プロローグ
こんにちは!手に取っていただいて、ありがとうございます。今回は、神様を転生させてみようと思います。
プロローグは神様感を出すためにカッコよく書こうと努力しましたが、本編からは、楽しくやっていこうと思っているので、よろしくお願いします!
いつの時代も人は皆罪を犯す……そして、人はその罪滅ぼしのため、死ぬと天空で裁きを受ける……死後、どのようにその魂が日々を送るかの……
私はその裁きを仕る五女神の末っ子、湊。ここ、天城では、人だけでなく、妖、魔物、魔女など、様々なものを裁く。魂のあるものなら全て……
それは神でさえ例外でないのだ……
いつだったか。私は不覚にもある魂に恋をしてしまったらしい。同じ魂に3度も。そして、三度とも私は、その魂を地上へ送ってしまった。色々な形に変えて……何も罰を与えずに……
その魂がそんなにも善良だったかといわれてもわからない。ただ、もし私の姉たちが裁いていたら、その魂は二度と地上へ還らず、天空で罰として働かされていただろう。なぜかなどわからない。私はその魂が愛しくてたまらなくて、もう一度会いたいと思ったのだろう。天城から一歩も外に出られない私には、地上へ還すしかまたその魂に会う術はなかった。
しかし、その魂は善良ではなかったのだ。3度目の生で、人間となった彼はテロ事件を引き起こした。そして、数千人の善良な魂が、何も成し遂げることなく、天空に還って来てしまったのだ……
いくつもの調査によって、私が罪人であることはすぐに分かった。姉たちは私を裁き、幽閉という刑を与えた。これは神にとって死罪を意味する。神は世を創り上げた者たちだから、世に見捨てられ、忘れられれば、消滅する。幽閉されると、魂たちが持っているほんのすこしの私の記憶は徐々に薄れていく。三月も魂と接触しなければ、その微かな私の記憶は、完全に魂たちから無くなって、神である私は消滅する。
そんなとき、私の2番目の姉が私のもとへ来て、こう言った。
『罪滅ぼしをしなさい』と。
彼女は私に巻き付けられている術を解いて、私の奥底に眠っている魂を取り出した。
『そなたには三月ある。今から私がこの魂を、そなたの愛した魂のもとへ送ろう。彼の三つの生に。』
姉上は、私を時間の鎖から解き放って、彼の生きた時間へと戻してくれるという。そして、そのそれぞれの彼の生において、彼が罪を起こすのを防ぎ、彼を善良な人間にすれば、私の罪も無くなる、と。でも……
それは完全なる裏切りだ。他の神々に知れれば姉上は死ぬ。そして、これは、姉上の膨大な力を消費する。
『行け。』それでも姉上は強くこう言った。『大事な妹を捨てる神が創る世など、生きていて何の価値もない。』
私は立ち上がった。こうなれば姉上はてこでも動かないだろう。そして、私は半透明になった手を伸ばして姉上を見た。
姉上は、そんな私の手をとった。危険な賭けだがするしかない。それに……
私は微笑んでいた。彼に会いたい……こんな状況でもその声は深く深く心に響いていた。
『昔は神も人も妖も、みな手を取り合って生きていたという。もう千年も前までは……』
一呼吸おいて、姉上は続けた。
『そのとき何があったかは知らぬ。ただ、おまえは、』
姉上は私の魂を宙に上げて言った。『幸せになれ』
今まで感じたことのないほどの痛みや喜びや切なさという溢れるほどの感情が、一気に私の体をよぎった。あたりが真っ白になっていく。
そんな中でも、姉上の声は、強く私の体を伝った。
『天空の一月は、地上の三年。おまえの愛したものが歩んだ十六、十七、十八のときの生をおまえも共に歩むこととなる。彼の三つの生、すべてにおいて、その三年で彼を善良にできなかったら、おまえは消滅する。が、できるな?』
私はもう言うことを聞かなくなった体でなんとかうなづいた。
『ただし、』姉上は続ける。『おまえや私の魂は、他のもののそれとは勝手が違う。表面上何になろうとも、おまえが神であることは変わりない。』
だろうなと私は静かに思う。たとえ私が人間になったとしても、中身は私のままで、神の目を持ち、神の耳を持つのだろう。皮肉なものだ。
『そして、』と姉上は、いくらか重い声で続けた。『おまえのこれまでの記憶は、すべて失くなる。』
一瞬、足下が大きく揺れて、私はすべてを失った。