俺は旅行中でも油断しない!!~4日目 その4~
「カジノというモノはもっと殺伐とした雰囲気を醸し出しているものだと思ったが、そうでもないな。」
「それは禄にお金もないのに一発を狙おうとする奴がいるからよ。ここにいるのは本物の金持ちしかいないから負けて破産するような人間はいないわ。」
「なるほど、とりあえず俺は場違いと言うことだけはわかった。」
「そんなことないわよ。私がいるんだから圭人君も充分セレブよ。」
「でも、俺の所持金一万円しかないからメダル一枚すら交換できそうにないぞ?」
「大丈夫よ。圭人君、何やってみたい?」
「えぇ、と…あれで。」
俺は周りをぐるっと見て一番、目についたルーレットを選んだ。
「そう、じゃあ、やってみましょう。」
ルーレットの卓に座らされるとその隣に愛理も座る。
「タカラヅカ、これで1000枚分もらってきて。」
「畏まりました。」
ずっと影のように着いてきていたタカラヅカさんがあの黒い会員証を持って交換所に歩いて行った。
「あの会員証にはお金をチャージする機能がついてるの。ここでしか使えないけどね。」
「1000枚って1000万円!!そんなに使うんですか!?」
「私で半分ずつよ。少ないけどスタートが少なければ増えてきた時、興奮してくるわよ。」
「…本当にいいのか?」
「いいわよ、カジノ初体験の圭人君が楽しめるようにしたいしね♪」
「じゃあ、遠慮なく楽しませてもらうよ。」
ここまで来たら楽しまないのは損だ。
賭け事なんて雪達と自分の身体賭けて勝負するくらいしかやったことがないがルーレットのルール は何となくわかる。
赤か黒か、奇数か偶数かに賭けたら2倍で1つの目に賭けたら36倍、だったかな?他にもあるっぽいけど詳しくは分からないからスルー。
2倍でも10枚賭けてたら20枚だから10万円も稼げるんだ、やってやる!!
目指せ、1000枚!愛理に借りを返すんだ!!
意気込んでいるとディーラーがベルを1回鳴らし、ベットの開始を知らせる。
まずは赤か黒のどちらかに賭けてみよう。
う~ん………あっ、そういえば昨日見た雪の下着は黒だったな。
俺はチップを5枚黒にベットすることにした。
ディーラーがルーレットを回し、反対方向にボールを投げ入れる。
周りの人を見ると追加でベットが出来るようだ。
今回はお試しだからベットはしないでおく。
少したったらベットの終了をディーラーが宣言した。
来い!雪の黒パンティだ!!!!
ボールの速度がゆっくりとなり、
コロコロコロ…カタッ……
入ったポケットは黒だった。
「よしっ!!」
「やったわね、圭人君。初勝利じゃない。」
「ありがとう。愛理は、って、えぇーー!!」
愛理の前にあるチップは二つの島になっていた。
「愛理、全部黒に賭けてたの!?」
「そうよ。圭人君が黒に賭けてたから私も賭けてみたの。」
「外れてたらどうするつもりだったの?」
「また下ろせばいいじゃない。まだたくさんお金はチャージされてるから大丈夫よ。」
「でもさぁ…」
「いいのよ。チャージ分全部使い切っても問題ないから。だから派手に使って楽しんでみて。これは私からのお願いよ。」
お願いと言われてもお金が絡むと二の足を踏んでしまう。
う~ん、と悩んでいると愛理がニヤッと笑っているのを見た。
これは禄でもないこと考えてるなぁ~
「お願いがダメなら命令よ。もし使えないなら、今すぐにでもマーキュリーを呼ぶわ。」
「愛理の黒さに全額ベットーーーーーッッ!!!」
俺は勢いに任せ黒にベットしてしまった。
あぁ、負けたら500万円が飛んでしまう…
コロコロ…カタッ……
またもや黒のポケットに入った。
「ノワーーールッッ!!」
「圭人君、その調子よ。」
もう、ヤケクソだ!これからは全額ベットする!!
次は………なぜか雷華のエロ写メを思い出して出てきた鼻血の赤!!
コロコロ…カタッ……
「ブラッドッ!イズッッ!!レッドッッッ!!!」
「いいわよ、いいわよ、圭人君。私も燃えてきたわ。」
次!!美波に奪われた俺の下着、合計155枚の奇数!!
コロ、カタッ…
更に!!雪と雷華に奪われた分も含めたパンツの総数、482枚の偶数!!
コロ、キャタッ…
「俺のパンツは永遠に不滅だっっーー!!」
「そんなに下着不足だったのね…今度私好みの下着をプレゼントするわ。」
そして…俺が雪達のパンツをちょろまかしてきた数、全525枚ィィィィィィ!!!!!
…コロ、ケ……
「今晩のおかずは決まったーーーーッッッ!!!!」
「…圭人君、その事実に流石の私もドン引きだわ…」
異常なテンションで続けた結果、当初505枚だったのが1010、2020、4040、8080、16160枚と32倍まで跳ね上がってしまった。
金額に換算すると………1億6160万円?
「やればできるじゃない圭人君、よしよし♪」
「触るな!僕は神の子だぞ!!」
今の僕は神に愛されているんだ、汚れた手で僕に触るんじゃない!!
「まぁ、確かにこれだけ全額ベットを連続で勝ち続けたら変なスイッチも入っちゃうわね……えい♪」
「僕は神の子、ガハッ!!」
腹と首に強い衝撃を受けたと思ったら僕はそのまま気を失った。
☆★☆★☆★☆★☆
「う~ん…ハッ、ここはどこだ!!」
「起きたのね、圭人君。ここは私の部屋よ、気分はどう?」
「気分は悪くないけど腹と首に何か違和感が…」
「きっと、あまりにもプレッシャーがかかりすぎて思考回路がショートしちゃったのね。」
「今、なぜか急に雪達に今すぐ会いたいよって思ったんだけど、何でだろう…?」
「気のせいよ。それにしても、すごかったわよ、圭人君。私も勝たせてもらったけど周りの人も途中から圭人君と同じ所に賭けてたわよ。」
「そうだったんだ。途中まで勝ってたのは覚えてるんだけど…」
「圭人君の賭け金はちゃんと私の家の傘下の銀行に圭人君名義で振り込んでおくわね。」
「待った、半分でいい。もともと愛理のお金だったんだし。」
「いいのよ、たかが500万円を1億6160万円に変えたのは圭人君なんだから。どんな方法でもお金を稼ぐのはその人に運を引き寄せる力がないと出来ない事よ。油田やダイヤモンドを見つけることだって探す技術はあっても最終的には運が物を言うの。それは成り上がっていく人達にも言える事、運がなければ成り上がる機会さえやってこない。だから、カジノで大金を手に入れれたのも圭人君の力よ。よって、そのお金は圭人君の正当な取り分よ、受け取りなさい。」
…ここまで厳しく言われたらこっちが引き下がらない訳にはいかないよな。
「わかった。けど、最初もらったチップ500枚とプラス500枚で1000万は受け取ってほしい。借りは返さなきゃいけない。ここだけは譲れない。」
「いいわ、1000万円抜いた分入金しとくわ。」
「…すまないね、我が儘言ってしまって。」
「圭人君は律儀ね。そういう所も好きよ。」
好き、ね…
「…なぁ、愛理。一つ聞きたいんだけど、いいか?」
「何かしら?」
「どうして、俺のことを好きになったんだ?」
ずっと疑問だった。
「ヒリアの一件の時まで愛理とは一度も接点なんてなかったのに、少し庇っただけで好きになったなんて信じられないんだ。有り得ないとも思ってる。」
そして、なにより何より気になったのはこれだ。
「それに、俺にはもう雪達がいるのもわかっていたじゃないか。」
付き合っていないとはいえ、雪達の存在をわかった上で俺を好きだと言う。
「どうして好きになったんだ?」
俺の問いかけに愛理は顔を俯かせる。
「…思い出したの。」
「思い出したって、何のこと?」
「初めて圭人君と会ったときのこと…」
「初めて会ったって…もう10年以上前の話しじゃないか。もう昔すぎて思い出せないけど本当に俺達は会ってたのか?」
「私も忘れていた事だった。…違う、忘れさせられた事だったの。」
「忘れさせられた…?」
「そう、きっと圭人君もね。」
俺も忘れさせられたって、どういうことなんだ?
「聞いて、圭人君。私達はね、許嫁同士だったの。一族の人達が決めたね。」
「一族って…確かに先祖は同じでもそんな事が有り得るわけ無いぞ。何より家は核家族で俺は爺ちゃんや婆ちゃん、親戚や従兄弟とも会ったこともないし、爺ちゃんや婆ちゃんにいたっては死んでいてそれで一人っ子の父さん達は親戚付き合いが無い物だと思っていたんだぞ。」
「…生きてるわ、圭人君の祖父母は。」
「…本当なのか?」
「圭人君、これから話すのは私達の家系の真実と私の本当の気持ち…だから、ちゃんと聞いて…」
愛理は語り始める。
俺の知らない事実、【俺達】の真実。




