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俺は海をナメてない!!~出発~

 DEATH代からの刺客、橘さんの猛攻を退け、退屈な授業を耐え忍び、俺に向けられる殺意が籠もる視線を雪達が物理的に潰し、ようやく俺は放課後を迎えることが出来た。


「さぁ、帰るぞ皆の衆!!」


「才雅、お前授業中に帰る準備してただろ。教科書もノートも全部仕舞って代わりにメモ帳出して何書いてたんだ?」


「愛理ちゃんの別荘の近くにある名所とか名店を羅列していって一番効率よく回れるルートを俺なりに考えてたんだ。」


「それを見て先生が問題出してきたのに、顔をあげないで問題答えたから先生涙目だったぞ。」


「教科書に出て来る問題、全部暗記してるから教科書見ても仕方ないんだよね。」


「…流石学年一位だな。」


「普通の人間にはマネ出来ないな。」


「そんな事はどうでもいいから早く帰るぞ!てか先に帰るから斎藤達も早くうちに来いよ!!」


 俺は教室を出て廊下を駆け抜ける。


 途中、誰かが呼び止めたような気がしたが気にせず走り、途中走り幅跳びのようにジャンプして靴を脱ぎ靴箱を開けて靴を取り、その際出て来た手紙らしき物を無視して靴を履き 玄関を飛び出し、再び走る。


 走る走る。


 走る「才雅圭人ォォォォ死、ニェガァアアア!!」何かを殴ったような気がしたが走る。


 暫く走ったら、ようやく家に着いた。


「ハァ、ハァ……圭人、速すぎ…」


「フゥー、圭人より短距離なら早くなったけど、フゥー、長距離はまだ勝てないや…」


「圭人ぉ…塀の上とかぁ…ゴミ箱を足場にして飛ぶとかぁ…変則すぎぃぃ…」


「ごめん、ごめん。待ちきれなくてどうしようもなかったんだよ。汗かいたから着替えついでに風呂に入ろっか。」


「「「賛成…フゥー…」」」


 参ったな、雪達に迷惑かけちゃった。


「ごめんね、お詫びに身体を洗いながら足を揉むから許してくれないかな?」


 雪達はそれじゃ、納得いかず、風呂に入ると雪達の胸を揉まされてしまった。


 走ったら胸は揺れる。それで胸がこるかもしれないから揉むのは決して間違いじゃない筈!!と自分に言い訳しつつ懇切丁寧に胸を揉んであげた。





☆★☆★☆★☆★☆


「圭人君、先に帰るなんて酷いじゃない!!しかも愛理を待たないでお風呂に入ってるし!!」


「ごめんね、愛理ちゃん。汗かいちゃったからシャワー浴びたかったんだよ。」


「すっっっごく気持ちよかったね、圭人♪」


「私の胸の揉み心地は最高だったでしょ、圭人♪」


「胸は飽きたでしょうから次はお尻でも揉む?それともシルヴィアと…」


「圭人君、今すぐ私の胸を揉みなさい!!」


「すみません先輩、そう言うのは俺達がいないところでねっぷりどっぷりやってください。非常にやるせなくなります…」


「俺だって、俺だって胸を揉んだらきっと…」


「ダメだ!こんなの見せつけられたらまっすぐ立ってられん!!」


「お嬢様、別荘の方に着いてから圭人様と一緒に温泉に浸かられた方がゆっくり出来ますよ。それに、お嬢様自らが圭人様にマッサージを施せば圭人様も余りの気持ちよさにお嬢様しか目に入らなくなるでしょう。」


「なるほど…でかしたわタカラヅカ!!褒美にあなたも圭人君と一緒にお風呂に入っていいわよ。」


「ありがとうございます、お嬢様!!」


「「「ダメに決まってるでしょ!!!」」」


「みんな、早く行こうよ!!」


「ダメ、これは大事な事なのよ、圭人。こんな女達が出したダシに浸かったら嫌な臭いが身体から取れなくなるよ。」


「ダメダメだよ。こういうオバサンの身体はたいてい汚いんだよ、圭人。黒かったりビラビラしてたり臭かったりするんだよ。」


「若作りの年増は顔は化粧で繕ってても化粧が落ちたら化けの皮も剥がれるのよ圭人。」


「失礼な、誰が年増ですか!!それに私は化粧などしていないから剥がれる皮などありません!!」


「タカラヅカはすっぴんでも顔がいいから分かりずらいけど今年で「お嬢様!!!」なのよ!!ここまで来ると詐欺師が詐欺に合うくらいのレベルよ!!」


 薄化粧かと思ってたけどすっぴんだとは驚いた!!


 それに、タカラヅカさんの年齢がかなり気になる所だ。


 だが、今はそんな事よりも早く海に行きたい!!


「風呂でもなんでも一緒に入るから車を出して早く行こう!!じゃないと今日は風呂に入らん!!」


「「「圭人!!!」」」



「本当!!タカラヅカ、早く出しなさい!!」


「承知致しました!!」


 俺は愛理ちゃんに引っ張られ車に引き入れられる。


 雪達も追いかけるようにすぐさま車に乗り込む。


「出発前からこれじゃ、先が思いやられるな…」


「クッッッソー!!絶対に彼女をゲットしてやる!!」


「…待てよ、伏見達と先輩の寝顔の写真を撮れば高値で…」


 ブゥゥゥゥン…………


「あっ!!待ってくれ、まだ乗ってない!!」


「置いてくなぁー!!」


「プレミアァァァァ!!」


 斎藤達がもたついて車に乗りそびれたので、後続の荷物だけを載せた車に乗るように連絡を取り、俺達はそのまま先を進むことにした。


 ちなみに、後続の車の運転手がマーキュリーであるのは言うまでもない。






☆★☆★☆★☆★☆


 二時間ほど高速道路を走ると一旦サービスエリアで休憩になった。


「良い車は違うね。全然疲れなかったよ。」


「でしょ♪今日のために最高級のシートを用意したからね♪」



「それにしても、スゴいリムジンだよ。中に冷蔵庫もあればカラオケまでついてるし。」


「圭人ノリノリで歌いまくりだったね♪」


「みんなだってかなり歌ってたじゃん。」


「仕方無いよ、圭人が98点とか高得点ばっかり取るから圭人の得点を越えようと意地になっちゃってたし。」


「ま、一番最高だったのは私と圭人がデュエットした『愛が生○れた日』だったけどね♪」


「何言ってるの、一番100点取った回数が多かったのは愛理と圭人君がデュエットした時だよ!!愛理と圭人君の『LOV○ FOR○VER』ちゃんと聞いてた!?あれこそ究極のハモリだったじゃない!!」


「ハァァ!?一番良かったのは私と圭人の『冬のファ○タジー』に決まってるでしょ!!私達のデュエットにカ○ンもビックリよ!!」


「私と圭人の『さく○んぼ』が一番盛り上がってたじゃん!!実際、圭人もチェリーだしね!!まっ、それも私が美味しく頂くけどね♪」


 雪達と愛理ちゃんがじゃれ合う中、俺は自販機で買ってきたコーヒーと紅茶を持ってタカラヅカさんに話しかけた。


「お疲れ様です。コーヒーと紅茶、どっちがいいですか?」


「ありがとうございます。それでは紅茶の方を頂きます。」


 紅茶を渡して、俺はコーヒーを開けて一口飲んだ。


「それにしても、タカラヅカさん歌うまいですね。デュエットしたときも俺に合わせてハモってくれましたし。」


「それほどでもないですよ。圭人様の方こそかなり熱く歌っていてすごくカッコ良かったです。」


「でも意外でしたよ。まさかデュエットで何を歌うか聞いたときに『愛をと○もどせ!!』を選ぶとは思いもよりませんでしたよ。」


「私はそんなに歌を知ってる訳じゃないんですが、マーキュリーにカラオケに連れて行かれた時に一緒に歌うように言われて覚えたんです。他にも、『ムーン○イト伝○』とか『乙○のポ○シー』とかも好きですけど、教えてもらった中で一番好きなのは『とき○きの導○線』ですね。歌詞が特にいいです。」


「マジですか!?て、事はマーキュリーの奴、『と○めきの○火線』歌ってるときあの野太い声でにゃあ~おって言ってたんですか!?」


「言ってましたね。正直不快でした。」


 マジか!?マーキュリーがセー○ームーン好きってのが露骨に分かる選曲ばかりだし、何より女性の歌手が歌っている曲をマーキュリーが歌ってたってのが一番驚愕すぎる!!


「マーキュリーは歌はそこそこにうまいんですが、選曲が悪すぎるんですよね。唯一、まともに聞けるのが圭人様とデュエットした『○をとりも○せ!!』くらいですね。」


「別荘着いてもマーキュリーにはカラオケはさせないで下さいね。」


「承知しております。」


「やっぱり、承知してるんですね。」


「もちろんです。」


 そう言って笑いかけてくるタカラヅカさんに俺も微笑み返すとタカラヅカさんは顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。


「こら、圭人!!そんな年増若作りとしゃべってないで売店に行くわよ!!」


「そんな年増と楽しそうに話すくらいなら私とお土産コーナー行ってご当地系のストラップを買う方が有意義だよ♪」


「年増は行き遅れてるからがっつきやすいのよ。そんなガツガツゴツゴツビラビラな年増より私と一緒にソフトクリームでも食べましょう、圭人♪」


「圭人君、タカラヅカとしゃべってもいいけど愛理も一緒に混ぜてくれないと♪」


「すみません、お嬢様。つい、話し込んでしまいました。さぁ、行きましょう、圭人様。」


 そう言って、さり気なく俺と手を繋ぎながら歩き始めるタカラヅカさん。


「あっ、大胆じゃない、タカラヅカ。じゃあ、愛理は圭人君のこっちの腕にしよ♪」


 左手をタカラヅカさん、右手を愛理ちゃんが繋ぎ両手に花な状態で歩いていると、なんとなく、昔同じような事があったような気がしてきた。


 とても懐かしく、温かい気持ちが湧き上がって来るのを感じる。


 ふとタカラヅカさんを見ると、とても穏やかな目で俺と愛理ちゃんを見ている。


 その目を見た途端、軽い頭痛が走った。




公園、愛理ちゃん、遊具、おままごと、いつもそばにいる女の人…




 …あぁ、そうだ。一緒にいたのは愛理ちゃんだけじゃなかったんだ…


…俺にはお姉ちゃんが二人、いたんだったな…


「どうしたのですか、圭人様?私の顔をじっと見て…」


「…時間が経って、顔が大人っぽくなっても、俺と愛理ちゃんを見守るその目だけは変わってないですね…瞳お姉ちゃん…」


「!!…圭人様も、思い出されたのですね…」


 タカラヅカ、いや、瞳お姉ちゃんは口元を押さえ、涙をこぼしている。



「圭人君、思い出すのが遅すぎるわよ。…でも、自力で思い出したから許してあげる♪」


「酷いなぁ、愛理ちゃん。思い出してるなら教えてくれれば良かったのに…」


「こういうのは自力で思い出さないと意味ないんだよ、圭人君♪」


「ちぇっ…瞳お姉ちゃん、ごめんなさい。今まで思い出せなくて…」


「…いいんですよ、圭人様。私は圭人様が思い出してくれただけで、嬉しいです…」


「…後で昔の事を教えてくれませんか?俺、まだ完全に思い出せていないので。」


「えぇ、喜んで…」


 瞳お姉ちゃんが俺を抱き締めて来るが、俺はそれを優しく受け止める。


 幼い頃に感じたぬくもりを思い出すように…










「「「私を無視して抱き合うなっー!!!」」」


 …感動的な再開シーンだったが、雪達の叫びで一気に感動的な雰囲気はブチ壊され、俺と瞳お姉ちゃん、愛理ちゃんは苦笑しつつ雪達の元に走っていった。










~その頃~



「ニ゛ャア゛~オゥ♪」




「「「神様、早く目的地に着かせて下さいィィィィィ!!!」」」

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