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俺は夏休みでも休めない!!~雷華とお出掛け その1~


「圭人~早く早く~♪」


 俺の手を引きながらニッコニコな雷華はご機嫌なステップでずんずん進んで行く。


「雷華、そんなに急がなくてもすぐ着くよ」


「だって、せっかくの圭人とのデートなんだよ?一分一秒無駄になんかできないよ♪それに今日の為に用意したこの服も動きやすいから余計にね♪」


 手を離し、目の前でクルッとターンを決める雷華。ピンクのラインが入った黒いジャージの上着を羽織り、ピンクのスカート付きの黒いスパッツを着た雷華は自慢気に鼻を鳴らす。


「似合ってるよ、雷華。特にジャージのピンクのラインが可愛いくていいね」


「でしょ~♪そこが気に入って昨日圭人に買ってもらったんだよ♪」


 そう、これは昨日雷華に買ってあげた服だ。昨日はふざけ半分で逃走したのはいいがニャーニャーと可愛い可愛いネコ達だったはずの雪達と愛理ちゃんは見る見るうちにハンニャーのようになってしまいそれを見た人達を恐怖のどん底に陥れた。近隣住民の方々には多大な迷惑をおかけしました。主に精神衛生的に。


 もちろん、俺も自身の精神衛生を鑑みて早々にみんなに謝罪し食事と買い物を奢ることで何とか許してもらえた。少し前の俺では無理だったろうが今の俺はなんちゃって億万長者だから問題ない。もしお金が無かったら俺の貞操を捧げることになっていただろうと思うとお金の有り難さが身にしみると言うものだ。


 それに、雪達と愛理ちゃんの為に使うなら俺の財布のヒモは切れたパンツのゴム並にゆるゆるになるのは当たり前であり当然でありrightfulなのだ。


「最近のスポーツウェアは可愛く出来てるよね。運動する時でもオシャレに気を使わなきゃいけないなんて女の子は大変だよね」


 俺なんてTシャツに膝下くらいある長めのハーフパンツでかなりラフい格好だ。てか、毎年夏はこんな服装で過ごしてる。


「別にオシャレに気を使ってる訳じゃないけど可愛いのがあればそれを選ぶのは当然だよ。それに、圭人に見せるんだからイモいジャージなんて着てられないよ」


「雷華は何着ても可愛いと思うんだけどね」


「圭人ったら、もう♪そんな事言われたら予定変更してそこの草むらでしけこみたくなるじゃん♪」


「雷華、クネクネしてないで行くよ。もう着くんだから」


 自分の体を抱きしめクネる雷華の手を取って歩き出す。雷華は歩きながらも器用にクネり続けるのでお姫様抱っこをして運ぶ。


「圭人、大胆~♪チョ~カッコイイ~♪チョ~私の嫁~♪」


 お姫様抱っこで興奮した雷華は俺の腕の上で更にクネり、さながら打ち上げられた鮭のようだ。


 妙な動きをする雷華を周りの人がチラチラ見てくる。恥ずかしくなってきたので俺はいっそ開き直って下顎を前に突き出し反っ歯にする。所謂、鮭顔である。それをしながら堂々と道を進むことにした。






☆★☆★☆★☆★☆




 鮭女と鮭顔男。このフレーズならアニメ化も夢じゃない!!等とアホな事を考えていると目的地に着いた。


 雷華のリクエストの運動が出来る場所はぶっちゃけここ以外思い当たらなかった。


 ここは大人向けのアスレチックが楽しめる日本で唯一の場所、アイアンマン・アスレチックス。広大な土地を惜しげなく使い、初級、中級、上級と難易度別のコースを設置し更に子供向けの小さめだが安全に留意したコースもある。


「楽しみだね、圭人♪」


「楽しみなのは分かったからあまり激しくクネらないで、雷華。それともう降ろすからね」


「えぇ~」


 俺は有無を言わさず雷華を降ろして受付に歩いていく。雷華は慌てて俺の腕を掴んでピッタリくっつく。ぶっちゃけ暑いが雷華はくっついていないと落ち着かなくなるので仕方ない。


「すみません、大人2枚お願いします」


「合計で1万円になります」


 1万円を払い、チケットを貰う。1人五千円は高いと思われがちだがこれにはレンタル用のヘルメットと肘と膝のサポーター、手袋代や無料の給水所やすり傷等の怪我の手当て代も含まれている。


 先に進むとテーブルに紙とペンが置かれている場所があった。


「誓約書みたいだね。まっ、こういう所だと確実に怪我はするしね。こう言う物も必要になるか」


 内容は簡単に言えば『ここを使うなら怪我とか死んでも自己責任だよ♪それが飲めなきゃここじゃ遊べないよ☆』と言うことだ。もちろん、遊びに来たんだから書きますとも。


 誓約書を書いて職員さんに提出し、ヘルメット等を借りて中に入る。雷華はワクワクしているのか俺の腕をもみもみしている。無意識なのか知らないが揉み方が非常にエロ艶めかしい。


「雷華、腕を揉むのはいいが上下に擦るのはやめなさい。」


「あっ、ごめんごめん。でも、圭人の腕汗かいててよく滑るからそこまで熱くないでしょ?」


「熱い熱くないじゃなくて、周りの男性客を見てみなよ。みんな雷華の手の動きを見たせいで自前のホイッスルがアルトリコーダーになってるじゃないか。」


 しかも、全員もれなくくの字に体が曲がっている。


「そんな大したものじゃないでしょ。良くて犬笛だよ。」


 雷華は周りを無視して俺の腕を揉み続ける。


「こら、捻りを加えるんじゃない!!拳を撫で回すんじゃない!!」


「そんな事言っててもここは正直だね。ほら、こんなに固くなってるよ♪」


「拳だから固くて当然だよ!!」






☆★☆★☆★☆★☆


 あそこにいたら彼らの犬笛で野犬が現れる可能性があったので足早にその場を発った。


 それにしてもあれだけで選定ばさみが高枝切りばさみになるなんて彼らは全員童貞だったのか?童貞と言う点では人のことは全く言えないが。


「圭人、どこから行く?いきなり上級者コースから攻める?」

 雷華はかなりテンションが高まっているようで、尻尾があったら今頃振り回しすぎてタケ○プターの如く空を飛んでいた事だろう。手の動きも激しさを増し、汗をかいてなかったら摩擦で俺の腕に火がつくか皮が剥けてるんじゃないか?


「先ずは初級から行こうか。ウォーミングアップも兼ねてね」


「全部制覇しようね、圭人♪」



「よし、じゃあ行ってみようか!!」


「イってみよー♪」

 俺達は意気揚々と初級コースに入る。初級コースと言うだけあって人が多く、順番待ちをしてようやく俺達の番が来た。俺達を含め7人の人が並びスタートを待つ。


「どうせだからどっちが先に着くか勝負しない?」


「いいよ♪罰ゲームは何にする?」


「じゃあ、俺が勝ったら俺の用事に付き合ってもらうよ」


「圭人の楊枝で突き合うだなんて大胆だね、圭人♪でも、圭人のは楊枝じゃなくて麺棒だけどね♪」


「どんな受け取り方だよ!!やることがあるから同行してほしいんだよ。わかった?」


「じゃあ、私が勝ったら突き合ってもらうね♪」


「却下」


「……じゃあ、頭撫でながらキスして」


「……それくらいならいいよ。でも、俺が勝つから関係ないけどね」


「ムキーッ!!だったら突き合うのでいいじゃん!!私に勝つんでしょ!?」


「いや、それはまぁ……保険?」


「絶対勝ってやる……勝ってチュッチュチュッチュした後、無理矢理突き……」


『スタート!!』


 ブザーと共にスタートが切られた。


「雷華、お先に失礼♪」


「……ちゃんが出来るまで何度も……て、圭人、卑怯だよ!!もう、怒った!!絶対勝ってパパになってもらうんだからね!!」


「そんな約束してないよね、雷華!?」


 会話しながらも平均台を走り抜ける。周りの人はゆっくり歩いて平均台を進んでいたので走り抜ける俺達を驚きながら見ていた。


 次に見えてきたのは雲梯だった。雲梯か、懐かしいな。昔、雲梯はぶら下がる物じゃなくて上に登って走り抜ける物だと思っていたんだよな。


「雷華、雲梯はぶら下がる物で上に登って走り抜ける物じゃないって知らないの?」


「知ってるよ。でも、圭人だって走ってるじゃん。」


「昔の癖が出ちゃったようだね。そう言う時もあるよ。」


 ハハハッ、と笑いながら雲梯を渡りきと観覧席からオォ!!と歓声が上がる。


「なんか歓声が上がってるんだけど、雷華?」


「いいんじゃない?どうせウォーミングアップなんだからエンターテイナーも真っ青なやり方でクリアしようよ、圭人♪」


「そうだね、楽しまなきゃ損だし」


 その後、向こう岸に渡る為に幅跳びをする場所を俺は前宙の3回転半捻りで雷華はムーンサルトで飛び越え、ターザンロープをDKなゴリラのように次々と渡り雷華に至っては最後のロープから飛ぶときにジャージのファスナーを8割開け、両手両足を開きながら「ムササビッ!!」と言って飛んでいた。確かにジャージの中に風が入って背中が盛り上がって少しムササビっぽく見えなくは無いがその発想は無かった……



 屈辱である。


 ふざけ半分、対抗心半分で次々とクリアし、とうとう……


「ゴール!!」


「あぁ~負けたかぁ……」


「雷華、よく頑張ったね」


 落ち込んでいる雷華の頭を撫でてあげながら先に進む。雷華も現金なもので頭を撫でてあげると機嫌が良くなったようだ。


「圭人、ちゅ~、ちゅ~は無いの?それにコリコリとレロレロは~?」


「ダメだよ、雷華。周りに人が一杯いるんだから」


 調子には乗らせません。周りにたくさん人がいるのにちゅ~やらコリコリなぞ出来るわけがない。社会性を疑われかねない。


「うぅ~、圭人ぉ……」


 だから……


「……後で人がいない場所でね」


 俺の辞書にアメとムチのムチと言う言葉は無い!!


 但し、雪達と愛理ちゃんに限る。







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