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俺は旅行中でも油断しない!!~4日目 その1~

「う~ん、朝かぁ~」


 昨日は日付が変わるまで動き回ってたから正直、瞼が重い。


 時間を確かめようと腕を動かすと腕に柔らかい感触が広がっていく。


「あ~、雪か。ごめん、腕ぶつけちゃっ…あれ?」


 よく見ると俺の隣にいるのは雪ではなかった。


「うぅん…あっ、おはよう圭人君。」


 そう、数日ぶりの風雅院愛理さんである。


「…どうして俺達の部屋で寝てるんですか?」


「なんの話しをしてるのかしら?ここは私が泊まってるホテルよ。私の部屋のベッドで私が寝てるのは別に不思議な事ではないでしょ?」


「…じゃあ、何で俺が風雅「愛理!!」…愛理さん「敬語!!」…愛理の部屋にいるんだよ?」


「もちろん、旅行を一緒に楽しむ為にお休みのところを拉致…誘拐したのよ。体育祭の時言ったでしょ、一緒に旅行行くって。」

 

「いや、それ言い換えてもダメだから!!俺、旅館に帰るよ!!」


「旅館ならもうチェックアウトしちゃってるわよ。」


「なっ!!雪達はどうしたんだ!!」


「大丈夫、ちゃんとお家に送ってあるから。昨日飲んでくれた睡眠薬入りのお茶のお陰で抵抗らしい抵抗もなく平和に送り届けられていることでしょうね。」


「勝手なことを…」


「だから今日は私とデートしてもらうわよ、あの子達もいないんだし。」


「…確かに雪達がいないならこの旅行に意味はない。」


「でしょ♪だから私と…」



「だが断る。」


「何でダメなの?」


「今回の旅行は雪達と行く約束をしたんだ、雪達が帰ったんなら俺も帰るさ。」


「ダメ、私とデートしなさい。」


「俺の荷物どこだ?俺は家に帰る。」


「ダメ、私と一緒いて!」


 俺は荷物を探す。


「おっと、あった。じゃあ俺は帰るから。」


「ダメ、行っちゃヤダよ!!」


「これからはこんな無茶な真似はやめろよ?じゃあな。」


 俺は扉に手をかける。


「ダメーーーッッ!!!」


 ガチャっと音がなり扉を押して外に…


「オゥ!プリティーボーイ!!ファックミー!!!」


 バタンッッッ


 アレは何だったんだろうか?


 廊下に出ようとし時見た、白いタンクトップからはみ出した胸毛を誇らしく触る黒髪をオールバックにしたあの外人は…


「…あれは何だ?」


「あっ、彼は私のボディガード、コードネーム『マーキュリー』。私に危険が無いように父が雇用した腕利きのプロよ。ちょっとホモっ気があるけど、とても言い人なのよ。ちなみに、セー○ーム○ンが好きでコードネームもそこから取られたんじゃないかってマーキュリーが言ってたわ。」


「なるほど、俺に対するジョーカーを用意してたか…チッ、エグい手を使いやがる…!」


「いや、彼は私の専属で別に圭人君の為に用意した訳じゃないんだけど…」


 なんという恐ろしい手を打ってくるんだ、風雅院愛理!!


 てか、あいつのコードネームの元は絶対セ○ラー○ーンじゃないし!!


 今まで青ツナギ達の悪意に曝されてきた俺のトラウマを利用して要求を突きつける…これが名家、風雅院家の跡取り風雅院愛理の知謀か…


 愛理、恐ろしい子!!


「仕方ない、俺の処女が人質に取られている以上、下手なことは出来ない…。わかった、どこに行くんだ?てか、ここはどこなんだ?」


「なぜだか釈然としないけど…まぁ、いいわ。ここは南伊豆で、私達がいるのはグランドホテル駿河のグランドスィートルームにいるの。」


「そんなすごい所にいるのか…」


「じゃあ、出掛けるから準備して。」


 今は素直に従うが隙を見て絶対に逃げてやる!!





☆★☆★☆★☆★☆


 と考えていた時期が僕にもありました。


 何なんだよ、あのボディガード!!


 愛理が目を離している隙にそ~と逃げようと思っても必ず俺の後ろにいやがるから無理だし、奴の視線が常に俺(俺の尻)に向けられているし、そもそも愛理のボディガードなのに護衛対象を見てないとかどういうこっちゃ!!


「ふふっ、圭人くんどうしたの?」


 愛理はものすごくご機嫌で至る所に笑顔を振りまいている。いや、ぶちまけていると言った方が正しい。


 ぶちまけられた笑顔にやられて彼女に引っ張叩かれる彼氏や背の低いポールに股間を打ってのたうち回るおっさんはまだいい方で、彼女がそっちに目覚めてしまって泣きながら説得する彼氏やずっと見ながら歩いていたせいで車に挽かれたお爺さん、煩悩にやられまいと必死にお経を唱えながらエロ本を立ち読みする坊さん等々、問答無用に無差別テロが如く老若男女に被害を与えていく。


「歩くだけで人を惑わすなんて…恐ろしい子、リアルに!!」


「あぁ、いつもの事だから気にしないで。」


「いつもの事!!いや、これかなり大問題でしょ!!」


「ダイジョウブ、ボーイ。チョッッット、ニュースニナルクライネ。ソレヨリ、ミートmake loveスルネ。」


「黙れ、Mr.バッド・ガイ!!ちょっとニュースになることのどこがダイジョウブなんだよ!!」


「圭人君、人のこと言えないと思うわよ。」


「失敬な、俺は歩いただけでニュース沙汰を起こす人間じゃないぞ!!」


「…一昨日のニュースか新聞見てないの?」


「何で楽しい旅行中にそんな無粋な物を見なければならないんだ。そんな暇があるならゲームに一勝でもしてアニマルな耳を付けさせる方がまだ有意義だ。」


「圭人君はある一定の部分だけ問題があるわね…」


「またしても失敬な、俺のジョニーに問題何て無いぞ!!ノー、ED!!」


「そこじゃなくて!!…た、確かに問題があったら困るけど…」


 顔を真っ赤に染めて俺の股間をチラチラ見ながら体をもぞもぞさせる愛理。


「ソレハコウツゴウネ。ミーノゴンザレストタケクラベスルネ。YES、BL!!」


 顔を真っ赤に染めて俺の股間をチラチラ見ながら股間をもぞもぞ触るマーキュリー。


「もう嫌だ!!何で俺の知る外人はどいつもこいつも変態なんだよ!!」


「オチツクネ。トリアエズ、ミーノゴンザレスヲニギッテマホウショウネンニナッテヨ。」


「テメーどこの孵卵器だ!!お前、セー○ームー○が好きなんじゃ無かったのか!!」


「オゥ、ソンナコトイウワルイコハmoon ニchangeシテchastiseヨ!!」


「取って付けたように!!てか、お前のしゃべり方がどんどんルー語っぽくなってきてんぞ!!」


「圭人君、落ち着いて。ほら、お茶でも飲んで。」


 差し出されたペットボトルのお茶を飲んで一息つく。


「ふ~、ありがとう。てか困難じゃ近いうちに人死にが出るからタクシー…だと事故った時俺達が危険だからダメか…愛理、悪いけど愛理のとこの車呼び出せない?」


「出せるわよ。マーキュリー、ホテルの駐車場から車出してきて。」


「ハイ、オマカセ。」


「車あるんだったら最初から出せばいいでしょうに…」


「だって、圭人君との初めてのデートだから手、繋いで歩きながら行きたかったの…」


 そんなことの為にこの惨状を生み出すとは…愛理、業が深い子!!


「はぁ~…ほら、手出して。」


「えっ、いいの…?」


「仕方無いからね。手を繋いでたら野郎共の目も散って多少は惨劇を防げるかもだし。」


「…ありがとう、圭人君。」


 そう言って笑顔見せる愛理に何故か妙に懐かしい気持ちになる。


 …なんだろうな、この気持ちは。


「…行くよ、愛理。」


「うん…」


 愛理はおずおずと俺と手を繋ぎ、決して離れないように俺の指と自分の指を絡ませる。


 そわそわしながら歩く愛理を見ていると、まるで初めてデートする女の子みたいだ。


 実際、そうなのかもしれないな…


 手を繋いで歩いてるとマーキュリーが運転してきたリムジンが来た。


 俺が手を繋いでるのを見て「ミーモスルデゴワス!!」とか言って手を近づけてきたから、近くに落ちてたさっき事故った車の破片を手に刺してやって車の中に入った。


 いきなりこんなんで、この先どうなんのかなぁ…


 一人不安にかられるも、車は無情にも進んで行く。







 ちなみに、愛理と手を繋いで歩いてると今度は俺への憎悪の視線が殺到し、さっきよりも事故等が酷くなったのはきっと気のせいだろう。

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