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パンチラと神  作者: 橋沢高広
25/44

【第25回】

 ※


 俺達は、ここで休憩に入る。同時に東雲しののめの部屋を満たしていた妙な緊張感が和らいだ。

「頭が疲れた!」と声を発したのは、東雲である。それは俺も感じていた。おそらく、侑紀ゆうきも、そうだろう。

 その言葉に、胡桃くるみが動く。

「小さいですけど、一応、バースデイケーキがありますから、切り分けましょう。糖分が多く含まれていますから、脳への栄養補給にもなると思います」

(そういえば、今日は一応、『誕生日パーティ』という〈名目〉で集まっていたんだよな……)

 俺は胡桃の声を聞きながら、そう考えていた。

 ソファテーブルの上にある大皿に置かれたケーキにナイフを入れ、四等分し、胡桃は部屋の片隅にあるキッチンから、小皿とフォークを用意して、各々の前に小皿を置き、そこに切り分けたケーキを乗せる。それが終わった後、彼女はティーポットを使い、新しい紅茶を作り始めた。その手際は、かなり良い。

(趣味という面では問題があるが、胡桃と一緒に暮らすと、楽かも知れないな。しかも、可愛いし……)

 そう思った瞬間、俺の妄想が爆発した。しかも、かなり〈エロい〉方向性を持って……。

 俺はケーキを食べながら、胡桃に視線を向ける。俺の脳内には、既に半裸状態の彼女がいた。

 オリジナルのメイド服は着たままたが、その胸元は大きく〈はだけ〉ている。ブラジャーは付けておらず、その胸が〈丸見え〉だった。その上、俺の妄想とは思えない程、相当、リアルな胸が……。

 胡桃の右足元にはパンツが〈引っ掛かっている〉状態……、つまり、今、彼女は〈ノーパン〉なのだ。

 頭の中で胡桃が呟く。

「ご主人様、私、もう我慢出来ません……。早く、私を……、早く快楽の世界へと、お導き下さい……」

 ここで俺は東雲と侑紀の視線に気付く。それは、真っ直ぐ俺の顔に向けられていた。そして、東雲が言葉を発する。

「ねぇ、勇介、もしかして、胡桃ちゃん相手にエロい妄想をしていない? 顔が紅潮し、鼻の下が伸びているわよ!」

 俺には返す言葉が、なかった。正に、その指摘通りだからだ。

「勇介ったら……」と、侑紀は強い軽蔑の感情を、その顔に浮かべながら呟く。

 東雲の話を聞き、それに反応しない……、いや、正確には出来ない俺に対して、胡桃は顔を赤らめ、「そんな事、考えていたんですか! ご主人様は!」と、少し強めの口調で非難した。

「あっ、その……、ごめん……」

 俺は、やっとの思いで、それだけを口にしたが、冷静さを取り戻し始めたのも事実である。そして、(何故、今?)という疑問が湧く。

 次の瞬間、自分でも、その表情が変化した事に気付いた。それは、かなり真剣な顔付きになっていた筈である。

 他の三人も、俺の変化を見逃さなかった様だ。侑紀が、「勇介に少しの間、考える時間を与えましょう」と、助け船を出す。


 ここまでの会話で「エロ」の要素は皆無であった。それにも関わらず、俺は胡桃に対して、「エロい妄想」を始めてしまう。しかも、それは正に、〈爆発状態〉だった。俺は何の脈絡もなく、胡桃を半裸状態にしてしまったのだ。通常なら、そこに至るプロセスを考える筈なのだが、それが、ない。

(何かが変だ……)と思いつつも、ただ単に〈変〉という感覚しか持てなかった。

 俺は、その視線を東雲に向け、エロい妄想を試みる。だが、それは案の定、失敗に終わった。侑紀に対しても同様である。しかし、胡桃に、その視線を向け、その妄想を始め様とした途端、それが爆発した。

 俺の脳内では既に、全裸の胡桃が想起されている。彼女は右腕で胸を、左手で下腹部を隠していた。その瞳は羞恥と共に期待で輝いている。そして、自分の意思とは関係なく、胡桃の声が頭の中で響いた。

「ご主人様、私だけ、この恰好、恥ずかし過ぎます……。ご主人様も、早く裸になって下さい……」

 その言葉を聞いた瞬間、俺は理解した。

(これ、俺が妄想しているのでは、ない。何者かによって『送り込まれている』のだ!)

 その「何者か」が「神」である事に俺は気付いている。

(神の方から、コンタクトを取って来たな)と、確信しつつも、(何故、エロシーン……、しかも、胡桃が登場するんだ?)という疑問が新たに湧いた。

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