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タイム・アクシス  作者: 怪鮮丼
第0章
1/5

プロローグ:k(x), l(y), m, n <Hr/t>

「ねぇ、私を殺してくれる?」

 それが、この場所で彼女が最初に発した言葉だった。


「それはプログラム? それとも……」

 自分の意思と言いかけて、あり得ないと頭をふる。


 それを察したように、彼女が頷いた気がした。かすかにショートヘアが揺れる。


「そう、これが私の意思」

 そうして彼女はニッコリと笑ってみせるが、顔の半分が破壊され、真っ赤な液体を垂らすそれは、僕の知る彼女の笑顔ではなかった。


「君の意思なわけがない。そうだろう」

 君の意思、そんなものはないのだ。僕はもう知っている。彼女のことについても、彼女がなぜここにいるのかも。


「ううん、今の私は違うの。信じて。愛してるなら、殺して」

 そして彼女はもう一度、殺してと囁いた。


 僕は握りしめたSslプラズマハンドガンを彼女へと向ける。

「どういうつもりだ」

 彼女の笑顔は、半壊していても、不気味なほど綺麗だった。


「愛してるなら、殺して」

 彼女の手が僕の手に触れる。彼女の心臓のあたりにプラズマハンドガンが接地する。


「函数fは十分滑らか」

 彼女ほそう微笑んで、ぐっと顔を近づけた。

 彼女の吐息が、僕の頬を撫でる。


 どうしてこんなことになったのだろう。

 僕はただ君が好きで、君も僕が好きで、ただそれだけで。それがずっと続いてくものだと思っていたのに。


 それなのに、どうして。


 僕はそっと引き金を引いた。

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