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お仕事始めました



『もう入ってきてもらっても大丈夫ですよ』


そう私が念じるとガチャりと扉が開き一人の男性が入ってきた。

それと同時に『うん、よく似合ってると思うよ』と私の頭の中に声が響く。


今入ってきた男性はクラウス・ウォッチャー、この声の主であり私の雇い主様である。


『そりゃあもう……、さんざん弄られましたからね……』

後ろにいる二人のメイドさんをちらりと見る

1人は光沢がかった赤髪のルーラさん、別に転移ができるとかではないけど気付いたら後ろにいる事があって、何回か驚かされて自分が顔を見上げると…えーと…、そうあれ、恍惚な表情?をして見てくる。貞操の危険を感じるのは間違いじゃないと思う。身体拭いてもらう時とか特にね……。


もう一人は明るいオレンジ髪のライラさん、theお姉ちゃんな雰囲気で自分が寝込んでる間お世話してくれたり偶に頭撫でてくれたりするいい人。前世は男兄弟で自分が兄だったから上に誰かいる感じは分からないけどこんな人がお姉ちゃんだったらいいなって思えた。


そして私も今日からメイドさん、正確にはメイドさん見習いで、クラウスさんにお仕事くださいと頼んだらこうなった。

うんまぁお仕事については自分も納得した上でだからいいよ?


よく考えたら分かるけどまず何処の誰が住所不定保護者無しの幼女を雇うのかと、おまけにこの国では一人も黒髪の人間はおらずその珍しさから誘拐されて何処かに売られる可能性もあるとも言われたからね、反論の余地無しですよ。


という事でクラウスさんのお屋敷でメイド見習いとして働く事になったんだけど、その話し合い中に倒れちゃったから目を覚ました時に体調が戻るまでは休んでなさいって言われて、長い療養生活の末やっと許可を貰うことができたところ。


―――――――



私の着せ替えも終わり、クラウスさんに手を引かれこのお屋敷のホールに入る。

そこにはルーラさん、ライラさんを含めた使用人さん達が集まっていた。



「わざわざ集まってもらってすまないね、皆も知っての通りだけど今日からこの子がうちで働く事になる、まぁ見ての通り訳ありだけど仲良くしてやってくれ」


クラウスさんの話が終わりそっと私の背が押される。

私は軽く深呼吸をしてからそれぞれの顔を見渡す、全員に注目されるのは緊張するけど、それでも頑張らないといけないと気持ちを決めて言葉を紡ぐ。


私だってただで寝込んでいたわけじゃない、ちゃんとこちらの言葉の勉強をしてゆっくりなら少しだけ喋れるようになったんだから!


「わ…わたっ…し……はノアー…ルと、…いいます。よ……ろしく…、おねが、いし…ます!」



結局グダグダなってしまった挨拶を不安に思いつつ深くお辞儀をするとパチパチパチと拍手が聴こえてきた、顔を上げると皆が笑顔で拍手をしてくれていて、それが嬉しくて私はもう一度皆に深くお辞儀をした。


「それじゃあ挨拶も済んだ事だし、そうだね…、ライラ、このままノアールの面倒を見てくれるかい?」


「かしこまりました」

クラウスさんの言葉にすぐにライラさんは返事をしてから私に向かって軽く微笑んできたので会釈を返す。


それからも使用人それぞれからの報告を聞いたり連絡事項を聞いたりしてる間に(はやくて全部聞き取れなかったけど)クラウスさんがお仕事に行く時間になった。


「それじゃあ行ってきます」


そう言って仕事に行くクラウスさんを使用人全員で見送って朝の会?みたいなのは終了。


その後私はライラさんにお屋敷の案内をして貰っている。


お仕事をするにしてもまだお屋敷の中をほとんど知らないから入ったらダメな所とか分からないからね。


案内して貰ってから分かったけど、このお屋敷は3階建てで上からみたらコの字になっていて真ん中に中庭があるというとんでもない豪邸だった。

そう思って聞いてみたらライラさん曰く「貴族の家の中では小さい方じゃないのかな?私達使用人が少なくても回せてるし」との事、これで小さいってこの世界の貴族凄すぎやしませんか?





「さてと…、じゃあ次は実際にお仕事をしてみようか」

そう言って手を引かれて入った部屋にはいろんな道具が置かれていた


「……こ…こは?」

「物置部屋だね、確かこの辺に……、あったあった」


はい、と手渡されたのは長い管の片側に袋が付いたよく分からなかい物、それをいろんな向きから観察して見ると管と袋の接続部付近に緑色の石が1つくっついているだけで他に変わった所はなかった。


「……?」

ライラさんの方を見てみると自分の持っている物より大きな物を持っていた


「これはね、掃除機っていう便利な魔道具だよ、使い方はね……」


どっちかと言うと巨大なスポイトにしか思えなかったコレは掃除機だったらしい、ふむふむ、この緑色の石が魔石でこれに魔力を流したら掃除機が動くと……、でもどうやって魔力流すの?


「ま…りょ……く、ど…やっ……て?」

「え…?」

「…だし……かた」

「もしかして魔力の出し方分からないの?」


私がうんと頷くとどうしたものかと頭を抱えてしまった。

わからないモノはわからないんです。


とりあえず手持ち無沙汰なので掃除機もとい掃除機の魔石を観察してみる事にした。

そしてじっと目を凝らして魔石を見てみると小さな模様が魔石の中にあるのを見つけた。


模様というよりは魔法陣的な…?魔石に魔法陣を組み込んで後は魔力だけで動くようにしたとかそんな感じかな?掃除機だし魔石のイメージ的に風魔法とか?たしか念話の魔石、魔道具?は二個で一個の道具らしいから魔力云々は全部クラウスさん持ちだったんだよねあれ、親機と子機的な感じで。

とりあえず魔力出せないと仕事にならないみたいだし、まぁノリと勢いでなんとかなるかな?

異世界物の定番「日本人はやたらと魔法関連に適正がある」に期待してもいいよね。


魔石に手をあてて目を閉じ軽く息を吐く。


手に力を集めるイメージで……、お?、なんかそれっぽいの来た!よしよしこのまま……ってバラバラになったしorz。もっかい!……そうそうこのままこのまま、ここで………止める!よーし、それで次は魔石に送るイメージでっ……、(ごおぉぉぉ……)できた!



「あれ!?できないんじゃなかったの?」

「……でき……た(ドヤァ)」

「うんまぁできたのならいいのかな?」

(ごおぉぉぉぉ!)


「ところでノアールちゃん?ちょっと掃除機の力強すぎじゃないかな?どれくらい魔力込めたのか教えてくれる?」

「わ…かな……い?」

「わからないって、(ごおぉぉぉぉぉ!)また強くなった!?ってノアールちゃん魔石から手離して!!」

「……手?……ぅ…」


おぉぅ……、ふらふらがヤバい、魔力掃除機に流しっぱなしになってたぽい?つまりこれは魔力使いすぎたらなるやつか、記念すべき?初魔力切れがお仕事初日とはこれいかにぃぃ………。


バタリ。



「あぁもうどうしようこれ……」



その後、夜になって目を覚ました私はライラさんを始め使用人の人達にめっちゃ謝った。


ここまで読んでいただきありがとうございました

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