お仕事リベンジャーズ①
とんでもなくお久しぶりです!
気づいたら1年放置って自分でもΣ(゜д゜;)ってなりましたよ。
それでは長らくぶりの更新ですが本編どーぞー!
くぁぁ……とあくびでむにゃむにゃしながら上体を起こす、窓の外からは『ゴルゴッゴー!』とこの世界のニワトリポジション(らしい)の動物の鳴き声が聞こえてくる。
見た事ないけどなんか俺の後ろに立つなとか言いそうな鳴き声だなぁーと思いながらベッドの淵からぴょんと飛び降りる。
うん、床に足届かないんだよ。
ぐぐぐーっと身体を伸ばしてあくびを1つ、それから〈よっこいしょ〉とベッドの下の木箱をズリズリと引っ張り出すとなんとそこにはメイドさん見習いセットが!てーれってれー!
真っ白なシャツに紺のロングスカート、フリルエプロンとメイドカチューシャを装備したら変身完了!
〈今日こそお仕事がんばるぞー!おー!〉
まぁ、その前に朝ごはん食べるんだけどね。
今日の朝ごはんなにかなー?
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「…お、はよ…ござ…い、ま…、す」
背伸びでガチャリと扉を開けて使用人さん達の食堂部屋に入ると既に他の使用人さん達がいたからちゃんと頭を下げて挨拶する。おはようございますは大事なんだよ。
「おはよう」「おはようございます」「ノアールちゃんおはよう♪」「おう」
私がおはようございますってすると使用人さん達もおはようってちゃんと返してくれた。
それからどこに座ろうかなぁってキョロキョロしてると先に座ってたルーラさんがおいでおいでと私を呼ぶので近づくと脇に手を通されてあっという間にお膝だっこの体勢になってしまっていた!?なんという早業!?私じゃなかったら見逃してるね!見逃したけど!
というかこのままだと朝ごはんが取りに行けないんだよ?!
そのままお膝だっこで動けないでいるとそれを見かねた調理担当のワイルド系イケおじ(イケメンおじさんの略ね)のガルボさんが朝ごはんの乗ったトレーを持ってきてくれた。
「ほれ、さっさと食いな」
「…あ、……りが、と……、ざい、ま…す」
ニッコリとお礼をするとプイッと無視されてしまった。うぅ…なにか失礼しちゃったのかなぁ…?
「いた……、だ、…き、ま……、す」
ちょっぴりしょんぼり気分でトレーに乗ったコップに手を伸ばし…伸ば……、だっこされてて届かない!!
「ん……、んー!」
「はいどうぞ♪」
私が必死で手を伸ばしてる横からルーラさんがさっとコップを取って手渡された。うん、このお腹の手を離してくれたらいいだけなんですよ?
それからもお腹の手が離される事はなくお皿を取ってもらったりアーンってされたり、終始ルーラさんにお世話されっぱなしな朝ごはんだった。
ハムエッグが美味しかったです。
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「「「「「行ってらっしゃいませご主人様」」」」」
「い、…てら…、しゃ、…っせ、……ご…しゅ、じい"っ!?……さ……、ま…」
朝ごはんが終わったら使用人さん達で集まっての朝の会、それとご主人様のクラウスさんのお見送りだ。
他の人と同じ早さで言おうとしたら舌噛んだー……(半涙目)。
ご主人様は小さく肩を震わせながら出勤して行った、あれ絶対笑ってたでしょ!むー!
さぁ気を取り直してお仕事開始だ、今日のお仕事はルーラさんと一緒に使用人さん達全員の服のお洗濯、これをお昼ご飯までにやらないといけないの。
まずはみんなの部屋を回って洗濯物回収だー!えいえいおー!
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まず最初のお部屋は執事室。この部屋は御屋敷の3階にあってご主人様のお部屋のお隣さんなのだ。
持ってきた洗濯物籠を床に置いてからドアをコンコンとノックすると中から出てきたのは暗い茶髪の燕尾服を着た優しそうなお兄さん。
「おや?いらっしゃいノアールさん、ルーラさん、何の御用ですか?」
「せ……ん、たく…、も、…の、……くだ、っ…さ、い」
「はい、わかりました、少しお待ちくださいね」
私が要件を伝えるとお兄さんはすぐに部屋の中に戻っていった。
今出てきたのは執事補佐のカリオンさん。
そしてカリオンさんは私とおんなじで執事補佐兼執事見習いさんで見習いさんの先輩なのだ。
「お待たせしました、よろしくお願いいたしますね」
「は、…い」
戻ってきたカリオンさんから洗濯物を受け取る。
洗濯物はそんなに多くなくて私一人でも持てるくらいの量だった。
「つ、…ぎ…、いき……、ま、…す」
「頑張ってくださいね、ノアールさん」
「は…、い!」
別れ際にカリオンさんに頭を撫でてもらってから私達は次の場所へ向かった。
次に来たのは1階の男性使用人さん達のお部屋。
2階には私達女性使用人のお部屋もあるんだけど男の人と洗濯物を混ぜたくないから先に男物をまとめておくんだって。お父さん洗濯物一緒にしないで!みたいな感じなのかな?
男部屋に入るとまず真っ先にルーラさんは部屋の窓を全開にした、するとちょっとこもってた男の人特有の匂いが薄れていった。こまめな換気は大事なんですよ?
「ノアールちゃんはそこにある籠から中身を移し替えておいてくれる?」
ルーラさんが指さす方を見てみると寸胴鍋みたいな籠があった。中を見てみると籠の半分くらいまで貯まった洗濯物があった。
「は…、い」
私が返事をするとルーラさんはちょこちょこ落ちてるゴミを片付けたりベッドをキレイに直したりし始めた。
私も籠に頭ごと突っ込んで中の洗濯物を一気に引っ張り出し、それを持ってきた洗濯物籠目掛けてダンクシューット!
途中でポロポロ落っこちた靴下とかも拾って……、くっさい!?(籠に向かって靴下全力投球)
そんな風に何回か往復してシュートしてるうちに寸胴籠の中の洗濯物も減っていき次で最後っていう所まできた。
最後の洗濯物を取ろうとつま先立ちでこれまで以上に頭を突っ込み手を伸ばす。
〈と…どい、たー!〉
洗濯物を掴んだその瞬間身体が前のめりになり
ドターン!!
と寸銅籠ごとひっくり返った。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
ドターン!!
「え?なに!?」
私は物音のした方に慌てて振り向いた、するとそこには散らばった洗濯物と小さな足を生やした寸胴籠が仰向け(足の向き的に)に倒れていた。
その籠に近づくと生えていた足が引っ込み中でゴソゴソしてからノアールちゃんが四つん這いで出てきた。
「えっと、ノアールちゃん大丈夫?怪我はない?」
心配して声をかけて見るとノアールちゃんはぽかーんとした表情でその場にペタンと座り込み〈びっくりしたぁ……〉と呟いた。
ごめんなんて?
「ごめん聞こえなかったからもう一度言ってくれるかな?」
〈え…、あの、えっと…洗濯物取ろうとしたら届かなくって、背伸びしたらぐるんってなってそれで…。あの……その……〉
籠から出てきて座り込んでしまったノアールちゃんに話しかけると急にビクッとなってからアワアワと慌てだし私が知らない言葉(おそらくは彼女の国の言葉)で喋りだし身振り手振りで何が起きたのかを伝えようとしてきたが何を言ってるのかが分からないし、このままだと埒が明かないのでまずは落ち着かせる事にした。
「よーしよしよし。大丈夫だよー、お姉ちゃん怖くないよー」
〈ひぅっ……!?〉
私はノアールちゃんの前で膝をつきその小さな身体を抱き寄せた。その瞬間にまたビクッとなってそのまま固まってしまったがそれでも変わらずに一定のリズムでノアールちゃんの背中を叩きながらしっかりと抱きしめる。
すると次第に落ち着いてきたのか強ばっていた身体から力が抜け恐る恐るという風にノアールちゃんからも抱きついてきてくれた。
今この瞬間が人生最大の幸福であると私は確信した!
今なら襲っても大丈夫です!
私の心の天使がそう囁きかけてくる。天使が言ってるなら多分大丈夫でしょう!
しかしそこへ悪魔が来て
まだダメだ、もっと順序を追ってからじゃないと!
なるほどそれも一理ある。なら一体私はどうすればいいんだー!!
天使と悪魔がせめぎあい荒ぶる心を悟られないようにそのまま抱きしめ、しばらくして落ち着いたのを(自分も含めて)確認してからゆっくりと身体を離す。
「ノアールちゃん落ち着いた?」
〈はい……〉
「ノアールちゃんの言葉がそれだとお姉ちゃん分からないかなぁ…」
〈あ…!〉「ん…、あ…あ…ん、んん……。こ、…れ…、で、だ、い……じょ、…ぶ、で……す……?」
「うん、ありがとう。ノアールちゃんも大丈夫?まだぎゅーってする?」
「もっ…、だ、…だぃっ……、じょ…ぶっ、…で、す!」
ノアールちゃんがさっきの事を思い出したのか顔を真っ赤にして私から慌てて離れ、あっという間に散らばった洗濯物をかき集めて持ってきた籠に叩き込んだ。
「おわ……、まっ…、し、た!」
そして普段より早口なせいで途切れ途切れな言葉で終わったと報告にきた。真っ赤な顔のままで。
その顔をジッと見つめるとノアールちゃんは恥ずかしそうに目を逸らした、それでもジッと見つめ続けると次第に顔の赤みも無くなり不安そうに瞳を揺らしながら身体の前で手をモジモジさせ、更に見つめ続けるとその潤んだ瞳からはひと粒の雫がーー
「何泣かせてんの!!」
「いったーい!?」
スパーンと叩かれた頭を擦りながら振り返るとそこにはスリッパを持ち仁王立ちしたライラが。
「変態なお姉ちゃんは私がやっつけたからね!もう大丈夫よー」
ライラは涙目のノアールちゃんに駆け寄ると片腕でサッと抱え上げ私から引き離すと空いたもう一方の手でノアールちゃんの分の洗濯物籠を持ち上げた。
相変わらず馬鹿力ねー。
「ほらルーラも早くそれ持って、お昼までに終わらないわよ!」
「もう、今日は私がノアールちゃんの担当よ?」
「だったら怖がらせてないでちゃんとしなさい」
「私はただかわいいノアールちゃんを眺めていただけよ?」
「荒い息吐きながらじわじわと追い詰めるのは眺めるって普通言わないの!」
失礼な!って思ったらノアールちゃんもうんうんってうなづいてる!?
「……こ、わ……、いの、……や……、…だ」
「大丈夫よ、お姉ちゃんが怖いのなんて倒してあげるから!」
「あなたがその倒すべき『怖いの』なのよ」
そんなふうに私達は軽口を叩きながら次の部屋に向かって行ったのでした。