【第44回:最終回】
俺は、ここで少し声量を上げ、神に訴えた。
「ただ、東雲の短いスカートから見え隠れするパンツに対して、興味を持てないのは勘弁して欲しい。
俺も健全な男子だ! エロい事には興味がある!『パンチラ』も、その一つだ!
しかも、制服を着た時、パンツの上にスパッツを履くのが常識と化している現状に於いて、それすら履くのを嫌う東雲……、その上、ファーストキスの相手でもある東雲のパンチラに興奮を覚えないのは、男として『大切なもの』を失った気がしてならない。
そこで、お願いだ。
ここにいる東雲、侑紀、胡桃が俺にとって、『恋愛感情が、どうの、こうの』という次元を超えた特殊な存在なのは認めよう。でも、東雲のパンチラだけは愉しめる様にして貰いたい!」
その言葉に侑紀が呆れた表情を顔に浮かべ、呟く。
「それって、男としては『切実な問題』かも知れないけど……」
次の瞬間、東雲が立ち上がり、俺の方へ身体を向けてから、その短いスカートを捲り上げた。布の面積が比較的小さいセクシーな下着を俺の視線は捉える。
東雲が声を発した。
「これ、さっきも試したけど、勇介は、これぐらいじゃ、興奮しないのよねぇ……」
そこには、「残念ね、勇介!」という、勝ち誇ったニュアンスが色濃く刻まれているのを俺は察知したが、内心、その言葉を気にしている状況ではなかった。
(男として、この状況は嬉し過ぎる! 東雲のセクシーなパンツ、丸見えだ!)
俺は、その光景を目に焼き付け様と必死になる。その様子に東雲だけではなく、侑紀も胡桃も気付いたらしい。
侑紀の口が動く。
「勇介! もしかして、東雲のパンツを見て興奮していない?」
強い口調で言い放たれた、その言葉に東雲は、「まさか!」と、驚きの声を上げ、俺は満面の微笑みを、その顔に浮かべながら、「ご馳走様」とだけ告げる。
東雲は捲り上げていたスカートを戻すのと同時にソファへと座った。その顔は真っ赤になっている。
同時に俺は、(あれ?)と思っていた。
東雲は俺にパンツを見られても、気にしなかった筈だ。だが、今、彼女が見せている反応は違う。
(神は東雲に対しても『何か』を行ったのか?)
胡桃も微笑みながら、「もう、〈仕事〉が早いんだから……」と呟く。しかし、それは、この部屋にいる「ヒト」ではなく、「神」に告げられたものだと解釈する。
「神の臨機応変さには感心するわ」と、侑紀は言った後、俺の顔に視線を向けてから、「これで満足?」と聞き返す。それに俺は応じた。
「恋愛感情の有無は別として、俺にとっても東雲は、やはり特別な存在なんだ。だから、その結果として、俺は今、この場にいる。その上、胡桃にも、そして神にも友人として認められ、神は俺の願いを聞き入れてくれた! 神に感謝する!」
「そこまで東雲のパンツが見たければ、この部屋での座る位置、変わるわよ。私の場所からは彼女の下着、見放題だから……」という侑紀の言葉に俺は反論する。
「確かに以前、言った通り、(侑紀が座っている場所なら、パンツが見放題だ!)と思った事はあるが、やはり、『チラリズムが持つ、エロさには勝てない』と、今、東雲のパンツを見ながら痛感した。とは言っても、そのパンツ、俺の記憶に焼き付けたが!」
その言葉に侑紀が屈託のない微笑みを浮かべた。
一方、ここで胡桃が疑問を呈する。
「確かに、ご主人様は『彼女』……、この場では『神』という言葉に終始してしまいましたが、その話をする際、エロい話を随所に鏤めながら進める手法は、私も『上手い』と感じていました。でも、今の話を聞く限り、ご主人様は本能的な観点から素直に『エロい話』を選んでいた様な気がして……」
「その通りだよ」と言ってから、俺は話を続ける。
「男にとって『エロ』は〈必需品〉だ。これが、なくなったら『男としての存在意義』も失う。だから『神』の話をする際、『パンチラ』が登場しても、良いじゃないか!」
次の瞬間、東雲、侑紀、胡桃の女子三人が呆れた表情を浮かべた。
それを無視して俺は、ある提案を行う。
「胡桃が『神』の事を『彼女』と呼ぶのは構わないが、俺達も、その神に対して、何だかの『呼び方』が欲しい。別に『神』でも構わないが、俺達は『友達』なんだ。もっと、フランクな呼び方があっても良いと考えている」
それに東雲が応じた。
「もう、お腹も減ったから、この後は胡桃ちゃんにカレーを作って貰うとして、その話は来週にしない? 一週間もあれば、色々な案が出るでしょう」
そう言った瞬間であった。俺の腹が「これでもか!」という程、大きな音を出す。
それを聞いた胡桃が、「早速、夕食の準備を!」と言って立ち上がり、その支度に取り掛かった。
同時に東雲が呆れた声を発する。
「勇介の場合、『エロい話』よりも、『食欲』の方が『素直』な様ね……」
パンチラと神(了)
But this story to be continued?




