいうとこ行ってなかったのか?」
「あんたのこと待ってたのよ!迷子になるでしょ!」シーコは口うるさくキレる
「わりい、わりい、そんなに怒るなよ」
歩いているとマジックホールに着いた
シーコはまだ怒っているようでほっぺたを膨らませている
マジックホールは基本的に紫色で普通の家の3件分くらいの大きさ
町の大小に関係なくマジックホールの形と大きさは決まっている
Mとシンボルマークがある
入口の前に行くとドアが自動で開いた
「なんだ!ドアが勝手にあいたぞ!」驚くドクン
ずっと山で暮らしていたドクンには衝撃的だった
「いや、こんなの普通だから…」シーコは慣れていて普通だ
「ドアの前に行くと魔法で開くようにしてるだけだから」説明するシーコ
「へえ、びっくりした」ドクンは魔法で開くと言ってもよく分からず、まだ納得してない感じだ
「恥ずかしい奴だな」クーポンが冷めた目でドクンに言う
クーポンにとっては魔法でドアが開くのは何度も見たことがあり驚くことでもない
リンは心の中で自動ドアに驚いていた「すごい…」
受付には女性が二人いた
目に見える範囲で遠くのほうにも何か作業しているスタッフらしい女性が一人に新人らしい魔法使いの女の子の相談を聞いてアドバイスしている男性スタッフもいた
魔法使いも何人かいる
会話してる女性グループの魔法使いに椅子に座って話してる男性達の魔法使いもいた
マジックホールは魔法使い同士の社交場でコミュニケーションを図ることを目的とする場所でもあってけっこう賑やかなところだ
魔法使いの証明としてカードを出すシーコ
カードを受け取り確認する受付の女性
ドクンは初めて入った見慣れない場所に周りを見て動いてキョロキョロしている
「ちょっと、キョロキョロしないの」
周りの人の目を気にしていつもより小さめの声で注意するシーコ
「落ち着きのない奴だぜ」
リンも初めてらしく緊張しているような感じだ
「はい、シーコ様ですね。それではこちらに手を当ててください」と水晶玉を出す受付の女性
「はい」と慣れたように水晶玉に両手をかざすシーコ
手からフワッ!と発した白いユラユラとした闘気がシーコの体中を包む
わずか5秒ほどの時間
終わったようで「フウー・・・」声を漏らす
受付の女性は水晶玉に貯まったシーコの修行の経験値を確認する
そして最後にシーコのカードに修行の経験値を上書きする「オーバーライト」と唱える
「はい、完了しました」シーコにカードを返す受付の女性
「あ、あの、わたしの魔法使いのレベルは上がってましたか?」
ドキドキしながら聞くシーコ
「う~ん、まだ上がってなかったですね」
「はぁ~~~なんでよ~~~あんなに頑張ったのに~~~」ため息を吐き落胆するシーコ
「シーコはビビったり気絶したりするだけだったからな、修行なんてしてないじゃんアハハ」笑うドクン
「アンタと会うまでにもいろいろあったのよ!」
怒るシーコだったが受付が「あ、でも新しい魔法は覚えてましたよ」
「え、ほんと?やったー!」受付の言葉にシーコはジャンプして喜んで受付に聞く「どんな魔法ですか?」ワクワクして聞くシーコ
「あ、あの初級魔法なんですが・・・透明になれる魔法トラペアです」少し気まずそうに答えた




