俺は海をナメてない!!~スイカ割り~
今年の夏は例年より暑くなると天気予報でやっていたが、確かに…暑い。
熱中症、熱射病になる人も増加傾向にある今年の夏、どう暑さ予防をするべきだろうか?
適切な食事?こまめな水分補給?快適な室温管理?
どれも違うね!!
「海でしょう!!」
「プール行った時も似たような事言ってたな、才雅。」
「しかも海入っても熱中症も熱射病もかかるぞ。」
「暑さと妙なテンションで頭が沸いているんだと推察。」
「おい、海に来たのに何だそのテンションの低さは!!もっと自分を解放しろよ!熱くなれよ!!」
「そんな事言ってもなぁ…」
「プライベートビーチじゃ女の子いないし…」
「俺でも彼女出来るんじゃないかと思ってたのに…」
どうやら斎藤達は女性客がいない事に落ち込んでいるようだ。
「考え方を変えるんだ。普通の海水浴場に言って吐き気しか催さないレベルの女性しかいなかった場合を考えれば、他の女性客がいなくても超絶可愛い雪達や愛理ちゃんがいるこのプライベートビーチの方が良くないか?」
「そんな答えが決まっているような二択を出すな!!」
「それでも…それでも俺はブスの群れの中に一際輝く普通の子を探し出す方を選ぶ!!」
「三山、お前男だよ!!…俺はその選択は選ばんがな…」
「伊東、テメェェ!!」
三山が伊東にじゃれついていると雪達と愛理ちゃんがやってきた。
「ちょっと待たせちゃったね、圭人。でも準備は万端だよ♪」
「水着は着込んできたからすぐ海に入れるよ♪」
「早く行きましょ、圭人♪」
「圭人君、日焼け止めはしっかり塗ってね♪」
「お前たち見てみろ、これが海に行く時の正しいテンションだぞ。」
「「「黙れ、クサレリア充が!!!」」」
「ほぉ…お嬢様の着替えを盗撮するようなクサレ犯罪者達が圭人様を悪く言いますか…そんなに死にたいようでしたらお手伝い致しますが?」
愛理ちゃんの後ろで控えていた瞳お姉ちゃんは一見、冷静そうに見えるが手は懐に伸びていてチラチラと黒い塊が見え隠れしている。
「「「しゃーせんした!!!」」」
最近、斎藤達の三下っぷりが半端ないと思うが、これと言った対策が取れない以上、本人達に頑張ってもらわないといけないな。
そう思いながら、瞳お姉ちゃんを宥め、斎藤達を慰めつつ早速海に繰り出すことにした。
☆★☆★☆★☆★☆
海に着き、早速泳ごうと砂浜に近づくと3人の男が何かをしていた。
「…愛理ちゃん、ここってプライベートビーチだよね?」
「そうだよ、愛理が所有している土地だよ。」
「じゃあ、アイツ等は知り合いの人?」
「圭人様、あの者達は風雅院家の者でもなければ関係先の者達でもありません。」
「不法侵入だね、ちょっと注意してくる。」
男達に近づいていくと、どうやら彼らはスイカ割りをしているようだった。
「「「スイカ割りっ、あっ、どした、スイカ割りっ♪」」」
彼らは楽しげに歌っていて、スイカを目指して歩いている目隠しした男はなぜか日本刀を持っていた。
うん、不法侵入に銃刀法違反だから確実に警察のお世話になるね。
俺は意を決してそいつ等に話しかけてみた。
「すみません、ここは個人が所有している土地ですから早く出て行った方がいいですよ。」
そう言うと背中にHOZAKUと書かれたTシャツを着た男がこっちを向いた。
「黙れ!!我々は今神聖なるスイカ割りの儀をやっているんだ、邪魔するな!!」
そう言うと、背中にTANZAKUと書かれたTシャツを着た男と背中にTSUNZAKUと書かれたTシャツを着た目隠ししている男も振り返った。
「兄者ァァァ、我々の邪魔をしたそやつはぶっ殺☆デスゾォォォォ!!」
「ヒャッハー!!イチョウ切りにしてヤルゼェェェ!!」
頭の神経回路がやられちゃってるっぽい叫び声をあげて日本刀を振り回すTSUNZAKUさん。
「ギャッ!バ、バカモノォォォォ!!目隠しして日本刀振り回す奴があるかァァァ!!峰打ちだったからよかったもののォォォォ!!」
「コントをやっとらんでさっさとその小僧っ子を始末しろ!!」
「…あっ!!海からスイカの大群が攻めてきた!!」
「「「ニャニィィィィィ!!!」」」
イカれた男達が海を見た瞬間に腕時計の麻酔銃、誘導式スタンガンの機能を同時に使って沈黙させた。
「圭人どうだった?て、言うか全員気絶してるね。」
「この人達、日本刀でスイカ割ろうとか何を考えてるんだろうね?」
「スイカを割わって食べたいのか切って食べたいのか訳わかんないわね。」
「マーキュリー、この不審者達を取り調べしといて。何も問題無いようだったら警察に突き出しといて。」
「イェッサー!!」
マーキュリーは男達を3人纏めて担ぎ上げ車に押し込めるとそのまま行ってしまった。
マーキュリーが去った後の海はより綺麗に見えた。どれだけ奴が景観を壊しているかがよくわかるね。
「さて、それじゃあ早速…」
「スイカ割りね、分かってるよ♪」
「いや、違うからね!普通に遊ぼうと言おうとしただけだからね!!」
「知ってるんだよ、圭人。元々スイカ割りがしたくて海に行こうって言い出したんでしょ?」
「テレビでやってた巨大トランプでスイカを切れるかってやつ見てる時、スゴい興味津々だったからね。バレバレよ、圭人。」
「そ、それは確かにそうだけど、別にスイカ割りがめちゃくちゃしたいって訳じゃ…」
「圭人君、不審者達が先にスイカ割りをやってたから尻込みしてもしょうがないわ。だけど、スイカはもう用意しちゃったわ。それに割る用の棒以外にも巨大トランプに三節棍とか色々用意したから♪」
「いや、でもなぁ…」
「「「スイカ割りっ、あっ、どした、スイカ割りっ♪」」」
「おい、悪ふざけはよせ!!」
「「「「スイカ割りっ、あっ、どした、スイカ割りっ♪」」」」
「わかった、わかったよ!!やりますよ!!」
「圭人様、目隠しです。」
俺は瞳お姉ちゃんから渡された目隠しをつける。
「圭人、足元にスイカを割る為の物をばら撒いといたから好きな物を取って。」
俺はしゃがんで適当に手についた奴を掴む。触った感じ、どうやら木の板らしい。
これでスイカが割れるか不安だけど、トランプでスイカが切れていたんだからイケる筈!!
「それでいいの?じゃあ、周りに置いてある物を片付けるからちょっと待っててね、圭人君。」
「私がスイカ割るならこれでやってみたいな♪カッコいいし♪」
ガチャガチャガチャ!!
「私はこれがいい♪これならキレイに割れそうだし♪」
ウィンウィンウィーン!!
「私ならこれね。当たったら一撃で弾け飛ぶでしょうし。」
ドドドドドッ!!
「ねぇ、いったい他に何を置いてたの!?音を聞く限り、俺が持っている物より数段ヤバそうな感じがしてならないよ!!」
「『いろいろ』だよ、圭人君♪」
「圭人、得物が決まったんだし、バットじゃないけどグルグルバット100回して早くスタートしなきゃ。」
「多くない!?100回は流石に吐くよ!!」
「い~からい~から~♪」
俺は渋々100回回って、ワンダーフォーゲル!!とオマケに叫んでスイカを探す。
「「「「「「「スイカ割りっ、あっ、どした、スイカ割りっ♪」」」」」」」
三半規管はあてにならないから真っ直ぐ歩けているか不安だが、それでも懸命に探す。
「「「「「「「スイカ割りっ、あっ、どした、スイカ割りっ♪」」」」」」」
クソッ、スイカはどこにあるんだ!!
「「「「「「「スイカ割りっ、あっ、どした、俺の勝ちっ♪」」」」」」」
「誰でもいいから指示出せや!!目隠し状態じゃあ、どうやっても見つけ出せないだろが!!」
バコンッ!!
「「「「「「「おぉ~!!!」」」」」」」
「流石です、圭人様。」
怒りのあまり木の板を振りかぶったらたまたまスイカに当たったようだ。
「…なんか当てたのにスッキリしないスイカ割りだったな…」
俺は目隠しを取った瞬間、驚愕した。
スイカがグチャグチャに潰れて猟奇殺人現場みたいだったからでは無い。問題は俺が持っていた物だ。
「愛理ちゃん、この卒塔婆どっからパクってきたのさ!?」
「知らないわ、私が用意した訳じゃないし。」
「誰だ、こんな罰当たりな事をした奴は!!」
「オゥ!プリティーボーイガミーガヨウイシタウッドボードヲツカッテクレテルネ♪」
「お前か!!どこの墓場から盗ってきやがった!!」
「トッテキテナイネ!!オテラノウラニタクサンササッテタカラヒロッテキタネ!!」
「やっぱり盗んでんじゃねーかバカヤロウ!!」
俺はついつい持っていた卒塔婆をマーキュリーの頭に叩きつけた。
もちろん、卒塔婆は折れている。
「圭人、卒塔婆を壊したら幽霊にとり憑かれるんじゃないかな?」
「これは不可抗力だからきっと許してくれるさ。」
もともと盗んできたのは足元でピクピクしているホモなのだから呪われるとした真っ先にこいつが呪われる。
「それにしてもこの頭から血を流してるチーガーなモーホーはどうする?」
「海に流しましょう。うまくいったら無人島に着くでしょうし。」
「流石、美波だね。躊躇なく俺と同じ結論を出すんだから。」
「圭人様、ちょうど大きめの葛籠の方がご用意しておりますので是非ご利用ください。」
大きな葛籠を超強力なテープでガチガチに固め、マーキュリーは沖へ沖へと流れていった。きっと強欲な奴に拾われることだろう。
悪しき物は記憶ごと海に流し、俺達は楽しい楽しい夏を満喫する為、引き続きスイカ割りを続けることにした。
スイカ割りのネタが分かる人いますか?




