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人外はある日突然やってくる②

ようやく更新。


「おや。まだ話はできないのですか。困りましたね。」


突然現れた僕そっくりのその奇妙な赤ん坊は子供らしからぬ表情で腕を組み顔を傾けた。



自分にそっくりな赤ん坊相手にいうのもあれだか、なんて愛らしいのだろう。

とりあえずこの珍妙な状況を理解したいところなのだが、いかんせん僕にはさっぱり分からない。

パニックになりかけたが、持ち直した自分を褒めてあげたい。


そんな僕を見ながら黒い髪の僕は目を細める。

そして少し頷き、納得したかのように手をポンと叩いた。



「貴方、赤ちゃんの割には思考は比較的成長されているというか、理解されているのですね。なるほど。だからこそ私を召喚できたのでしょうか。」


ん?どういうこと?


「そのままですよ、でも自分を愛らしいとか、赤ちゃんとはいえもうナルシス思考をお持ちとは…。ちょっとだけ将来を心配致します。」



ため息をつきながら黒い僕は、僕をみる。


もしかして、

「えぇ、貴方の心の声を私が読み取っています。」


えっ!そんなことできるの?

僕は正直驚いた。そういう能力(ステータス)の持ち主さんとか?

まぁそういう能力はありそうだけど、僕の心を読もうなんてする人は初めてだよ。


「そうですか。心眼は人でも持ちわせている方もいらっしゃいますが、私とは性能が違いますよ。貴方の場合は無意識の防御機構(プロテクト)が働いてますから人間の技能(スキル)では踏み込める者は極小でしょう。」



そうなのか。

赤ん坊のくせに達観して思考したり、無毒化の能力や思考ブロックなんて出来ちゃう僕は、やはり忌みべき存在なのかな。

こんな訳の分からない状況に馴染んじゃうあたり、やはり変なのかな。


「まぁ普通ではありえませんね。そもそも私を呼び出すことが異常といえば異常でしょうね」


黒い僕は淡々と語る。

そういえば君は誰?



「私は貴方の魔力と血に召喚された者です。私を見た者は暗き精霊とか暗黒の精霊とか呼びますが、お好きにどうぞ。」


僕精霊を呼び出しちゃったの?

しかも物騒なお名前の持ち主で。

忌子が暗黒精霊とタッグ組んだら、それこそ暗殺ものでしょ。

ってかなんで精霊召喚出来たのか。僕はまだ呪文なんて喋れないんだけどなぁ。


「召喚陣より魔力と血を頂きました。なかなか一気に魔力を送って下さったので下位の精霊は弾けてしまいました。その時の力で私の扉が開いたのですが、珍しいパターンだったので驚きましたよ。しかもお相手が赤ちゃんだったとは。初めての事です。」


召喚陣…。


あっ、あの下手な模様かな?手を切っちゃった紙のやつ?


あんなので召喚しちゃったの?



「ふむ?そちらも不本意だったようですね。色々な偶然が重なったとしか言えませんが。血と魔力をいただいちゃったのでまぁ契約をしていただきますよ?」


黒い僕は妖しい笑顔でそう説明した。

赤ん坊がその笑顔しちゃうの本当にやばいから。



っていうかさっきから可笑しな言葉がたくさん出てますよ?

暗黒精霊とかもだけど、下位の精霊が弾けたとか、契約が必要とか、おかしくないですか?

しかも珍しいパターンが重なったみたいなこと言ってましたよね?


しかも契約は絶対!みたいなお話ですが、契約するとどうなるの?


「状況の異常さは追々分かれば問題ありませんよ。

人の中には精霊と直接契約する者もいますので。契約自体は珍しいものではありません。」


僕の考えを読みながら黒い僕は説明する。


「呼び出すの頂いた代償はすでに血と魔力をいただいています。呼び出すこと自体がすでに契約の始まりであり、代償を頂いた以上貴方に私の力で契約を履行しなければ、契約した力が行き場をなくしますので、おそらく私と貴方、どちらにも力の反作用が働きます。」


まぁ、確かに普通は目的があるから召喚しますよね。

僕の場合は本当にただの偶然。


「私、呼び出されて姿まで具象化したのでかなりの魔力を頂いたのだと思いまして、契約者が魔力枯渇で亡くなられたのではと喜んでましたが、まさかこんなにピンピンしている生命力溢れてる赤ちゃんがそうとは思いもよらず驚いております。」


恐ろしいことをサラっと言いますね。

魔力枯渇もそうですが。

僕が死んでいたら喜んでいたというあたり、やはり暗黒精霊ですね。


「代償を頂いた相手が死んでしまった場合は、頂いた者は無償で自分のものになりますからね。悪魔などは契約者が自分のランクに合わないと召喚の時点で相手を屠るくらい普通にしますからね。私たちはそんな野蛮なことは致しませんが。」


うん、僕の知らないことがたくさんありすぎてちょっとついていけなくなりそうだけど、とりあえず呼び出しちゃった相手が悪魔じゃなくて良かったよ。


「まぁ貴方なら悪魔も従ったかもしれませんよ。」



いや。それは駄目です。とりあえず何も知識がなくても悪魔って響きですでにアウトです。



「そうですか。では私たちの契約の話を進めましょうか。」


再び本題に戻った。


「私たちを呼び出す方は、一時的な契約をされる方と永続的な契約をされる方がいます。一時的なものであれば頂いた魔力で履行致します。」


じゃあ永続ってのは、いつまでを言うのかな。


「永続を希望される方は、私たちに守護精霊としての契約をされ方がほとんどですね。その場合は寿命を全うされるまで、というパターンでしょうか。」



守護精霊!

そうか、やはりあの紙は兄様が守護精霊を契約するための練習で作成した手習いだったんだ。

そうと分かっていたら触らなかった、かは分からないけどもっと注意したのにな。


「まぁ過ぎてしまったことはどうしようもありませんよ。」



黒い僕は僕の記憶も見ているようで、僕の頭をうなづきながら見つめている。



「さぁ、忌子を自称する貴方は、私に何を望む?」







もうすこし続きます。

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