動き停止魔法ムーショー
「何でこの子がわたし達の部屋で倒れてるの?」
ドクンは説明した
夜中にいきなりヒマリが部屋に来たこと
ノックもせず入りナイフを持っていたこと
声をかけると突然自分に襲い掛かってきたこと
「なんでよ?意味わかんない」
シーコは頭が混乱する
「とりあえず、出よっか」シーコが言う
床に気絶したヒマリを自分たちのベッドに休ませて
ドクンとシーコは宿屋を出た
宿屋を出た瞬間2人は驚いた
宿屋が村の住人に囲まれていたからだ
数は男女合わせて50人ほど
その中にいる50歳くらいの村の農夫はクワを構え30歳くらいの女は包丁を手に持っている
他の村人の男も木の棒や錆びた剣などを持って宿屋を取り囲んでいる
どの村人も生気がなく無表情だ
「ど、どうなってんの!」シーコはビビる
ドクンは構えて「ぶっとばせばいいじゃん」問題ないという感じ
そう言ってると囲んでいた村人たちが一斉に向かってきた
「ここは私にまかせて!」
シーコが目をつむり念じる
シーコの体からユラ~っと闘気が出る
「ムーショー」シーコは魔法を唱えた
向かってきた村人たちの動きがピタッ!と止まった
「うう・・」声を出し動こうとしているが
金縛りにあったみたいに村人たちは動けない
「一定時間動きを封じる魔法よ、まだレベルが低いからそんな長い時間止められないけど」
「シーコすげええ」
2人は村人たちの包囲を抜けて走る
「このまま村を出るのか」
「そうしたいんだけどホワイトタイガーの解体頼んでたからとりあえずそれは返してもらわないとね」
「それよりさあ、なんで今の魔法あのトラに使わなかったんだ?」
シーコはジャングルでホワイトタイガーに襲われた
その時に先ほど使った魔法をなぜ使わなかったのか?動きを止めるだけでも少しの間でも逃げる時間が稼げるし他にもっといい魔法をシーコは使えるかもしれない
でもシーコのした行動はビビって走って逃げるだけというドクンから見てなんとも情けない行動だった
「いや、あの時は突然だったし……それにホワイトタイガーみたいなランクの高い魔物にわたしの魔法が通用するわけないじゃない!まだ魔法使いとしてレベルが低いわたしの魔法では魔法に耐性のない弱い魔物や村人くらいしかまともに通用しないの……」
「そうなのか」
「そうよ!アンタが異常なだけだから!普通の人はあんな強い魔物を簡単に倒せないからね!」
まだ夜中で辺りは真っ暗
道具屋に着いた
ドンッ!ドンッ!勢いよくドアをたたくシーコ
だが返事はない
扉を開けようとドアノブを回すと開いた
カギはかかってない
「あいてる」シーコが言う
道具屋に入るシーコとドクン
「ハルートさーん!」シーコが大声で呼ぶ
「おっちゃーん!」ドクンも呼ぶ
店の中は先ほど来た時と変わらない雰囲気で争った様子もない
「裏にいる・・・」
ドクンは人の気配を感じホワイトタイガーの解体場所に走った
店の裏側に行くとハルートが解体を終えて横になり大の字の体勢で「ガーガー」と大きなイビキをかいて寝ていた
ホワイトタイガーの姿はないので解体は終わっているようだ
肉は傷まないように冷蔵庫か冷暗所で保管しているのだろう
「おい、おっちゃん」ドクンが声をかける
「ん・・・なんだ?さっきのボウズか」
「ハルートさん大丈夫ですか」
シーコが心配そうに声をかける
「嬢ちゃんまでどうした?ん?まだ夜中だが」
ハルートはまだ暗いのにと不思議そうな顔だ
「解体はできてる?」
「おう、それならバッチリだ。それよりなんだ?朝に取りに来るんじゃなかったか」
シーコは今の状況をハルートに話した
宿屋でヒマリに襲われたこと
村人たちに襲われたこと




