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人外はある日突然やって来る③


僕は生まれた時から家族以外の全てに忌子と呼ばれ、呪いやら毒やらが身近な生活を送っている。


偶然呼び出した精霊と契約を結ばないといけなくなったが、目的はないため正直なんのために結ぶべきか、僕には分からない。


「普通にお考えのになるなら、害なす者から守れ、あるいは害なす者を滅せよ、でしょうか?」


まあ、確かにそうだよね。

元々は守護精霊を呼び出すための魔法陣だったみたいだし。

でも今すでに守護精霊がいると、本来なら兄様くらいの年齢で行う時に出来なくなっちゃうんじゃない?

出来るだけ穏便に害のない人間でいることが僕の目標なんだけど。



「まぁ召喚主の魔力が多ければ複数の守護精霊を保つことも可能ですよ。その時期に新たな精霊を呼び出すことは貴方なら可能だと思いますが。」



へぇー。

そうなんだ。僕まだ習ってないから知らなかったよ。

じゃあ君のことを隠しつつ他の精霊を呼び出すことも可能なのかな。


「えぇ、私自身が何か依代を得れば精霊としての気配を隠すことは出来ます。」



えっ!すごいね。

よし!じゃあ、そうしよう。


僕のそばで依代を得て、のんびり過ごして時々僕とお話しする。

期限は契約の魔力が尽きるまで。


どう?


「はぁ…えっ!過ごすだけですか?守ってとか、敵は排除とか、赤ちゃんなんですからそういうの必要なんじゃないんですか?」


まぁそうなんだけど。

どこまでのことをしたら排除とか、守る基準って分からなくない?

僕には兄様と双子のレティもいるから、きっとこれからケンカとかしちゃうこともあるし、そしたらそれも害あるものになっちゃうかもしれない。

そんなことで君に僕の大切な兄弟が危害を加えられたら…


僕の目に兄弟が倒れている姿が浮かぶ。

だめだ。

想像しただけで暗くて、そして抱いてはいけない気持ちで一杯になる。

僕の瞳に闇が落ちる。


『僕、君を許せなくなっちゃう。』



「つっっ!」


(なんて目をなさるんでしょうね…凄まじい威圧感(プレッシャー)です…)



「…わかりました。それがお望みならそういたしましょう。」



あっ、本当?

良かった!他には特に思い浮かばなくてさ。



「ふふふ、変わった方ですね。貴方は。」



まぁ、忌子の二つ名を持ちますから。



「では契約は完了です。貴方の体に契約の印が出ますが、私が側にいる間はカモフラージュしておきますので、ご安心ください。」



あっ、そういうのも出るんですね。

僕の知らないことだらけだ。


「聞いてくだされば、お応えいたしましょう。私はこれから貴方の側にいますから。」



うん、よろしくね。


「そうそう。依代を得ないとダメですね。本来ならご用意いただく流れですが、今の貴方では難しいと思いますので自分で探してまいります」



うわ、助かるー。

ありがとう。


「いえ。貴方の側にいる、となると限られますからね。」


ちなみに、どういうものが必要なの?


僕は興味本位で聞く。


僕の守護精霊は怪しく笑った。


「…魂のない器ですよ。」



ん?それは…?



「では、器を得て再び貴方の前に戻りましょう。

貴方もそろそろお目覚めください。」



ちょ、待って。まだ質問が。



黒い僕は暗闇の彼方に消えると同時に、眩しい光が差し込んできた。



全てが光に満たされると同時に僕は目が覚めた。


僕は座ったまま本を開き、レティは相変わらずハイハイで動き回ってみんなに追いかけられている。


先程とまったく変わらない。

黒い僕と出会ったことは僕の夢の中で起こっていたのかな。


でも。

夢じゃないことはわかっている。

何故なら僕の指先には切り傷があり、反対の手のひらには怪しい印が刻まれていた。


間違いなくこれは彼が言っていた契約の印。





僕はその掌の印を見つめながら、僕のお風呂の時間までに彼が戻ってきて、この印をカモフラージュしてくれることを願わずにはいられなかった。



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