俺は海をナメてない!!~真剣勝負~
海に還ったマーキュリーを見送り、再びスイカ割りを始めたのだが……
「そ~れっ!!」
ガチャガチャガチャ……グチャ!!
「えいや~!!」
ウィンウィンウィーン!!……ジャリジャリジャリ!!
「とぉ~!!」
ドドドドド……パァン!!
「スイカ割りって初めてだけどなかなか派手だね、圭人君♪」
「違う!!これはもうスイカ割りなんかじゃない!!」
「えっ、違うの?」
「そもそもスイカ割るのにモーニングハンマーとかチェーンソーとか輻○波動機構とか使わないからね!?これじゃあスイカ食べられないよ!!」
「圭人様、スイカなら切り分けた物をご用意しております。」
「スイカ割るだけ!?割ったスイカをみんなで食べるとかはないの!?」
「圭人、こんなグチャグチャなの食べたくないよ。」
「私もこんな実の入ってないスイカ食べれないよ。」
「そもそも私が割った奴は吹き飛んじゃったから食べるとこないし。」
「割ったら割りっぱなし、嫌なことは我慢できない……これだから平成っ子は!!」
「才雅、お前も平成っ子だからな。」
「昭和生まれでもそんな奴はいるだろうに。」
「そもそも卒塔婆で割ったスイカを食うなんて不衛生だろうに。」
「どうして、みんな分かってくれないんだ!!割ったスイカをみんなで食べるのは普通じゃないのか!?」
「圭人、常識に捕らわれたら見えるモノも見えなくなるよ。ほら、しっかり私の胸を見て。」
「雪、俺の目の前に胸を持ってこなくてもちゃんと見えてるよ!!て、言うか胸を見せつけてくるのはどちらかというと非常識だよ!!」
「圭人、私の胸は今ならモミ放題だよ♪」
「それは後で揉ませてもらうけど今はスイカ…」
「圭人、雷華のチッパイなんて揉んでも満足出来ないわよ。揉むなら私のにしときなさい。」
「だから揉む、揉まないは後にしてスイカ…」
「圭人君、パフパフって知ってる?」
「スイカァァァァ!!!」
☆★☆★☆★☆★☆
結局、俺の主張は届かず割ったスイカは無惨に捨てられてしまった。
俺の理想のスイカ割りが…
「才雅、そんなに落ち込むなよ。ほら、このスイカうまいぞ。」
「スイカ割りに幻想を抱きすぎだ、才雅。みんながみんな、割ったスイカを食べるとは限らないんだから。」
「才雅、そのスイカ割りに抱いた幻想を俺の右手で殺…」
「圭人君、バナナボート用意してあるから一緒に乗ろ♪」
「…落ち込んでても仕方ないか。わかった、乗るよ。」
「何を勝手に決めてるのよ、ぽっと出!!これから圭人は私宛のラブレターを砂に書かなきゃいけないからそんなヒマは無いんだからね!!」
「圭人、ぽっと出なんてシカトしといて私と沖まで泳ぎに行こうよ♪」
「……圭人、ふと思ったんだけど、プライベートビーチなのに水着を着てる意味って無いわよね?無いから圭人は水着を脱いだほうがいいと思うのよ。いえ、今すぐ脱ぐべきだわ!!」
「雪と雷華の主張はいいとして、美波、なんで俺が脱がなきゃいけないんだ?」
「確かにそれは同感ね、美波。プライベートビーチなんだから圭人は脱ぐしかないわ。」
「雪まで何言ってんの!?そんな妄言に乗っかる必要なんてないよ!!」
「圭人の言う通りだよ!!圭人は裸よりも裸ワイシャツの方がいいに決まってるんだよ!!」
「俺は裸より裸ワイシャツの方がいいなんて言ってないよ、雷華!!」
「裸がいいだの裸ワイシャツがいいだの騒がしい子達ね…」
「全く、愛理ちゃんだけだよ俺の気持ちがわかるのは…」
「圭人君は脱ぐより脱がす方が好きに決まってるじゃない。でも、愛理の裸は圭人君以外の男に見せるつもりは無いから屋敷に戻るまで待っててね、圭人君?」
「わかってない!?なんていう裏切りなんだ!!」
「あなた達、お嬢様が全裸になれないので今すぐ屋敷に戻るか死ぬかどちらか選びなさい。」
「「「光の早さで退散致します!!!」」」
「瞳お姉ちゃん、斎藤達を屋敷に帰さないでよ!!何の為に連れてきたかわからなくなるでしょ!!」
「圭人、そんなことはどうでもいいから早く砂にラブレター書くか脱ぐかしてよ!!」
「圭人、ちょっと待ってて。今すぐワイシャツもらってくるから♪」
「裸もいいけど圭人に何か獣耳を付ければさらに…」
ダメだ、このままだと全裸にされた上、何かの獣耳まで付けさせられる!!
てか、男のネコミミとかイヌミミなんて誰特だよ!!
どうすればこの危機を乗り越えられるんだ……
「……ダメだ、これしかない!!みんな、勝負だ!!」
☆★☆★☆★☆★☆
砂浜に腹ばいになって寝っ転がり位置に着く。
「みんな、これはただのビーチフラッグじゃない、真剣勝負だ!!ルールはシンプル、旗を取って人の勝ち。負けた人は勝った人の言うことを何でも聞く、オーケー?」
「「「「「オーケー!!」」」」」
「…なぜ、瞳お姉ちゃんも参加してるんですか?」
「もちろん、叶えたい願いがあるからです!!」
「タカラヅカ、いえ、瞳お姉ちゃん。まさか愛理に勝てると思ってるの?大人しく審判でもしていればお情けを分けてあげてもいいわよ?」
「お嬢様、真剣勝負に上下関係を持ち込むのは無粋ですよ。…それと、私が勝った時はちゃんとお情けを分けてあげますよ、お・じょ・う・さ・ま。」
視線で火花散らし合う愛理ちゃんと瞳お姉ちゃん。
「ようやく、圭人が私の物になる日が来たわね!!」
「私が勝つのは目に見えてるね♪今日は一日中イチャイチャ出来るよ、圭人♪」
「圭人、今日はヌルヌルパニックの上級編をやるからそのつもりでいてね♪」
雪達もだいぶやる気を出してるのはいいけど、負けたら確実にいろいろと失いそうだな……
「三山、どこでもいいから旗を設置して来て。」
「わかった、どこでもいいんだな?みんな、絶対こっちみんなよ!!」
三山は旗を持って俺達の後ろの方に走っていった。
「伊東、写真は頼んだぞ。」
「任せろ、バッチリ撮りまくってやる。」
「みんなの写真は大きく引き伸ばしたやつと、普通のやつを各1000枚頼む!!」
「だから、俺をどこの業者の回し者だと思っているんだ才雅!?」
「仕方ない…愛理ちゃん、お願い出来る?」
「まかせて、愛理と圭人君の写真は全部ラミネート加工しとくから♪」
「ありがとう、愛理ちゃん。……伊東、これくらい出来ないとダメじゃないか!!」
「どんな無茶ぶりだよ!!普通、一般人は写真をわざわざラミネート加工までしないぞ!!」
「伊東はまだまだ修行が足りないようだ。こんなんじゃ、いいカメラの印刷業者にはなれないな……」
「いつ俺が印刷業者になることが決まったんだ!?」
伊東の力不足を嘆いていると、後ろから走っている足音が聞こえてくる。どうやら、三山が戻ってきたようだ。
「才雅、準備オーケーだ。」
「斎藤、合図を頼む。」
「全員、準備はいいか?……よし、じゃあ…」
「あっ、ちょっと待った。」
「どうした、才雅?」
「みんな、1つ聞いてくれ。」
雪達と愛理ちゃん、瞳お姉ちゃんは俺を見て首を傾げる。
「みんなには悪いけど先に言っておくよ。……勝つのは、俺だァァァァ!!」
「圭人、大言壮語もいいけど勝つのは私って決まってるから。」
「いや、俺が勝つよ。みんなには俺の全力を見せてあげるよ。…斎藤、いつでもいいぞ!」
「いくぞ、よーい……ドン!!」
全員一斉に立ち上がり、後ろに振り返って走り出す……1人を除いて。
「相手の邪魔をしちゃいけない何てルールはないでしょ、圭人?」
「美波……そこまで俺を全裸にしたいか!!」
俺と美波を除いた4人はどんどん先に進んでいる。
「……そろそろいいわね。」
そう言うと、美波は俺の手を取って走り出す。
訳がわからないまま、さっき愛理ちゃんが用意したバナナボート付きのモータボートに乗せられた。
もしかして、この展開は……
エンジン音が鳴り響きモータボートは沖に進みだす。
「さぁ、圭人。私と遠くの国に行きましょう。きっと素晴らしい毎日を過ごせるわ♪」
「モータボートで海を渡るの!?無理すぎるでしょ!!」
「大丈夫、迎えのヘリを呼ぶから♪」
「……最初から狙ってたね、美波。」
「もちろん♪こんなに早くチャンスが来るとは思ってなかったけどね♪」
ボートはどんどん進んで行き、完全に砂浜は見えなくなった。
「ここでヘリを待ちましょう。…でも、ただ待ってるだけじゃ、ねぇ?」
美波は俺を押し倒し、唇を押し付ける。
「んっ、ぁ、圭人、圭人……」
美波は唇を離し、俺の首筋に顔を擦り付けてくる。
まるで自分の匂いをつけて周りに自分の物だと主張するようだ。
「…圭人も我慢できないでしょ?いいんだよ、私を好きにして。圭人の思うように、私を可愛がって……」
俺は気がつけば美波を押し倒していた。
ゆらゆら揺れるボートの上に鬱陶しさを覚えるが、それを無視して美波の上の水着を脱がし胸を露わにする。
その胸を揉みながら下の水着にも手をかける。
「圭人……私だけの圭人になって…」
俺のジョニーはもう限界らしく、水着を押し上げ俺をせかしつけてくる。
全裸に剥いた美波を見て自虐的に笑う。
愛理ちゃんの言うとおり、俺は脱がす方が好きなようだ…
俺も水着を脱ぎ、美波を抱き寄せる。
「美波……」
「圭人……」
俺は美波に優しく口付けをしつつ、ジョニーを美波のシルヴィアにあてがって……
「ヒャッハー!!兄者、あいつらボートの上で青姦してマスゼェェェェ!!」
「青☆姦だなんてハレンチデスゾォォォォ!!」
「しかも、男の方はさっき我々の神聖なスイカ割りの儀を邪魔した奴!!お前のせいで衆道に目覚めてしまったじゃないか、どうしてくれる!!」
「……有り得ないわね。」
美波は水着を着直し、こっちに近付いてくるモータボートを睨みつける。
「圭人~あいつらを殺す為の道具出してよ~」
「ス~ピ~ア~ガ~ン~」
と、ふざけながらなぜかボートに取り付けてあったスピアガンを美波に渡す。
「あ、兄者!!あいつら飛び道具を持ち出してマスゼェェェェ!!!」
「マズいデスゾォォォォ!!」
「慌てるな!!我々にはこれがっ…!!」
兄者と呼ばれる男がスイカを持ち上げた瞬間、スピアガンがスイカを吹き飛ばした。
「我々のスイカがァァァァ!!」
「チッ、外したか……面倒くさいからボートを壊すわ。」
美波は直接撃つのやめて、ボートのスクリューや側面にスピアガンを撃ちまくる。
気付いたら銛が刺さりまくってハリネズミみたいになっていた。
「美波、これくらいにして帰ろ。俺、腹減っちゃった。」
「あ~あ、せっかく雪達を出し抜けたのにこいつらのせいで台無しだわ。」
「……美波、雪達が迎えにくるまでこの辺を回ってみない?」
「いいの?」
「あぁ、俺はまだ美波と一緒にいたいからね。」
「……ありがとう、圭人。」
優しく微笑む美波を見て、また熱くこみ上げるモノを感じるがそれを押さえ込み、微笑み返す。
……短い間だけでも美波の物でいてあげよう。この笑顔をずっと見ていたいから……
「行こっか。」
「…うん♪」
モータボートを走らせこの場を後にする。
短くても美波と二人きりのデートを楽しまなくてはいけない。
そんな俺達を見守るように、波は穏やかに流れていく。




