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パンチラと神  作者: 橋沢高広
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【第34回】

 俺は東雲しののめ侑紀ゆうき胡桃くるみの順で、その顔を見てから、東雲に視線を合わせ、言葉を発する。

「今日、最初に言った『俺の推論』……、まぁ、妄想に近いのだが、その件に触れたいと思う。ただ、その前に一つ、断わりを入れておく。それは、東雲が語った『神の話』に関して、『神の存在』は容認するが、それ以外の話は信じていない。それを前提に話を進める」

 三人の女子が黙ったまま頷いた。

「俺は以前……、それは東雲や侑紀に『神の話』をされる前から、『人智を超えた〈何か〉が、存在しても構わないのでは、ないか?』と、考えていたんだ。これが、今、話題としている『神』という事になるが、俺達が関わる『神なる存在』に対して、『全知全能では〈ない〉』と思い始めた。その証拠として挙げるのなら、先程の『チラリズム』が良い例だろう。つまり、『神』と名乗っているが、知的生命体に対して、『手は出せる』ものの、完璧にコントロールする力は『持っていない』という認識を俺は得る。ここで侑紀に対して、一つ、質問したいのだが……」

「構わないわよ」と、彼女は即答した。

「侑紀は『破滅担当の神』と関係があるという。それならば、これまでに『人類滅亡』のシナリオを考えた筈だ。その一例を教えて欲しい」

 彼女は一度、頷いてから、話を始める。

「はっきり言ってしまえば、百人や千人の人を殺しても、地球という規模で考えた場合、『滅亡』とは程遠い状況にしか、ならないわ。今、世界の総人口は七十三億人を超えていると言われているから、『滅亡』と言える状態にするには、七十憶人以上を殺さなければ、ならないと考えたの。ところが、この規模で人を殺せる方法を私は一つしか考えられなかった。それは全面核戦争。でも、この手が使えない事にも気付く。核兵器って、人だけが死ぬ武器じゃないんだよね……」

「侑紀は、その点を、しっかりと把握していたんだ」と言って、俺は軽く微笑みながら、続きを話した。


「神は自らに対して、『知的生命体以外には手を出さない』というルールを課す。だが、冷静に考えてみれば、このルールは二通りの解釈が出来るんだ。

 今、侑紀が指摘した通り、核兵器は人間以外の生物も殺す。『知的生命体以外には手を出さない』というルールを『知的生命体以外、殺しては、ならぬ』とすれば、核兵器は使用出来ない。

 一方、このルールでは『神は知的生命体を破滅させる為に〈知的生命体にしか〉関与しない』という解釈も出来る。つまり、『神が関与出来るのは知的生命体だけ』だが、『知的生命体は他の生物に対して、何をしても構わない』という事だ。これを言い換えると、神の関与によって、人間が核兵器を使用し、人類を滅亡させた際、他の生物が〈巻き添え〉になっても『問題ない』という理屈が成立する。その結果、核兵器の使用が可能となる訳だ」


「あっ、私、そこまで考えていなかった……」と、侑紀が呟く。俺は、そのまま話を続けた。

「もし、神が後者の解釈……、『人間以外の生物が死んでも構わない』と考えていたら、人類滅亡は意外に簡単かも知れない。人類が実際に核戦争を始めれば良いだけだ。しかも、神は人間の心理状態をコントロール出来る。俺が東雲や侑紀に『女を感じない』のが、その証拠だろう。異論もあるが『性欲』は、人間の『三大欲求』の一つとされている。それすらも神はコントロール出来るんだ。核兵器の発射ボタンを押せる、又は、その命令が出来る立場の人間をコントロールし、そのボタンを押してしまえば、後は連鎖的に核戦争が起こるだろう。それで人類は滅亡。『はい、おしまい』となる訳だ」

 ここで東雲が疑問をていした。

「でも、核兵器の発射ボタンって、簡単に押せるものなの?」

 それに俺は答える。

「実際には相当、難しいだろう。だが、神が本気で人類の破滅を望んでいるのなら、可能な筈だ。換言すれば、現在まで『それが行われていない』のは、神の間で〈後者の解釈〉が『採用されていない証拠』とも言える」

「その考え方は成立しそうね」と、侑紀が応じた。俺は、その続きを話す。

「神が『知的生命体以外、殺しては、ならぬ』というルールを自らに課していた場合、人類を滅亡させる方法は、かなり限定的になるだろう。しかし、それが、ない訳でもない。その一つを挙げるのなら、生物兵器だ」

「なるほど!」と、東雲が声を上げる。

「そうなると、化学兵器も使えそうね」と、もう一つの提案を侑紀が行う。それに対して、東雲が、「『A』が駄目なら、『B』と『C』があるって訳ね」と付け加えた。

 もちろん、「A」は「atomic weapon(核兵器)」「B」は、「biological weapon(生物兵器)」、「C」は「chemical weapon(化学兵器)」の事である。

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