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進化

作者: 山石 光軍

あなたは「人間は機械に頼ると成長しない」という言葉についてどう思うだろうか?

人間が本来やるべき過程を機械に任せて結果だけ享受してると思うだろうか?

それとも、機械に任せれば人間なんて堕落してもいいと思うだろうか?

そんな、お話


とある所に一つの国があった。

その国は全てが手動であった。

時間は太陽に頼り、新聞は手書きで掲示板に貼られ、連絡には飛脚を使い、王が使う乗り物は人力車であった。

だがしかし、その国は特段技術力で他の国に後れを取っていた訳ではない。

寧ろ、やろうと思えばすぐにでもその国は技術大国になれただろう。

だがそうしない理由があった。

昔からその国に伝わる一つの共通認識があった。

「人間は機械に頼ったら駄目になる」で、ある。


人間は機械に頼ったら駄目になる。

人間が機械に頼ったら人間は成長出来ない。

成長出来ず、進化出来ず、衰退し、目標を忘れ、滅んでしまう。

そう考え続けた。

だからその国は自分達が他の国に比べて貧しい事にすら誇りを持っていた。

我々は進化をしている、機械を使わずに出来る事をやり続けている、出来ない事が出来る事に変わり続けている、進化し続けている。

恥じることなんてない。

我々がみすぼらしいのは誇りだ。

この誇りを無くすなら死んだ方がマシだ。

実際、その国は医療の未発達で死亡者が出ているのにそう言い続けた。

意地のように、妄信のように、狂信のように。

他の方法もあるのに。


ある時、その国に革命家が現れた。

革命家はこう叫んだ。

「機械に頼るのは退化では無い!

寧ろ、頼れる機械を作れる事は人間にとって進化だ!

変な誇りに固執して死者が出るなんて間違っているとは思わないのか!?

今こそ、この国を変えるべきだ!」

しかし、革命家の言葉は人の心を変えるまで浸透しなかった。

革命家は直に異端者として捕まり処刑された。

革命家は最後まで言った。

「このままでは進化出来ない!

滅ぶだけだ!」

しかし、国民は最後の最後の最期まで革命家を異端者と言い続けた。


やがてその国は強力な軍事国家に攻め入られた。

当然、近代兵装に対してその国は無力であった。

蹂躙され、虐殺され、征服せれ、屈服させられた。

そしてその国は地図から消えることになった。

進化を目指した人民はいなくなった。

しかし、国民は最後の最後の最期まで革命家を異端者と言い続けた。

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