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パンチラと神  作者: 橋沢高広
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【第43回】

 胡桃くるみの顔へ視線を向け、俺は続きを話す。

「神によって胡桃が『特殊な存在』となったのは確かだ。だが、胡桃自身が、それを気にする必要はない。神と胡桃とは全く別の存在であり、そこは完全に一線を画すべきだ。しかも、何かがあれば、胡桃の意思とは関係なく、神が対応するだろう」

 俺は東雲しののめ侑紀ゆうきの顔を再び見ながら、言葉を続けた。

「二人は、もう解っていると思うが、胡桃に神が憑依していたとしても、それを『どうにか』する事は出来ない。何故ならば、神を友達として迎え入れたのは、他ならぬ胡桃だからだ。しかも、神が東雲や侑紀に対して、〈悪さ〉は出来ない筈。そうなれば、胡桃を関与させつつ神を意識するのは『胡桃に対する偏見』だと俺は思う。あくまでも、胡桃は胡桃なんだ」

 その言葉に東雲と侑紀は黙ったまま頷く。

「一方、俺達は〈とんでもない事態〉に巻き込まれたのも事実だろう。ここからは宗教……、これは既存の宗教ではないが、それに興味があろうと、なかろうと、少し聞いて欲しい」

 俺は、そう告げてから話を始めた。


「面白いもので神は自らの説明をする際、『宗教とは関係ない』という旨の発言をしている。

 しかし、人間に多大な影響を与えられる……、これは俗にいう『奇跡』も含まれるが、それを行える存在なのも確かだ。

 俺自身、各宗教を理解している訳ではないが、宗教に於いて神が関わる話には『奇跡』が付きものだと解釈している。その様な意味に於いて、俺達が関係した神も宗教で言う処の『神《God》』と似た様な〈力〉を持っていると言えよう。

 半面、俺達の知る神は『自分の存在意義』を理解していないから、『宗教上の神』になりたいとは考えていない筈だ。

 だが、ここで俺達が何だかの意図を持ち、『宗教を作ってみよう』と考えたのなら、奇跡を起こせる神《God》とは『知り合い』になる。この神が、それを容認するか、どうかは別だが、『宗教を作る』事に賛同してくれれば、俺達……、正確には神と関係がある胡桃は『教祖』になれる可能性が高い。そして、俺、東雲、侑紀の三人は、その教祖、及び、神に最も近い存在として、絶大なる『宗教上の権力』を得られるだろう。

 まぁ、これは俺の妄想かも知れないが、否定出来ない要素が含まれているのも事実だ。つまり、『神の力』を利用しようと思えば……、あくまでも『可能性として』という範囲だが、それが出来るのも俺達の特徴と言える。更に加えるのなら、『神の力』を『利用』ではなく、『悪用』出来たとしたら、俺達は……」

 

「本当に『ヒト』……、いや、地球上の生物を『破滅』させる事も可能ね……」と、侑紀が呟く。

「まぁ、俺としては神の力を利用したり、ましてや、悪用したりする気は毛頭ないが、『それが出来る可能性がある』という事実は、しっかりと認識しておくべきだろう」

 俺は真顔で、そう言った後、胡桃の顔を凝視しながら、言葉を放つ。

「人間の心は弱いものだ。その事は神にも、しっかりと伝えて欲しい。その心の弱さが何かの切っ掛けで暴走を始めた時、収拾が付かなくなって、悲惨な結果を招く事態が発生するのは、日常茶飯事と言っても構わない。胡桃も、そうだが、東雲や侑紀と友達関係を続けたいのなら、その点は常に考えておくべきだと……」

 胡桃は、それを真剣に聞いていた。だが、少しして、微笑みを浮かべつつ、俺に質問する。

「その友達の中に、ご主人様が含まれなくても構わないのですか?」

「俺に対する、その話は胡桃の意思? それとも、神の意見?」

 その問いに胡桃は、「両方」と告げてから、俺にとって衝撃の言葉を発した。

「ご主人様を〈この場〉へ連れて来ようとしたのは、彼女の判断なんです。東雲さん自身が無意識の内に『強烈に意識』していたのが、ご主人様でしたから……。その為、彼女は大歳おおとし学園の理事長や、ご主人様の父親をも巻き込む形で……、もちろん、東雲さんや侑紀さんも絡むのですが、彼女が動いたのです」

「そうだったんだ!」と、驚きの声を上げたのは侑紀だった。そして、話を続ける。

「前にも言ったけど、勇介と再会した時の東雲、本当に嬉しそうだった。神は、その笑顔……、東雲が心から喜ぶ顔が見たかったんだね! 私、勇介が、ここにいる理由を理解したわ!」

 当惑の表情……、正確には、そこに喜びの感情も若干含まれていたが、東雲は、「私の事は、ともかくとして……」と告げてから、更なる声を発した。

「胡桃ちゃんと神の双方から、勇介は友達として認められた訳ね。まぁ、胡桃ちゃんが勇介を『ご主人様』と呼んだ時から、『友達関係は出来たな』と思ったけど……」

「俺としては、それでも構わないんだが、神に一つ、お願いがあるんだ」

 興味深そうな表情を浮かべ、東雲が、「その『お願い』って、何?」と尋ねた。それに俺は応じる。

「俺は胡桃に対して、エロい妄想もしたし、神からもエロいシーンを流入された。だが、それ以降、彼女に対してもエロい妄想が出来なくなる。俺自身、胡桃を『可愛い』と思っているが、恋愛感情に至らない事も認識した。そこにも神が『心理的な壁』を築いたのか、どうかは知らない。半面、女子三人の中に男が一人いるのも、『危険なシチュエーション』と言えるのも確かだ。だから、その『心理的な壁』に関して、『不本意ながら』も、その存在は容認する」

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