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パンチラと神  作者: 橋沢高広
27/44

【第27回】

 

 結局、俺は東雲しののめの部屋に泊まり、翌日の十一日に実家へと戻る。

 それまで続けていた「神の話」に終止符を打った後、この部屋にいた四人は午前二時半頃まで他愛もない話題に花を咲かせ、俺は、それまで座っていたソファベッドで、侑紀ゆうきは寝室にある東雲のベッドで彼女と一緒に、胡桃くるみは二階にある自分の部屋で寝た。

 これは余談だが、東雲が使っているベッドはセミダブルであり、「女の子二人なら、寝るのに充分な広さよ」との事である。

 女子三人と雑談をしている際、俺は侑紀から、面白い指摘を受けた。

「勇介って、女子の話に混ざるのが上手いわね。女と男って、脳の構造が少し違うから、『議論』となれば別だけど、『雑談』に平気で加われるのは才能の一つかも知れないわよ」

 確かに女子同士の会話は脈絡が無視され、特有の話題展開で進められる事が多い。だが、俺自身、その様な話の進み方に対して、余り抵抗感を覚えなかったのも事実だ。

(そうか、これって、才能なのか……。それにしても、侑紀は面白い処に目を付けたな)と考えていた。


 ※


 夏休みが終わり、二学期が始まる。

 俺は大量に出された宿題を、どうにか終わらせ、学校へと向かった。

 この間、俺の意図に反して、神とは接触していない。八月十日以降、下着姿の東雲と侑紀が登場した〈例の夢〉も見なくなる。


 体育館で行われた二学期の始業式が終わり、教室へ戻る途中、ある〈些細な事件〉が発生した。それは侑紀が俺の事を、「勇介」と呼んだのが発端となる。しかも、その直後、俺は、「どうした? 侑紀」と彼女を呼び捨てにした為、その騒ぎが大きくなってしまう。

「勇介の奴、名草さんの事、下の名前で、しかも、呼び捨てにした!」

「名草さんも、勇介を呼び捨てにしたぞ!」

 男子にしてみれば、女性として羨望の的である侑紀が絡んでいた為、その衝撃が大きかったのは間違いない。

 東雲と侑紀、胡桃、そして、俺は「神が絡んだ特殊な関係」である。しかも、東雲と侑紀とに関して言えば、『心理的な壁』が作られており、恋愛感情は持てないのだ。だが、それは「内々の話」であって、それをクラスメイトに告げられない。

 その一方、俺達は今までよりも、一緒に行動する機会が多くなるだろう。

 おそらく、女子は、これまで通り、俺達を「暖かい好奇の眼差し」で見守ってくれるだろが、男子に関して、そうはいかない筈だ。俺に対して、明らかな敵意を示しつつ、何だかの行動を起こすのは、火を見るよりも明らかだろう。俺が以前経験した、十人以上の男子生徒に取り囲まれて受ける〈優しい暴力〉とは異なった、新たなるステージの〈嫌がらせ〉を受けるのは間違いない。

 俺は途方に暮れつつも、(この事態を何とか、しなければ……)と、考えていた時である。侑紀が動いた。

「ねぇ、勇介、今週の土曜日、又、東雲の家に遊びに来てね。私も行くから!」

(侑紀……、それ、男子に対して『火に油を注ぐ』発言だぞ!)と思いつつ、俺は男共の顔を見る。全員の目に嫉妬の光が灯され、その顔には憎しみの表情が刻まれていた。

(この状況、どうしてくれる気だ?)と、恨めしそうに俺は侑紀の顔を見る。彼女は涼しげな表情を浮かべ、言葉を続けた。

「今日の放課後、少し残ってくれない? 勇介と話がしたいんだ」

 そう言ってから、東雲に視線を向け、「東雲も、残って」と告げた。それに対して、彼女は、「別にいいよ」と、こちらも涼しげな表情で対応する。

 男共の顔に刻まれた憎しみが憤怒に変わった。しかも、全員……。

 一方、女子は好奇の光を、その瞳に浮かべながら、暖かい表情で俺の顔を見ている。だが、これまでとは異なり、その身体からだからは、(勇介君、大変そうね……)という、俺の事を突放した雰囲気を「これでもか!」という程、放っていたが……。

(これは、大事おおごとになりそうだ……)と思った瞬間、チャイムが鳴り、クラスメイトは自分の席へ座る。

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