俺がシーコを持つよ
ナイ村を出発したドクン、シーコ、クーポン、リンの4人は町を目指していた
辺り一面平原が広がる
天気も良く緑の芝生と木々が自然溢れる美しい景色
「はぁ~もうヘトヘト・・・」
歩き疲れて顔がだらしなくなっているシーコがぼやく
ナイ村を出発して5時間も歩きっぱなしでは愚痴も言いたくなるのも分かるが
ドクンは全く疲れていない
それどころか「ペースが遅い」と不満そうだ
クーポンも空中に浮いているのか疲れている感じはない
リンもあまり疲れている様子はない
子供だが猫の獣人なので身体能力は人間の子供と比べてかなり高い
素早い身のこなしが得意だという
この中で体力が一番ないのはシーコのようだ
「あ~~~もうダメ~ぜえぜえ・・・」
シーコはくたびれてその場に座り込む
「おい、シーコ何してんだよ」
「何してんじゃないわよ!ちょっとくらい休ませてよ!わたしはアンタと違ってデリケートな体してんの!」
シーコの要望で10分ほど休憩することになった
アイテム袋から飲み物を出しゴクゴク「ふ~~」と一息つく
「俺もくれよ」
「はいはい」
「あれ?これ甘くない」
ドクンは水ではなく果物を絞った果汁をご希望だった
「何言ってんの、水で十分でしょ」
「でもシーコは果汁飲んでるじゃん」
「ほんっとにもう、はいはい」
「うめえ、んふふふふ」
果汁を飲んでニコニコ笑うドクン
「オレにはコーヒーよこせ」
「ミルク・・・」
リンがもじもじしながら小さくつぶやく
「リンはミルクだぞ」
「分かったわよ」
リンも人間の言語をシーコに教わって少し覚えたのかミルクは言えた
「あ~しみるぜ~このまろやかなコクがたまんねえな~」
「クーポンよくそんな苦いもの飲めるなー」
「悪魔ってコーヒーが好きなのかしら」
リンは小さな口でミルクをちびちび飲む
そして休憩も終わり出発しようとしたときドクンが閃く
「俺早く町に行くいい方法思いついた!」
瞬間的に思いつく
「なによ」
「このペースで進んでたらいつまでたっても町に着かないから俺が持つよ」
「持つって何?どういうこと?」
「俺がシーコを持つよ」
「は?」
そういうとドクンはシーコを右手で抱える
「いやちょっと・・・」
突然抱えられて戸惑うシーコ
そして左手ではリンを抱える
「わたしは…大丈夫・・・」
リンが遠慮するが気にせずお構いなし
そしてクーポンはドクンの頭の上に乗ることになった
「よし、いくぞ!」
タッタッタッタッタッタッタッタッターーーーー
もの凄いスピードで走る
「ギャアアアアアーーーーーー」
シーコが叫ぶ
絶叫マシンに乗ってる感覚だろうか
「グッグッグッ!!!!」
クーポンもあまりの速さに驚く
落とされないようにドクンの頭を力を込めて掴んで気力を出してこらえ踏ん張っている
リンは楽しそうな表情をして笑顔だ
平原にはシーコの悲鳴が響き渡っていた




