表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/72

俺は海をナメてない!!~怪談~


 花火を終えて帰ってきた俺達は風呂に入るため大浴場に向かった。


「それじゃ、風呂上がって準備出来たら俺の部屋に集合って事で。では、解散!!」


「では、解散!!じゃないわよ。そっちは男湯じゃない。圭人はこっちでしょうに」


「男湯に興味があるのは分かるけど少しは自重するべきだよ、圭人」


「まったく、油断も隙もないんだから圭人は」


「圭人君、昨日は一緒にお風呂入れなかったから念入りに愛理の身体を洗ってね♪」


「……何かが間違っていると思うのは俺だけか?」


「いや、間違っているのは世界の方だ!!」


「上がってきた才雅がボロ雑巾の様に搾り取られているのにポテチ3袋賭ける」


「いや、わかってるなら止めてくれよ!!男友達と一緒に風呂に入れる機会なんてそうそうないだぞ!!」


「それは不潔な考えだわ、圭人。でも大丈夫、私がちゃんと汚れた心ごと綺麗に洗ってあげるから♪」


「男と一緒に風呂に入ったら釜を掘られるって昔から言ってるでしょ!!警戒心が薄すぎだよ、圭人は!!」


「それにわかると思うけど、他の男の身体は汚いの。いつ性病にかかるかわかったもんじゃないわよ」


「一応、彼ら用に強力な洗浄、消臭、除菌のボディソープとかを用意してあるけど、それで圭人君の肌がやられちゃったら嫌だから大人しくこっちで一緒に入りましょ、圭人君」



「朝から妙に身体が痒いと思ったらそのせいだったのか!?」


「常在菌ごと除菌されてるんじゃないのか!?」


「こんな状態で海に入ってたとかヤバすぎだろう!!」


 驚愕の事実に斎藤達はビビっているが今はそっちに構っている暇はない。


「それでもいいから俺は男湯に行くんだ!!斎藤達からも何か言ってくれ!!」


「「「荷馬車はゆ~れ~る~」」」


「やめろ、ドナるんじゃない!!ちょっ、引っ張らないで!連れて行かないでぇぇぇぇ……」






☆★☆★☆★☆★☆


「やっぱり絞りカスにされてたか。賭けにならんな」


「これでまだDTなんだから謎すぎる」


「才雅、赤マムシとマカがあるけどどっち飲む?」


「……両方で」


 斎藤達の言う通り、案の定搾られてしまった。


 しかも、途中で気絶していた筈の瞳お姉ちゃんまで乱入した事で更に状況が悪化してしまった。


 流石のジョニーさんもあまりの激しさに頭を垂れてうなだれている。今日はもう起き上がる事はないだろう。


「圭人ったら激しいんだから♪」


「あんなにイカされるとは思わなかったよ♪」


「色んな意味で視界が真っ白にされちゃうなんて思わなかったわ♪」


「あれだけ圭人君のジョニーが元気ならすぐ妊娠出来るわね♪」


「圭人様は絶倫ですね。このままだと私の身体が持ちそうにないです……キャッ、はしたない!!」


 みんなはこんな感じ黄色い声を出している。


「喜んで貰えたようで何よりです……」


「ところで、才雅。全員呼んでこれから何をするんだ?」 


「トランプとUNOなら持ってきたぞ」


「前に言ってた絵心勝負ならいつでも受けて立つぞ?」


「いやいや、そんないつでも出来るような物をやっても芸がないだろう。海、花火と来たら……怪談をするのが夏の定番ってもんだろう!!」


「ベタだな」


「安易すぎる考えだ」


「テンプレとも言うな」


「いいんだよ!!ほら、蝋燭付けて電気消して!!」


 人数分の蝋燭を付けた後、電気を消し早速百物語改め、九物語を始めることにした。 






☆★☆★☆★☆★☆


「じゃあ、一番は俺がやらしてもらうぞ」


「飛びきり怖いの頼むぞ、斎藤」


「任せておけ。……あれはゴールデンウィークの最終日の事だった……」


「「はい、次」」


「おい、邪魔すんなよ三山、伊東!!」


「うるせぇ!!一人だけ飛びっきりのネタを出そうだなんてそんなマネさせるかっ!!」


「その通りだ!!この話は俺がする!!……ゴールデンウィークの最終日、俺はとある館に……」


「「言わせねぇよ!!」」


「おいおい、これじゃ埒があかないぞ」


「圭人様、この話は私も知っていますが大した話じゃないのでボツです」


「そうなんですか?じゃあ、斎藤達は怖い話ができなかったから後で罰ゲームね。」


「「「ちょっ、待っ……」」」


 斎藤達は何か言おうとしているが無視して蝋燭の火をを吹き消す。


「次は誰が行く?」


「では、私が行きます」


「年増の場合はその年齢で未成年に手を出そうとしている事が既に怪談ね。あー、怖い怖い」


「恐ろしいと言うよりはおぞましい話ね。年相応な相手でド○チンって教師がいるんだけど、どうかしら?」


「これで年増の世にもおぞましい話は終わりだね。次、次♪」


 そう言いながら雪達は瞳お姉ちゃんの蝋燭を吹き消す。


「何をしますか!!それに何がおぞましい話ですか!!こんな純愛、今時りぼ○にもマー○レットにも載ってないくらいですよ!!」


「瞳お姉ちゃん、少女コミック読んでるんだ……」


「瞳お姉ちゃんは昔からマーガ○ットとかよく呼んでたからね。愛理もこっそり読ませてもらった事があるわよ」


「そうなんだ……おっと、それはさて置き。次は愛理ちゃんお願いしていい?」


「ぽっと出じゃ大した話なんて出来ないわよ、圭人」


「どうせぽっと出の話なんてしょうもない話だよ」



「ランランルーって言ったら教祖様が宙に浮いたって話しでしょ?知ってる、知ってる~」


「こら、ちゃんと最後まで聞かないうちに決めつけちゃだめだよ。愛理ちゃん、始めていいよ」


「わかったわ、圭人君♪……あれは9歳の時の事だったわ。夜、ベッドで寝ていたら携帯が鳴ったの。こんな時間に誰だろうと思って見てみると非通知で不審に思いながらも電話に出たの。もしもし、どなたですかって言ったら『私、メリー。今駅前にいるの』って言って電話が切れたの。イタズラだと思って寝てたら20分後にまた電話が鳴ったの。もちろん、非通知でね。恐る恐る出ると『私、メリー。今コンビニ前にいるの』って言って電話が切れた。そして、電話が来る度にどんどん家に近づいてくるの……」


 メリーさんと言う在り来たりな話しだが愛理ちゃんの話し方が上手くてなかなかに怖い。あまりの臨場感に斎藤達もブルってるし。


 雪達はブツブツと「メリーさんなんて在り来たりじゃない……」とか言ってたけど話しの邪魔はしていない。なんだかんだでちゃんと聞いているようだ。


「……次に電話が鳴ったら、『私、メリー。今あなたのお家の前にいるの』って言って切れたの。私はとっさに布団の中に隠れたわ。きっと次は部屋まで来ちゃうと思ったし、ドアを開けた途端に目の前にメリーさんがいるかもしれない。私は布団を被って振るえる事しか出来なかったわ……でも、不思議な事に何時まで経っても電話が鳴らなくてどうしたんだろうと思ってると、電話が掛かって来た。私は振るえる手で電話に出たらメリーさんはこう言ったの……」


 ゴクリッと唾を飲み込んで次の言葉を待つ。






「『私、メリー。今、門番さんに捕まったの。迎えに来て!!』って……」






「「「「なんじゃ、そりゃあぁぁぁぁ!!」」」」


「あぁ、あの時の話ですね。門の前に不審な男がいたので捕まえて洗いざらい吐かせたらお嬢様を狙うロリコンストーカーだと言うことが発覚したので警察に突き出したんですよね」


「ちなみに、そいつ2年後にまた愛理に電話して来たんだけど、その時別荘にいたから瞳お姉ちゃんと爆笑した覚えがあるわ」


「確か、屋敷で警備してたマーキュリーがそいつを処理したらしくてそれ以降電話が掛かって来ることは無くなりましたね。マーキュリーもああ見えて結構やりますから」


「可哀想なメリーさん……」


「きっと、田辺と同じ末路を辿ったんだろうな……」


「そう言えば、田辺がそっちに目覚めたって話しらしいぞ……」


 メリーさんの話の末路はかなり恐ろしいと思うがそれよりも……


「9歳で携帯を持っているとは……何て恐ろしい話なんだ!!」


「「「そこっ!?」」」


「小学生のうちから携帯を持っているなんて、かなりの格差を感じる……これが風雅院の力なのか、恐ろしすぎる……」


「圭人、今の子は小学生でも携帯は持ってるものだよ?」


「子供の時、携帯持たされなかったからね、私達」


「て、言うかいつも圭人と一緒にいたから携帯を必要としてなかったわね」


「子供は外で遊ぶべきなんだ。携帯は高校生になってから!!小学生に携帯、ダメ、ゼッタイ!!」


「考え方が古いな、才雅」


「今を生きる高校生とは思えん」


「見た目は平成、中身は昭和って感じだな」


「失礼な、これは原初の考え方だぞ!!」


「それにしても、全く怖い話してる時の雰囲気じゃないわね。このままでいいの、圭人君?」


「ダメに決まってるよ!!次こそは怖いの頼むよ!!」


「そんなこと言うなら才雅が怖い話をしてくれよ」


「怖い話あるんだろうな、才雅?」


「しかもとびきりの奴な」


 ふっ、斎藤達め。俺の実力を疑っているようだが俺の話を聞いて果たして正気でいられるかな?


「任せておけ、ビビりすぎてトイレに行けなくして進ぜよう……あれはいつものように雪達と愛理ちゃんと一緒に寝ていた時だった……」


「複数の女の子と一緒に寝ることをいつものようにで済ませられる才雅は大物なのだろうか?」


「ある意味では大物だな。無防備で寝ている女の子がいるのに誰にも手を出してないんだから」


「本当、硬派なのか軟派なのか分からん奴だな」


「圭人が話してるんだから黙って聞いてなさい、腐れ短小共」


「そんなんだからブサイク代表の中川に惚れられるんだよ」


「モテなかったり非リアだったりするのもそう言うところが起因してるんでしょうね」


「いくら教えてもこんなものなんだから仕方ないのよ。そろそろヒリアの教えを理解出来ない輩には肉体的指導も取り入れなきゃいけないわね」


「……押し黙って泣いているのはいいが、続けるぞ?俺は喉が渇いたから至る所に巻き付いて寝ているみんなを優しく引き剥がすのに10分位かかりながらもベッドを出た。階段を下りている時から聞こえている母さんの喘ぎ声を無視しながら冷蔵庫に入っている買ったばかりのコーラを手に取った。未開封な筈のコーラが誰かに飲まれていたけどそんなのはいつもの事だから気にせず飲んで一息ついた時、ガタッ、て音が鳴った。俺は誰か起きてきたのかと思って音の鳴った方に目を向けたけど誰もいない。気のせいかと思って部屋に戻ろうと廊下に出ると、急に鳥肌が立ちだした。何でかわからないけど、早くここから離れないといけない気がして早足で階段を上ろうとした時、背中に何かが触れてきた。俺は瞬時に悟ったよ。振り向いてはいけない、振り向いたらきっと恐ろしい事が起こるってね。俺はゆっくりと階段を上ろうと意を決して一段踏み込むと、今度は肩を掴まれた。なかなかに強い力だったから前に進めなかった。今まで幽霊とか信じて無かったけど、これはマジモンだと思わざるを得なかった。俺は心の中で般若心経と祝詞と九字を切っていたら、小さな笑い声が聞こえてきた。その声を聞いてホッとしたよ。だって、その笑い声は雷華の声だったんだから。俺は驚かすなよ、雷華って言おうと振り向いた。そこにいたのはうちの学校の制服を着たマーキュリーだった……」






「「「「ギャァァァァー!!」」」」






 屋敷中に響き渡るんじゃいかと言う絶叫が上がる。


「普通に恐ろしい話じゃねぇか!!」


「俺はてっきり風雅院先輩みたいに笑いがついたオチだと思ったのにとんだ裏切りだぞ!!」


「まだ幽霊の方がマシだわ!!」


「思い出したせいで俺まで叫んじゃったけど、あの時はマジで怖かった。今思えば背中に当たっていたのは奴のゴンザレスだったんじゃないかと思っているんだよな……あれのせいで、夜部屋を出るときは誰かに付き添ってもらわないといけなくなっちゃったからな……」

 俺を含め、男性陣は恐怖の余り尻を手で押さえている。


「圭人の悲鳴を聞いてすぐに駆けつけたからよかったものの、あのホモは万死に値するわね、本当」


「よりにもよって、あの気持ち悪い格好が私の変装だなんて有り得ないよ!!声までボイスチェンジャーで変えてたから速攻でボイスチェンジャーごど喉を潰してやったよ!!」


「いくらやっても反省しないから、そろそろ本気でコロチュ☆てしなくちゃいけないわね」


「腕は良いんだけどねぇ~。やっぱり解雇した方がいいのかな?」


 女性陣は恐怖よりも憎悪の方が大きいらしい。マーキュリーの奴は長生きできそうにないな。


「なぁ、才雅。確かに怖い話だと思うんだが、なんか違くね?」


「ホラーってよりはサスペンスって感じの怖さだな」


「もう少し心霊チックな話が欲しいな。プチ百物語なんだし」


「そうだな。次はホラーな話を期待しよう」


 ホラーな話を雪達に丸投げする気満々な俺は蝋燭台を手に取る。


「じゃ、消すぞ……どうしたんだ、斎藤?ウンコしてたら腸まで出ちゃったくらい驚愕した顔して」


「さささささっ、才雅、う、う、う、後ろ……」


「後ろ?」


 斎藤の言葉に後ろを見ようとすると、三山と伊東が「ヒッ!!」て言って座った状態で後ずさる。


 ……一体、後ろには何がいるんだ?


 俺は強張る体を何とか動かし振り向く……






「プゥリィィィティィボォォォイ!!アノトキノコーラウマカッタヨォォォォ!!」






「「「「ギャァァァァー!!!!」」」」






 ……そこにいたのは、ケツに半分吹き飛んでいるリアルロケット花火を刺した血濡れのマーキュリーだった……


 恐らく、今年一番のホラーだったであろう事は言うまでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ