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パンチラと神  作者: 橋沢高広
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【第24回】

 俺は侑紀ゆうきの話を聞きながら、(そういう経緯があったんだ……)と、彼女と破滅を担当する神との関係については理解した。

 その一方、新たな疑問が湧く。

 人間への強烈な憎悪をいだく者は、それこそ〈山の様に〉いるだろう。こういう言い方は侑紀に対して、大変失礼だが、彼女よりも、もっと強力な……、怨念と言っても構わない感情を持った人間が多数いる筈にも関わらず、神は侑紀を選ぶ。その理由は彼女が「神とコンタクトを取れる人間」だったのは間違いない。そうなると、その素質を持った者は、かなり特殊な存在とも言える。

 確かに俺も結果として、胡桃くるみに手を握られる時間を過ごした。そこまでしないと、その判定……、「神とコンタクトを取れる人間」が判明しないとした場合、これは、俺も含めてという事になるが、その特殊な人間が余りにも〈近い場所〉にいる点……、同じ学校の同じクラスに三人もいるのは不自然だと感じる。

 東雲しののめが話した通り、神々が行っているゲームへ人間が関与する様に設定されていた場合、最終的に人間の考えは神へとフィードバックされるのだから、神同士は〈顔が見える場所〉にいても当然だが、その人間同士が近場にいる必要はない。

 俺は、この疑問を口にする。

 だが、その質問に答えられる者は、いなかった。再び、東雲の部屋が沈黙に包まれる。しかも、その空気は、かなり重い。

(このままだとらちが明かないな……)と思った時であった。胡桃くるみが声を発する。

「ご主人様、その質問に対する回答は今、出す必要が、あるのでしょうか?」

 俺は彼女の言っている意味が理解出来ないでいた。

「それは、どういう事だ?」と思わず聞き返す。それに胡桃が応じた。

「確かに、ご主人様が指摘された様な疑問が生じて当然でしょう。しかし、現状で『そうなって、しまった』以上、その根本要因とも言うべき疑問であっても、それを解決しなければ、『先に進めない』という話しでは、ない様な気がするのです」

 胡桃の言い分にも一理あった。

 俺達の身近な問題に置き換えると、少なくても一年後には大学受験という問題に対応しなければ、ならなくなる。しかし、その時点で「俺が生まれた理由」という〈根本要因〉にまで遡って、物事を考える必要はない。もちろん、俺は大学受験の制度がある国に生まれ、大学への進学を望んだからこそ、それに対処しなければ、ならないのだが、「生まれた理由」は無視出来るのだ。

 それでも、俺は自分が持った疑問を解決したいという願望があったが、この状況では、それは望めそうもない上、胡桃の話には妙な説得力もある。

(それで妥協するか……)

 そう考えた時に東雲の口が開いた。

「私、勇介が抱いた疑問に答える情報は何も持っていないわ。でも、『私の推測』という事なら、少しだけ言及出来るかも知れない……」

 俺は間髪を入れずに、「その話、聞かせて貰おう」と告げる。

 東雲が言葉を紡ぎ始めた。


「私、前々から疑問に思っていたんだ。私、侑紀、胡桃ちゃん、そして、勇介も、そうだけど、何故、誕生日が一緒なんだろうって。これって、物凄い確率の筈。

 その上、人の繋がりという点でも、不思議さがあるんだ。

 大歳おおとし学園の理事長と私の父親とは知り合い。これは勇介の父親にも言えるよね。つまり、各々の父親は理事長を介して関係があるって事でしょう。

 その上、私の父親と胡桃ちゃんの父親は、元・ライバル関係の会社社長。私達だけではなく、父親間でも何だかの関係が成立しているって言うのも、凄くない?」


(確かに、『何か見えない〈力〉が関係している』と疑いたくなるな……)と、俺は思った半面、その疑問に対する回答を引き出せない事も充分に理解していた。

 だが、東雲の話を聞いて、俺は一つだけ、確証を得た様な気になる。

(その理由は、どうであれ、俺達は元々、『神に選ばれる存在』だった)と……。

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