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はい!特別養護老人ホームです。  作者: 実咲
一日の業務
4/11

休憩中

お風呂場から出て、更衣室へ。

汗でびっしょりになった半袖を脱いで

ボディーシートで体を拭いたり、制汗剤をふりまいたり

ユニフォームに着替えて更衣室を出てホールへ。


ホールにいる職員に挨拶をかわした。

外介助以外の日勤者・遅番者とはこの時点で顔を合わせる。


『じゃあ休憩いただきます』


早々に会話を切り上げ、厨房にご飯を取りに行く。

『すいませ~ん。戌井です』


ご飯を受け取ったらステーションへ


ちゃんとした休憩室が二階にあるが

二階に上がるのも億劫で、皆ステーションで食べていた。


ステーションに行くと

田中さん・伊藤君が先にご飯を食べていた。


『お疲れ様です』

『お疲れ様ぁ』

そこには日勤者の【堀野さん】もいた。


堀野さんは寡黙な男性で、私の1年先輩で、高橋さんと同期

見た目には30代なのか40代なのか

年齢がわからない人だった。


『堀野さん早休だったんですね』

『・・・うん』


当施設は早休と遅休に半々くらいに分かれて休憩をとる。

早番2日勤2

日勤2遅番2

といった形だ。


『あれ?高橋さんは?』

『あ、先にタバコ行ったみたいですよ。』


へぇ~などの適当な返事をしてご飯を食べ始めた。


『・・~で』『・・~なんすよ!』

相変わらず伊藤君はぺちゃくちゃ喋り

それを田中さんがニコニコ聞いている。


堀野さんは携帯をいじりながら黙々と食べていた。


私もパパッとご飯を食べると、喫煙所に行こうと立ち上がった。

『あぁ~戌井さん俺も行くから待っててくださいよ!』

と伊藤君が言っていたが、笑顔だけ返し、待たずに喫煙所に向かった。


当施設の喫煙所は中庭にあって

物置の陰で周りからは見えなくなっていた。


『お疲れ様です』と声を掛けながら

中にはへの扉を開くと

ベンチに高橋さんが座っていた。


『はぁいお疲れ』と携帯を見ながら返事を返す高橋さん。

隣に腰かけてタバコに火をつけた。


介護の仕事場は喫煙者が多い気がする。

自分も学生時代にはタバコを吸うなんて思ってもなかった。


『今日もお風呂ハードでしたね・・・』

『まぁいつものことでしょ』と

高橋さん鼻から煙を出し笑いながら言った。


そうだ。いつものことなのだ。


『さぁて、飯食ってきます』とタバコをもみ消しながら立ち上がった。


喫煙所を出ようとしたとき、伊藤君が来た。


『お疲れっす。高橋さんいまから飯っすか?今日の飯うまくないっすよ。』

『いつものことでしょ。』と

また笑って喫煙所を出て行った



『戌井さん、待っててくださいよ~』

と伊藤君が笑いながら隣に腰を掛けてきた。


『だって伊藤君飲み物買いに自販機寄ったりするから』

と適当な返事をする。


『逆に戌井さんは飲み物いらないんすか?』

『私は朝来る前にコンビニで買ってくるもの。』

『確かに自販機より安いっすもんね』


そんなくだらない会話をしながらタバコを一本二本と吸っていく。



『だれか新人入らないですかね』

『なかなか厳しいよ・・・ここ三年くらい新卒も入らなかったし』


介護業界、大まかに


特別養護老人施設とくべつようごろうじんしせつ


養護老人施設ようごろうじんしせつ


老人保健施設ろうじんほけんしせつ


有料老人ホーム


サービス付き高齢者向け施設


など多くの施設がある。


一方で、職員はちょっとでも楽なところ

ちょっとでも給料・待遇のいいところ

そこを重視している。


まさに施設で職員の取り合いだった。


人数不足で仕事が大変・大変だから職員が離れていく・職員が離れて人数不足


悪循環である。


特に特養では、介護度が重い人しか入れない為

必然的に業務内容が大変で、職員が嫌がることが多かった。

中には入社して1日~一週間以内に辞めていく人も多い。


二人して人手不足に愚痴りあっていると

ご飯を食べ終えた高橋さんがやってきた。


『お疲れ様です』

『あぁうまくなかった。』

と笑ってタバコに火をつけた。


『ですよね!?』と伊藤君も笑って言った。

『今戌井さんと新人が入らないか話してたんすよ』


『あ・・そうだ、来週新人入るよ。戌井さん指導お願いね。』


『え?!私ですか?!』


『うん。シフト見るとちょうど戌井さんの出勤日と大体かぶってたから。』


『・・・わかりました』


『え?戌井さん嫌なんすか?』


『嫌じゃないけど・・なんだかね・・』


と笑って見せたが


正直嫌だった。

自分が教えた新人が数日で辞めていくと、

結構へこむのだ・・

自分の教え方が悪かったのか。

なんかやってしまったか。

など考えてしまうし、ちょっとした不安もあった。


まぁ考えても仕方がないし、

どういった人かもわからないので、

あまり深く考えないようにしていた


そのまま、くだらない話をしたり、伊藤君のマシンガントークを聞いて

昼休みが終わろうとしている。


『さて、行きますか。』

と三人で気合を入れあって喫煙所を後にした。

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