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少女リンの悲惨な過去

「わたしが温泉に入ろうとしてたら鞄を盗まれそうになったの!」



シーコは温泉に入るために服を脱いでいた

その時に横からスーっと手が伸びてきて鞄を取られそうになる

シーコはすぐに気づいて「なにすんのよ!」と大声を上げた

慌てた猫耳少女は逃げようとしたが近くにいた温泉客の女とぶつかって倒れて

その場で捕まった


ここの脱衣所には貴重品を入れるロッカーがある

ロッカーの鍵は魔法で認識されていて安全性はかなり高い

腕力に自信のある者が力任せに開けようとしてもビクともしない

村の温泉施設のロッカーにしては少々似つかわしくない?ほどの立派なロッカーだ

それだけこの村が温泉に入りに来る人達の安全、防犯に力を入れているということが分かる


シーコの場合はまだ服を脱いでいる途中でロッカーに貴重品を入れる前だった



「でもこの子さっきから全然喋らないの!」シーコ



猫耳少女は下を向いて黙秘もくひしている

温泉の従業員もシーコも何度も話しかけたが何も言わないで黙っている

黙っていて話さないのは後ろめたいことがあるからだろう

しかしこのままでは何も解決しない



「おい、ネコミミ」悪魔のクーポンが口を開いた



そのとき猫耳少女の耳がピクッ!っと反応した



「・・・・・」

クーポンの声に猫耳少女は顔を上げた

周りを見るが誰の声なのか分からなかった




「よう!」クーポンが猫耳少女の顔の真ん前にきた



「ひゃあああああ」突然だったので驚いて思わず飛び上がる猫耳少女



「しゃべった!」

猫耳少女が初めて声を出したことにシーコが驚く



「ちょっと話せるじゃないの!」

シーコが猫耳少女に厳しく詰め寄る



しかし猫耳少女はシーコの言葉に困っているような表情

泣きそうな顔になっている



「そいつ、言葉が分からないんじゃねえか?」

見ていたドクンが言う



「なあ?俺の言ってること分かるか?」

ドクンが猫耳少女に話しかける



猫耳少女はわけが分からなかったが首をふるふると横に振った

どうやらドクンの言葉も分からないみたいだ



「オレの言葉しか分からないみたいだな?ネコミミ!」




「は、はい」クーポンの声に表情が硬くこわばる猫耳少女




「まあ、そう緊張するな」

体長30㎝のクーポンが猫耳少女を思いやるような言葉をかける




「お前名前は?」



「リン…」



「そうか、それでリンはここでなにしてたんだ?」



リンは暗い顔になり下を向いて先ほどシーコに追及された時のように黙った



「リンは悪さをしてたのか・・・ククク」

リンをからかうように言いながら笑うクーポン



獣人の少女リンと悪魔のクーポンの会話をドクンとシーコそれに温泉施設の従業員は理解ができなかった

知らない言葉で魔法のように聞こえている

悪魔のクーポンは人間のドクンとシーコと普通に会話できるのにドクンとシーコはリンとは会話ができない

種族によって言語の違いもあるだろう



リンは見た感じはドクンやシーコと同じ人間に見える

ただ猫のような耳と尻尾がある

リンは猫の獣人らしい



「わたしの村・・・襲われて・・・」



リンとクーポンの会話は進む

どうやらこのナイ村の周辺でリンは家族と暮らしていた

同じ猫の獣人30人と一緒に

質素な暮らしではあったが平和でそれなりに幸せだった

しかし、十日前にリン達の集落が人間に襲われた



「グスッ・・・・」

その時のことを思い出したのかリンが涙を流す



「どんな奴らに襲われたんだ?」



「なんか・・軍隊みたいな・・・」



「軍隊?盗賊じゃないのか」

軍隊と聞いてクーポンは驚いた

盗賊が集落を襲うことはたまにあることだが軍隊って・・・



「うん…」

リンは頷く



リンの話では村を襲ったのは20人ほどの人間でみんな同じような服を着ていた

それぞれが剣や斧、銃などいろんな武器を持っていた

リンの父親など戦いが得意な獣人もいたがすぐに殺されて村を制圧された

残ったリンの母親と妹その他の獣人達は殺されなかったがどこかへ連れていかれた

リンは隠れていて逃げることができたがその光景をしっかり見ていた



「そういうことだ」

クーポンはドクンとシーコに説明した



「・・・・・・・」

重い話を聞かされて言葉が出てこないドクンとシーコ



「リンも大変だったみたいね、でも盗みはよくないわ」



リンは頭を下げてシーコに謝る

リンは逃げてきてナイ村に入った

最初はナイ村の人の多さに驚いたという

仕事を探したが10歳の少女にあるわけもなくお腹を空かしていた

そんな時、道で温泉客が落とした鞄を拾ったのだ

それで味をしめて調子に乗ってしまった

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