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ボクと妹の禁断領域  作者: 南条仁
ボクと妹の禁断領域
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第7話:ボクは妹に告白される


「――ボクの妹に手を出すなっ」

 

 彼方は貴音の姉だ。

 例え、男の子っぽいと言われても、姉の自覚はある。

 普段の態度がアレすぎるから、距離はおきたいけども……妹としては大事だから。

 ようやく男の子たちが集まって来てくれた。

 その中に上原がいて、すぐさま駆けよってくる。

 

「カナタ! 大丈夫か?」

「上原君? う、うん。大丈夫だよ」

「まったく、お前は無理をする。ここは他の奴に任せて、保健室に行くぞ」

 

 気がつけば、貴音に手荒な事をしていた彼は他の男の子達に取り囲まれていた。

 後輩の子が呼んでくれていた男の子達の他にも、噂を聞きつけた貴音のファンもいる。

 

「俺達の貴音ちゃんに乱暴しようとは不届きな奴め。許さんっ」

「ひっ。い、いや、だから俺は……ま、待て、お前ら!? 多勢なのは卑怯だろ」

「はぁ? 何言ってるの? おにぃを傷つけて楽に死ねると思わないで?」

 

――こら、貴音、物騒な事を言わない。


 貴音は相当、怒っていたのか、容赦なく言い放つ。

 

「――おにぃを殴ったんだから覚悟はできてるよね? 皆、やっちゃえ!」

「や、やめてくれ。俺は悪くないんだ、う、うぎゃー!」

 

 貴音の怒りを買った男の子の末路。

 

――自業自得だし。見なかった事にしよう。


 彼方も今回ばかりは相手を見捨てた。

 

「こっちは放っておいても大丈夫だ」

「……うん」

 

 ふたりはそのまま保健室へと向かう事にした。

 

 

 

 

 幸いにも先生がまだ残っていたので、少し腫れた頬を治療してもらう。

 ずきずきとする痛み。

 思っていたより、腫れてしまっていたので湿布が張られる。

 

「ありがとうございました」

 

 先生にお礼を言ってから保健室を出る。

 付き添ってくれていた上原が荷物を持ってくれた。

 

「時々、お前は無茶するよな。素直に誰か来るのを待てばいいのに」

「妹を守りたかっただけ。今回のこれは事故でもあるし」

 

 彼もわざと彼方を叩こうとしたんじゃなかった。

 叩かれていてたら、この程度じゃすまないだろうし。

 

「もしも、それが偶然じゃないなら俺がそいつをぶちのめす」

「ははっ。それはダメだよ。暴力は反対だから」

 

 放課後の廊下を歩きながら彼方は上原に尋ねる。

 

「そういえば、どうして中庭に?」

「あぁ。サッカー部の友達の恋人から中庭でカナタの妹がトラブルに巻き込まれているって連絡がきたんだ。ちょうど、俺達も練習を終えた所だったから、すぐに中庭に向かったわけ。そうしたら、カナタが野郎と対決してたんだ」

「対決って言うほどじゃないけどね」

 

 でも、皆が来てくれたから問題はおさまったのだ。

 今頃、問題は解決はしてるだろう。

 貴音に電話をすると、案の定、あっさりと問題は解決したそうだ。

 すぐにこっちにくるらしい。

 

「上原君もありがと。来てくれて嬉しかったよ」

「俺の事よりカナタが問題だな。お前は女の子なんだから、もうちょっと自分を大事にしろよ。妹を守りたいって気持ちは分かるけどな。だからと言って後先考えずに突撃するのはいただけない。女の子としての自覚がないぞ」

「ごめん……」

 

 心配してくれた上原に叱られてしまう。

 

――彼が怒る理由はボクが女の子だっていうことでもあって……。

 

「上原君だけなんだよね」

「ん? 何がだ?」

「ボクを女の子っぽく扱ってくれるのって……」

 

 今も、女として心配してくれるのが嬉しい。

 他の子は女の子らしさとか褒めてくれたりしない。

 それは自分でもよく分かっている。

 照れくさそうにする彼は視線をそらす。

 

「お、俺は別に……。カナタはもっと女としての自信を持てよ」

「持てないんだけど。普段のボクはあまりにも女の子っぽくないから」

 

 苦笑いすると彼は「そんなことねーよ」と軽い口調で言いながら、

 

「カナタは俺にとって前からずっと女だっての」

「そうなの?」

「そりゃ、後輩たちの憧れの存在で、男よりもカッコいいって言われるのは分かるけどな。でも、だからと言ってカナタに女としての魅力がないわけじゃない。自信をもっともっていいよ」

「ありがと。上原君って優しいね。これからもボクと良い友達でいてほしいな」

 

 さりげなく言った一言に彼は表情を曇らせる。

 

「……これからも、友達か」

「え? 嫌なの?」

「そんな意味じゃないけどな。まぁ、カナタらしいや。それじゃ、俺もまだ後片付けあるから部活に戻る。今度、何かあったら俺を呼べよ。俺とカナタは友達なんだから遠慮なんていらないし、お前に頼られる男になりたい」

 

 上原との付き合いは長いけども、時々、不思議な雰囲気になる時がある。

 彼が見せる表情とか、普段と違って見えたりして。

 

「男の子って不思議だよ」

 

 彼方はそう呟きながら彼の背中を見つめ続けていた。

 


 

 

 

 家に帰る途中、合流した貴音がボクに謝ってくる。

 湿布を張られたボクの顔を見てちょっぴりと涙目だ。

 

「おにぃ。ホントにごめんね、私のせいで……おにぃのカッコいい顔を傷つけた」

「カッコいいって言わないで。さり気にボクの乙女心が傷つくから」

「訂正、美形が傷ついて。そうだ、仇はとったからね。あの男の子は私たちが成敗したわ。自業自得よ」

「成敗って……」

 

 彼はどういう末路をたどったんだろうか。

 事件は解決したけども、後処理が気になるような、気にしない方がいいような……。

 

「でも、おにぃに守ってもらえてよかった。カッコよかったよ、おにぃ。あの場にいた他の女の子も同じように思ってたみたい」

「カッコよさなんてどうでもいいよ。ボクは貴音を守りたかっただけだから」

「それがおにぃの私への愛なのね!」

「違うってば」

 

 嬉しそうに目を輝かせる貴音。

 頭を抱えながら内心「守る対象を間違えてるかも」と思いながら、

 

「ただの姉妹愛だからさ」

「家族愛だろうが、姉妹愛だろうが、私への愛は嬉しいよ。おにぃ~っ」

 

 むぎゅっと勢いよく彼方に妹は抱きついてくる。

 

「おにぃ。惚れた、惚れなおしたよ。私の好感度はMAX突入。今まで以上に大好きだぁ!」

「やめて。道で抱きつかないで」

「やめないよ。愛してるんだもんっ」

 

 この百合妹は何とかならないのか、とあきれる。

 

「――おにぃ……私、おにぃになら抱かれても良い」

 

 うっとりとした表情で妹に告白された。

 

「真顔で変な事を言わない。ボクにその気はありません。教育的指導!」

「きゃんっ。おにぃ、ひどい。私の額をデコピンしないで」

「変な方向に話を持っていこうとする貴音が悪い」

「どうせ、お仕置きするなら私のお尻を叩いてくれた方が……やんっ」

 

 腰をくねらせて恥ずかしがる貴音。

 

――妹が変な方向に目覚めかけてる事にボクは危機感を抱きます。この子、本当に大丈夫なのかな。


 姉としては健全な道に一日でも早く戻ってくれることを望んでいた。

 後日談として、成敗された男の子は貴音をあきらめてくれたようだ。

 相当にひどい目にあったらしい。

 そして、彼方には女子のファンがさらに増えたのだった。


――なぜ、こうなった?


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