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パンチラと神  作者: 橋沢高広
38/44

【第38回】

 

 胡桃くるみの話を聞いていた東雲しののめの顔には、驚愕の表情しか浮かんでいない。その事実を今、初めて知った為であろう。

 胡桃の話が続いていた。


「この頃になると、私は彼女の存在について、考える事をめてしまいました。

(そんなのは、どうでもいいわ。だって彼女とは友達だもの……)という意識が強くなっていたんです。だから、彼女に対して詮索はしませんでした。

 正直に言ってしまえば、彼女が『何者なのか?』は、知りません。時折、(何者?)と考える時もありますが、(まぁ、それを追求しても、私には理解出来ないでしょうし……)と思ってしまうのです。

 ただ、彼女が人に対して、かなりの影響を与えられる能力を持っているのは事実であり、それを私自身は理解していますし、そういう意味で彼女を『神』と表現する事に違和感を覚えません」


 ここで胡桃は俺の瞳を凝視した。その顔は真剣である。そして、疑問を口にした。

「ご主人様は何故、私と彼女との関係を見破ったのですか?」

 その質問に答え様とした瞬間だった。

 俺のスマホが鳴る。胸ポケットに入れていた、それを取り出した時、ディスプレイに表示されている時間に驚く。既に午後四時を回っていたのだ。

(やべぇ、今日の夕食、アパートで食べるつもりだった!)

 伯母は仕事の関係で俺の夕食を午後四時半頃に作ってしまう。実際の食事時間が夜十時を過ぎても、〈メシが冷えている〉だけで特段の問題はないのだが、ここでの話は正に佳境を迎えていた。アパートに帰るのが何時になるか判らない。

 その一方、電話の発信元は伯母である。

(何か、あったのか?)と考えながら、俺はスマホを操作し、電話に出た。

「勇介、玄関先に掛けた〈木の板〉なんだけど、何故か、落ちていたんだ。強い風でも吹いたのかねぇ……。で、今日の夕食は、どうするんだい?」

 俺は思わず、「『赤』にしておいた筈だけど……」と答えた。

「そうかい。じゃぁ、今日の夕食は作らないよ。明日の朝はどうする?」

 内心、(ラッキー!)と考えながら、「朝は『白』」とだけ告げる。本当は今日の夕食も「白」……、「食べる」だったのだが……。

「解ったわ」という伯母の声を聞きながら、(もしかして、神が動いた?)と考え、胡桃の顔を見る。そこには微笑みが浮かんでいた。

 俺は伯母との通話に際して、「夕食」という言葉を使っていない。しかも、「食べる」、「食べない」も同様である。それにも関わらず、胡桃が、ある提案を行った。

「もう少し後の話になりますが、皆さん、夕食は、ここで食べますよね?」

「迷惑でなければ、ご馳走になる!」と声を上げたのは、侑紀であった。

「私の家……、伯母は仕事の関係で土曜日は、いないの。食事は自分で作る事もあるけど、お弁当を買っちゃう時の方が多いんだ。ここなら、暖かい食事が食べられるから、そうして貰うと有難いな!」

 嬉々として話す侑紀を見ていた胡桃は、続いて俺へと視線を戻し、「ご主人様も食べて行かれますよね?」と、微笑みながら尋ねた。

(胡桃……、解っていて質問しているな……)と思いつつ、「是非!」と応じる。

 それを聞いていた東雲が話し始めた。

「母屋の台所にジャガイモとタマネギが、いっぱいあるの。ニンジンもあったから、胡桃ちゃん、カレー作ってくれない?」

 胡桃は、「はい、解りました」と即答する。それを聞いた東雲が続きを話した。

「まだ、勇介にも侑紀にも食べさせて、いないけど、胡桃ちゃんのカレーって、絶品なんだ。市販のカレールーを使っても、本格的なカレーショップで出される様なカレーにしちゃうんだから!」

 その言葉に、(これは楽しみだ!)と思った瞬間、早くも俺の胃が動いたのを感じる。

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