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パンチラと神  作者: 橋沢高広
7/44

【第7回】

 ※


 一学期の中間試験を終えた五月の終盤になると、「たい、女子生徒」という意味で一年一組の男子は、大別して四種類に分けられる様になった。俺的おれてきに表現すれば、「東雲しののめ派」、「侑紀ゆうき派」、「胡桃くるみ派」、そして、「その他」だ。

 特に侑紀は「学年一、いや、学校一の美女」として、既に名を馳せている。四つの派閥でも侑紀派が最大勢力であった。

 胡桃は「愛くるしい女子生徒」という理由で人気を博している。彼女は背が低い為、どうしても胡桃よりも背が高い相手に対して、〈上目遣い〉となってしまうのだ。その瞳に心を奪われた男子生徒も多い。

 そして、俺としては意外だったのが東雲である。決して「美人」ではないものの、「可愛い」という要素を持っていた彼女だが、その人気は、歯に衣着せない言動と、大胆な行動にあった。しかも、その言動には〈エロさ〉を含んだものが多い。

 その例として、朝のホームルームが始まる前、急に自分の席から立ち上がり、「ブラ、してくるの忘れた!」と、平気で言い放った事がある。

 東雲が〈天然キャラ〉であるのは間違いない。だが、クラスメイトの前で「ブラの件」を口にすれば、大変な事になるのは男子の方である。もちろん、彼女にしてみれば、「大変な事」を起こす気は毛頭なく、本人は平然としていた。そんな東雲を気にする男子生徒が増えても当然だろう。

 実は俺自身、この〈エロさ〉を伴った彼女の天然振りには翻弄されていた。

 大歳おおとし高校は私立の為、土曜日も午前中は授業がある。俺はゴールデンウィーク開けから、土曜日は自宅であるアパートへは戻らず、直接、〈東雲の部屋〉へ行く様になった。しかも、侑紀が、いつも一緒である。

 学校から彼女の部屋へ行くと、まず一緒に暮らしている胡桃の姿が消え、二階部分にある部屋でオリジナルのメイド服に着替えてから、再び、東雲の部屋に戻る。ここにあるキッチンで彼女は簡単な……、本人は、そう言っているが、少なくとも伯母が作る昼食よりも手の込んだものを作り始めた。

 その間、俺と東雲、侑紀の三人は他愛もない話をしているのだが、この時、東雲は着替えもせず、制服姿のまま、ここで過ごす。

 正確に表現すれば、ここはワンルームではなく、奥に六畳ほどの部屋があり、彼女は、こちらを寝室として使っているという。つまり、男の俺が、この部屋にいても東雲は着替えられるのだ。しかし、彼女は、それをしない。

「だって、制服って、意外に楽なんだもん!」というのが、その理由である。一方、学校から戻ると、彼女は数分程、この寝室へと消える。その時、彼女は下着の上に履いているスパッツだけを脱ぐのであった。

 彼女の部屋にあるソファは背もたれを倒すとベッドにもなるタイプであり、ソファテーブルを挟み、これが向き合う形で設置されている。女子三人の定位置として、玄関から向かって左側の奥に東雲、その隣に胡桃、東雲の前に侑紀が座っていた。俺は必然的に空席となっていた侑紀の隣へと腰を降ろす。

 東雲は無意識の内にだろうが、クッションを抱き、両方の足をソファの上に置いて座る癖があった。いわゆる「体育座り」になるのだ。こうなると、短い制服のスカートから彼女の下着が見えてしまう事もある。間違いなく、東雲の正面に座っている侑紀からすれば、その下着は丸見えの筈だ。しかし、侑紀は、それを注意しない……、いや、全く眼中にない様である。俺は彼女達との雑談中、東雲のスカート……、正確には、そこから見え隠れする下着に全神経を奪われる事になった。

 ある時、俺は、どうしても、それが気になり、東雲に注意する。正直に言えば、「苦渋の決断」でもあったが……。

 その時の反応に俺は開いた口が塞がらなかった。

「あっ、これ、別に気にしないで。もし、私のパンツ、見たかったら、見せてあげるわよ」と言って、彼女は立ち上がりながら、俺の方を向き、自らのスカートを捲り上げたのである。

(健全な男子に対して、何という〈嬉しい暴挙〉を!)と考えながら、俺の心は躍り捲っていた。

 彼女の言葉が続く。

「下着の中を見せてくれ」と言われれば、それは躊躇するけど、パンツぐらい見られたってねぇ……。減るもんじゃないし……。第一、下着も、お洒落の対象よ。『勝負パンツ』とか言う前に、いつ見られても良い様に準備して当然だわ!」

 そう言い切る東雲の顔には、一切の恥ずかしさが、なかった。

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