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俺はリア充なんかじゃない!!

 恐怖の自己紹介が終わり、今日はこれで解散となった。


 雪、雷華、美波はカバンを持って俺の所に来る。


「さ、行きましょ、圭人。」


「遊べるとこ多いといいね♪」


「服とか売ってる場所もあればいいなぁ。」


 三人とも楽しそうに笑いながら俺を引っ張って行く。買ったばかりの制服が伸びるからやめなさい。


 そんな俺達…いや、俺を羨望と憎しみを1対9の割合で込めた目で見る男子。女子は汚いものを見るような目で見ている。


 小さい声で、


「リア充は死ね…」

「リア充爆発しろ…」

「サノバビッチ!!」


 などと聞こえてくる。


 どうしてこうなった?


 高校入学初日にクラスの大半から嫌われるとかどんなイジメだよ!!


 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか三人ともニコニコ俺を見る。


 仕方ない、ゲーセンでも行って気分転換だ。


 現実逃避だって?今は仕方ないよね。




★☆★☆★☆★☆★


 俺の見解は甘かった。高校生の考える事などみんなほぼ一緒だと知っていたはずなのに…


 そう、行く先々、クラスメイトらしい人達に遭遇した。


 らしい、というのはまだ名前と顔が一致しないからだ。


 じゃあ何故クラスメイトだと思うのか?


 答えは簡単。


「リア充に死を!!」

「リア充爆発!!」

「ちょっとナタ買ってくる。」


 など、呪詛を撒き散らしている奴がいたら、恐らくクラスメイトだと判断出来る。他のクラスまで知られている訳もないし。


 ハンバーガーを食べているときも、洋服屋でウィンドウショッピングしているときも、そして今、このゲーセンでも呪詛が聞こえてくる。


 胡散臭いが、矢部○彦麿を呼ぶしかないのか…


 そんなガクブルな俺に気づかずUFOキャッチャーで遊ぶ我が幼なじみ達。


 チミ達のせいですよー!!


「圭人っ!、あれ取ってっ!!」


 美波が興奮気味に俺の肩を揺さぶりまくる。


 見てみると鼻が強調された子犬の小さいぬいぐるみ型のキーホルダーが入ったUFOキャッチャーが獲物を捕まえられず、スカして終わっていた。


「よしっ、じゃあ、やってみるか!」


 気分を変えるためテンションを高めにしてUFOキャッチャーに挑む。


「どれがいいんだ?」


「あのビーグルがいい!!」


「よし、見てろよ…」


 500円玉を入れて6回チャレンジしてみる。


 一回目、ビーグルを持ち上げたのはいいが、衝撃で落っこちた。


 二回目、普通にスカした。


 三回目、何故か飾ってあった超萌えなフィギュアが落ちてきてフィギュアをゲット。


 四回目、ヒモを狙うために端に寄せてアームを開いたら隣の台のお菓子の缶にぶつかり、クッキーの詰め合わせをゲット。


 5回目、押し間違えて無意味に終わる。


 6回目、最後のチャンス。これでなんとか取ってあげたい。


 ちなみに俺がミスする度に、


「リア充ザマァWWW」

「リア充乙。」

「あのフィギュアいいなぁ…」


 とか聞こえてきていた。


 それがミスを助長させていたに違いない。


 全神経を集中させ、アームを狙った場所に合わせる。


 後は神のみぞ知るところだ。三人とも固唾を飲んで見守っている。


 アームが獲物目掛けて降りてゆく。そして掴む。


 よしっ、イケる!!


 アームはビーグルを抱きかかえて持ち上がった。


 ん?他にも引っかかって持ち上がってるぞ?


 ビーグル含め4個のぬいぐるみが中国雑技団よろしく、絶妙なバランスで穴まで動いている。


 そしてアームにヒモが引っかかってないぬいぐるみが穴に落ちた。


「やったー!ありがとう圭人!!」


 と、美波が激しく抱きついてくる。雪も雷華もテンションが上がったせいか、抱きついてきた。


 俺もゲット出来た嬉しさから三人とも抱き寄せる。


 ハっ!!と気付いて見てみると、周りの人達がガッツリこっちを見ていた。


 呪詛三人衆(今命名)も、


「何故リア充ばかり!!」

「神は死んだ!!」

「ファック!!」


 と、呪いを撒き散らして周りの人がかなりドン引きしている。


 羞恥、恐怖から抱きついてくる三人を宥め、店員を呼び出しアームに引っかかってるやつを取ってもらい、すぐにここから立ち去ろうと思ったが少し考え、俺は3人を少し待たせて呪詛三人衆の方に向かった。


 呪詛三人衆は警戒しながらも話しかけてきた。


「なっなんだよ、このリア充!!」

「俺達を馬鹿にしに来たのか!!」

「ヤンキーゴーホーム!!」


 いや、ヤンキーではないのだが…


「俺は才雅圭人。君達の名前は?」


「えっ、斎藤だけど…」

「三山だ。」

「伊東。」


 三人とも戸惑いながらも名前を教えてくれた。


「これからよろしくな。これはお近づきの印ってことで、じゃあね。」


 と、言って斎藤にクッキー詰め合わせを、伊東に萌えフィギュアを渡して俺は雪達の所に戻った。


「…あいつリア充だけどいいやつなのかもな…」


「確かにな。」


「…いいやつ。」


 呪詛三人衆は少しだけ圭人を見直していた。






 だが、呪詛三人衆は気づいていなかった。


 雪、雷華、美波が呪詛三人衆をまるで親の敵のような目で見ていたことを…


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