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ボクと妹の禁断領域  作者: 南条仁
ボクと妹の禁断領域
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プロローグ:ボクは妹に恋なんてしない


 海東彼方(かいどう かなた)の妹は世間では美少女で有名な女の子だ。

 学園では「恋人にしたい女の子」全学年でのナンバー1。

 先輩後輩関係なく、告白なんて毎日のようにされている。

 屈託のない笑みに魅せられて、恋をする男の子は続出。

 人当たりの良い性格もあって、女子からの反感を買う事もない。

 文句なしに学園の人気者として君臨するクイーンだ。

 彼方の妹、海東貴音(かいどう たかね)はそんな女の子だった。

 学園の帰り道、ボクはいつものように妹と一緒に帰る。

 妹ながらも同じ高校2年。

 双子というわけではなく、年子だから同じ学年なだけだ。

 艶やかな長い髪をそよ風に揺らし、学園の誰もを虜にする微笑みを彼方に向ける。

 

「――例えば、仲の良い兄妹がいたとして、恋する確率はどのくらいあると思う?」

「さ、さぁ、どれくらいだろ?」

「なんと……統計では100%が恋に落ちるんだって」

「ウソでしょ。どこの統計?」

 

 妹はしれっと、「私の調べ」と言いきった。


――それ、絶対に自分ひとりにしか調べてないから。


 またいつもの事だと彼方は呆れ果てる。 


「だから、私とおにぃが恋人になっても問題なんてないんだよ?」

「ありまくりだから!?」

「えーっ。どうして?」


 誰をも魅了する可愛い瞳で彼方を見つめる妹。

 

「どうしてって……いろいろと問題があるじゃないか。例えば、近親者は恋しちゃいけないっていう倫理とか」

 

 倫理とは、善悪の判断において普遍的な規準となるもの。

 つまりは……モラルの問題だ。

 近親者は恋人にはなれない、それが一般的な常識だ。

 

「はっ。倫理なんて私とおにぃの壮大な愛情の前にはあまりにも無力なのよ」

「諦めないで最後まで頑張ってよ、倫理観!?」


 だけども、貴音には大きな問題がある。

 

「――だって、私はおにぃの事が大好きだもんっ♪」

 

 それは彼方を深く心の奥底から愛していると公言していること。

 告白された男子の断り文句は「ごめんね。私はおにぃが大好きだから無理」と言うのが常套句らしい。


――ホントに……心底、妹から愛されてるね、ボク。


 そこまで愛されてる彼方は、常日頃から心の中で嘆いていた。

 

「それにしても、暑いねぇ」

 

 季節は秋、9月も半ばを過ぎたのに未だに残暑が続く。

 夕焼けに照らされると、薄らと額に汗をかきそうになる。

 

「そうだ、アイスクリームでも食べようよ。おにぃ」

「ボクは良いよ。そこまで暑くないし」

「えーっ。いいじゃない。半分ずつすればいいじゃない。ね? 私、買ってくるから」

 

 すぐさま、貴音はにコンビニに入ってしまう。

 さりげに半分ずつと言う提案を押し通す辺りが彼女らしい。

 

「……ホント、可愛いだけならいいんだけど」

 

 海東貴音、

 身長は162センチ、スタイルは抜群。

 いつも魅惑の胸をたゆんっと揺らしている。

 整った顔はアイドルにも平気で勝てるほどに可愛らしい。

 アルバイトで雑誌の読者モデルの経験あり。

 誰もが認める美少女で、学園での人気はかなりのもの。

 

「それで、なんでこうなるかなぁ」

 

 彼方を好きだと公言しはじめたのは小学校を卒業する間際くらいだった。

 

『おにぃは私の初恋なんだよ』

 

 それから、事あるごとに貴音は彼方に想いを伝えてくる。


――でも、ボクには、はっきりいってその気はまったくないのに。


 可愛い妹だとは思うけども、妹に恋なんてしない。

 だからと言って、素っ気なくすることもできず。

 今みたいに甘やかしてしまうのは仕方ないと思う彼方であった

 

「……あれ?」

 

 その時、彼方の携帯電話が鳴り響く。

 相手は友人の上原蓮(うえはら れん)からだった。

 

「どうしたの、上原君?」

『カナタ。さっき、バスケ部の連中からお前に連絡を頼まれたんだ。今週の日曜日、暇か? 暇ならバスケ部の他校との練習試合の助っ人にきてくれないかって。お前に頼もうと思ったらもう帰ったあとだったらしくてさ。どうだ?』

「日曜日は大丈夫だよ。分かったって伝えておいてくれる?」

『オッケー。そう伝えておく。カナタも無理をするなよ。運動神経は抜群だから信じているけどな。頑張ってくれ』

 

 上原はサッカー部で頑張っている。

 彼方はどこの部活にも所属していないけども、運動部からの助っ人を頼まれる。

 運動神経が良い方で、スポーツだけは得意だ。

 運動をするのは大好きだから、断る事もほとんどない。

 連絡を終えて携帯を切る頃にはちょうど貴音がコンビニから戻ってきた。

 

「おにぃ、今は誰と電話していたの?」

 

 アイスを片手に不思議そうな顔をしている。

 

「上原君から。日曜日にバスケ部の助っ人を頼まれたんだ」

「またぁ? おにぃってば、運動部の助っ人ばかりしてるじゃない。そりゃ、スポーツしている時のおにぃはものすっごくカッコいいけどね。応援に行くよ」

 

 来ないで、とはいえず。

 アイスを食べ始める貴音は、バニラのアイスを差し出す。

 

「ほら、おにぃ。あーんして」

「自分で食べられるよ」

「私がしたいの。あーん」

 

 まるで恋人みたいなシチュにボクは気恥ずかしくなる。

 仕方なく口をあけると、スプーンですくったバニラの甘い味が口に広がる。

 

「ん。美味しい。いつものバニラとちょっと違う?」

「でしょ? これ、期間限定の新作なの。最近の私のお気に入りのアイスなんだ。おにぃも気にいってくれると思ってた」

 

 当たり前のように、同じスプーンを使って食べる妹。

 間接キスなんて気にする事もない。

 

――少しくらいは気にしてほしいのがボクの本音だけどね。

 

「ねぇ、おにぃ。可愛いだけが取り柄の妹は恋愛対象に入りますか?」

「……は、入らないんじゃないのかな。普通は」

 

 バナナはおやつに入るか的なノリで妹に告白されてしまった。

 しかも、あえて自分の可愛さだけを強調する貴音は策士だと思う。

 妹が恋愛対象になるわけがない。

 

「まだまだかなぁ。私、頑張ってるのに」

 

 貴音は拗ねながら、の腕にくっついて豊満な胸を押し付けてくる。

 

「おにぃ。いつか私に振り向かせてあげるからね♪」

「遠慮しておきます」

 

 腕に抱きつく貴音は本当に可愛いと思う。

 学園の男子からみれば、いつも羨ましがられるくらいだ。

 だけど、ひとつだけ言わせてもらえるのだとしたら。


――おにぃと妹から呼ばれるボク、海東彼方は正真正銘の“女の子”です。


 貴音と彼方は血のつながった“姉妹”だった――。

 

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