俺は海をナメてない!!~出発前~
テストを無事に済ました俺達は金曜日の放課後から移動し愛理ちゃんが所有する別荘(プライベートビーチ付き)に二泊三日の旅行に行くことになった。
愛理ちゃんが大抵の物を用意すると言っていたので俺達は自分達が必要だと思う物を買い込むことにした。
前日からテンションアゲアゲな雪達と愛理ちゃんはその勢いのままにうちに泊まり、夜になるともみくちゃにされ何をされたか分からぬまま眠りについた。
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「早く授業終わらないかな~。」
「才雅、まだホームルームも始まってないのにそれは早すぎだろ。」
「仕方ないだろ、友達と行く初めての旅行なんだから。テンション上がりすぎて昨日の夜は何があったか覚えてないくらいだ。」
「昨日の圭人はスゴかったわよ♪」
「寝技の達人と言われてもおかしくない程だったよ♪」
「私なんて胸揉まれちゃってたのよ♪」
「愛理は………キャッ♪」
「…才雅、余り言いたくはないんだが…」
「言いたくないなら言わなくていい。それに邪推しているようだが俺は昨日何もしていない。」
「「「嘘臭ぇ~」」」
「圭人、嘘はよくないわよ。」
「嘘つきは泥棒の始まりだよ。もう私の心は盗まれてるけどね♪」
「ほら、圭人が嘘ついたからジョニーが伸びてきてるわよ。」
「圭人君、真実はいつも一つって江南君も言ってるんだから、諦めて愛理と一夜を過ごした事を認めなよ。」
「「「「「「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス…」」」」」」
なんという無秩序…
世紀末まであと80年以上あるというのにこのクラスだけにはモヒカンで肩パットを付けた男達がいそうな気がするよ…
俺が平和な筈の平成の世を嘆いていると、我らが担任、田中と名乗る類人猿ドテチ○が教室に入ってきた。顔だけ見たらドテ○ンも充分に世紀末だ。
「お前ら席に着け、ホームルームを始めるぞ。」
全員座るのを見てド○チンはホームルームを始めた。
「今回のテストで赤点を取った奴は夏休み中に補習あるから後で職員室にくるように。それと9月に写真のコンクールがあるから出たい人がいたら掲示板の所にチラシと応募用紙が置いてあるから持って行くように、以上だ。」
そう言って教室を出て行った○テチン。
「圭人君、写真コンクールだって。愛理を被写体に出てみなよ、優勝間違いないよ♪」
「愛理ちゃんがホームルームの時にいるのが当たり前になってきてるね、ド○チン、何も言わなかったし。」
「愛理は真面目な生徒だから当然よ。じゃ、昼休みにね♪」
そう言って愛理ちゃんは教室から出て行った。
「ホームルーム出ない奴が真面目な生徒な訳ないじゃない。」
「イスまで持ち込んで圭人の隣の席に座るなんて生意気なランランルーだよ。」
「ぽっと出のイスに『私は淫乱ビッチのヒリアちゃんです』て書いておくわ。」
「こら、そんな事言わない。今日は愛理ちゃんとこの別荘を借りるんだから。そんな事言ってないで一、二時間目は合同体育なんだから急がないと。」
俺が服を脱ぎながら言うとなぜか雪達がジ~と見てくる。
「…何で見てるの?」
「「「興奮するから♪」」」
「…まぁ、いいんだけどね。」
ネクタイを外し、Yシャツを脱ごうとした時、ふと周りを見ると数人の女子が俺を見ていた。
「…何で見てるの?」
「「「「「えっ、その…」」」」」
「…才雅、女子がいる前で服を脱ぐのはマズイと思うぞ。」
「あぁ、大丈夫。」
俺は徐にズボンを下ろす。
「「「キャー♪」」」
「「「「「キャッ!!」」」」」
反応で分かる通り、前者は雪達で後者はクラスの女子の声だ。
「ほら、中に体操着着てきてるから。」
「詐欺だわ!!被害届出さないと!!」
「乙女の純真を弄ぶなんて!!許せない、許せないよ!!」
「思わせぶりな態度は良くないわ、えぇ、良くないわ。圭人、今すぐ全部脱ぎなさい!!」
「こら、短パンを脱がそうとするな美波!!」
「美波、ズルいわよ!!シャツは私が脱がすわ!!」
「私は本丸のボクサーパンツを頂いちゃうね♪」
「雪、雷華、悪ノリするな!!」
「「「「「………」」」」」
「そこの人達も見てないで、助けてよ!!」
「まぁ!圭人のストリップを見ようだなんて何てエロい子達なんでしょう!!」
「ふざけてないで雪達も着替えないと遅れるよ!!」
「才雅、俺達先行ってるからな。」
「裏切り者めェェェェ!!」
結局、俺達と最後まで見ていた女子達は仲良く体育教師であり、ベストを着ていると勘違いされる程の毛深さから通称○リゾーと呼ばれている森茂造先生に叱られ、校庭を20周走らされた。
ヒーヒー言いながら走る女子達を尻目に俺達は余裕で20周終わらせクラス対抗でやっているソフトボールの見学に加わった。
「才雅達、もう終わったのか?早かったな。」
「斎藤達が裏切らなければ走らなくて良かったんだけどな。」
「いや、伏見達を止めるのは無理すぎる。」
「あの場は出荷される牛を思って涙を流すシーンだ。」
「もう少し親身になってくれてもいいじゃないか!!」
「「「無理。」」」
「そんな些細な事はいいよ。それよりも圭人は試合出ないの?」
「出ないよ。野球部の嶋田君がいるんだし、豪打者であろう相生君もいるんだからなんとかなるよ。」
「でも、スケープゴートとの呼び声が高い大阪君も出てるんだよ?」
「大丈夫。彼はキャッチャーじゃなきゃ最後まで生き残るはず。」
「その大阪君だけどチェンジする時、普通に歩いてただけなのに足首挫いちゃって保健室に運ばれたわよ。」
「どんだけ身体弱いの!?よくそんな身体でプロレス同好会に入ってるな!!」
大阪君の身体の弱さに驚愕しているとモ○ゾーの奴が俺を呼んできた。
「才雅、大阪の代わりに入れ。」
「…ちなみに大阪君は何番ですか?」
「4番でエースだ。」
「おかしいですよ、その人選!?ガン○ムにキッ○を乗せるくらい無謀ですよ!!」
「遅れてきた才雅は知らないだろうが、先発メンバーと打順はジャンケンで決めた。」
「また無茶苦茶しますね、先生…」
「その代わり面白い勝負してるぞ。守備はザルだしストライクはなかなか取れないし、ルール間違えるし。」
「…まぁ、大阪君の穴を誰かが埋めなきゃならないですから仕方ないですね。分かりました、何番からですか?」
「2番からだ。気張らず楽しめばいいさ。」
そう言ってモリ○ーは審判をする為戻って行った。
「圭人頑張ってね♪」
「ホームラン打ってドテチ○の車をオシャカにしてみてよ、圭人♪」
「美波を甲子園に…」
「ストップ!それを言っていいのは双子の幼なじみの女の子だけだ、美波。」
「でも、才雅でも打てないんじゃないか?」
「相手は野球部の奴なのか、三山?」
「いや、橘って言う女子ソフトボール部の奴だ。」
「なんでその橘さんは男子のチームに?」
「その方が面白いからだってさ。」
「またアクティブハートな子だな。」
「ストライク!バッターアウト!!」
「次、才雅の番だぞ。なんとかこの一方的なゲームをひっくり返すんだ才雅。」
「一方的?…14対0!?甲子園だったらコールド負けレベルじゃないか!!」
「女子でもソフトボール部だからなかなか打てないし大阪はミットまでギリギリで届く奇跡のスローボールしか投げれないからポカポカ打たれるからこの様さ。」
「…勝てんだろうがやってみるよ。」
○リゾーも言っていただろ?気張らず楽しめばいいって。
俺はバットを持ってバッターボックスに入る。
ピッチャーの橘と言う女子は俺を見ると大声で叫んできた。
「出てきたわね、才雅圭人!!苺ちゃんの無念、晴らさせてもらうわよ!!」
「苺ちゃん?俺には死神の知り合いはいないが…」
「違う!!確かに死神みたいな顔してるけど苺ちゃんは死神じゃない!!中川苺、陸上部一年のエースよ!!」
「「「「「なにぃぃぃ!!」」」」」
中川の名前が苺だと!!部不相応だろうが!!
まさかのフルネームに俺だけじゃなく、男子全員が驚いてる。
「…いや、もしかしたら中川・E・稚児って名前かも…!!」
「そんなケッタイな名前の日本人がいてたまるか!!苺ちゃんはあんたの彼女の水鳥雷華に負けて傷ついた心を癒すために伊豆に旅行へ行ったのに、そこで今度は唯前美波と一緒にイチャついて苺ちゃんを追い詰めた挙げ句、食事までたかってきた事は知ってるんだからね!!」
「いや、情報がねじ曲げられ過ぎてるぞ!!」
「そうよ、誰が圭人の彼女なのよ!!私こそが圭人の唯一無二の女なのよ!!」
「いや、あの子が間違えてるのは圭人の恋人と言う所を圭人の彼女って言った所だよ。だから圭人は情報がねじ曲げられ過ぎてるって言ったんだよ♪」
「イチャついてるって言うのは足りないわね。愛し合っていたって言うのがここでは正解よ。」
「雪達も誤情報を流すんじゃない!!」
「あんたの悪行は私が3球で仕留めてあげるわ!!覚悟しなさい!!見ててね、苺ちゃん!!」
C組の方を見ると俊足のブス、中川が手を振って橘を応援している。どうみても死神が何かの儀式しているようにしか見えない。
「…面倒くせぇな、うぉお!!」
「ごめんなさい、手が滑ったわ。」
「今顔面狙いやがったな、この野郎!!まだプレイボールって言ってねぇじゃねぇか!!」
「プレイボール!!」
「おぉ!!」
「ボール!!」
「なかなか狙いが定まらないわね。」
「この野郎…許さん!!ピッチャー返しで中川みたいな顔にしてやる!!」
「喰らいなさい、才雅圭人!!」
「ナメんな!!」
カキンッ!!
「ブフゥ!!」
「あぁ!!中川の顔にファールボールが!!」
「チッ、外したか!!」
「いや、ある意味当たりよ圭人。」
「私の球をチップさせるなんてやるわね。でも、次で決めるわ!!」
「今度こそピッチャー返しをお見舞いしてやるぜ!!」
カキンッ!!
「オゴォ!!」
「大阪!!」
「どうして、股間狙ったボールを打てるのよ!!」
「狙いがバレバレなんだよ!!コツは掴めた、今度こそ中川みたいに余所様にお見せできない顔にしてやる!!」
「私を甘くみるなァァァァ!!」
カッキーンッ!!
「…チッ、命拾いしたな。」
「圭人、私の為にホームラン打ってくれたね♪」
「あのホームランボール持ってくるからサイン書いてね♪」
「甲子園はもういいわ、美波をベッドまで連れてって♪」
ベースを回って帰ってくると雪達が抱きついてきて、まるでサヨナラホームランを打ったバッターの気持ちになってくる。
「時間だから試合はこれで終了だ。全員片付けを始めるぞ。」
モ○ゾーが指示を出しながら片付けをしていると、橘さんがやってきた。
「…負けたわ。」
「いや、あれはソフトボールじゃなかったような気がするから負けじゃないと思うよ…」
「ごめんなさい、苺ちゃん…苺ちゃんが落ち込んでいたから苺ちゃんが言っていた『才雅圭人に全力でボールを当ててやりたい』ってお願いを叶えてあげたかったけど叶えられなかったわ…」
「おい、あのリアルDEATH代はそんなことを言ってたのかよ!!」
「私の親友を悪く言わないで!!ちょっと顔が不自由なだけの普通の女の子なのよ!!」
「お前の方が悪く言いすぎだよ!!」「圭人、知らない女と二人で話しちゃダメでしょ!!そういう女はたいてい下心満載で話してきてるんだから!!」
「その女が鈍足ブサイクを親友と呼んでるのは自分の引き立て役にしているだけなんだよ!!そんな女と話してたら圭人の魂まで汚されちゃうよ!!」
「彼氏が出来たら即ポイ捨てルートでしょうね。あの顔は彼氏に紹介出来ないもの。」
「そんな事無い!!私と苺ちゃんは幼稚園からの付き合いなのよ!私は苺ちゃんを引き立て役だとか捨て駒だなんて思ってなんかないもん!!」
「捨て駒って自分で言っちゃったよ、こいつ…」
「才雅圭人!!次は負けないんだからね!!」
そう言って橘さんは行ってしまった。
「本当に面倒臭い展開だったな、才雅。」
「橘はあれで案外人気があるんだがその要因の一つに引き立て役の存在があったとは知らなかったな。」
「この情報を流せば中川に友達が増えそうだな。」
「もう関わって欲しくないんだけどな。」
片付けを終えたらちょうどチャイムがなったのでその場で解散になった。
朝から面倒臭い奴に絡まれてしまったがもう少し待てば放課後になってしまえば夏の海が俺を受け入れてくれる。
ガマンだ、ガマン!!
余談だが、この日から中川と友達になるとモテるようになると言う噂が流れ、中川は自分が男女問わず人気者だと勘違いしてしまい影で流雲高校のドブス天狗と呼ばれるようになった。




