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俺は旅行中でも油断しない!!~1日目 その2~

「死ぬかと思った…」


 雷華と美波による無茶ぶりによりボリショイな雑技団も真っ青な渡り方を強いられてしまった。


 つり橋の端ではなくロープの上を歩くとか俺はどこの一休さんだ。


「圭人、格好良かったよ♪」


「落ちそうになったときバク宙で反対側のロープに降りた時は周りのギャラリーも拍手喝采だったわね。」


「よくないよ!!どこのカラス天狗だよ!!もう絶対にあの橋は渡らないからね!!」


「じゃあ真ん中を堂々と歩くにゃ。」


「だから俺は一休さんじゃないわ!!うぅ、疲れた体にこのブルーローズソフトクリームがしみるぜ…」


「それはただの知覚過敏にゃ。」


「身も蓋もないことを!確かに知覚過敏だけどね!!」


「そんなことより次は絶対に抜け駆けさせないんだからね、わかってるの圭人!!」


「俺に言われてもなぁ…」


「罰として圭人は私と腕を組みなさい。」


「私もだよ、圭人。しっかり腕繋いで私から離れないように。」


「私とも繋ぐにゃ!!」


「黙れ雌ネコ。ペットが人間様に指図するな。」


「悪い泥棒猫には今夜はご馳走抜きね。今夜は雷華とご馳走を食べることにしましょう。ね、圭人(ご馳走)♪」


「フシャー!!」


 俺に飛びかかろうとしている雪を雷華と美波は叩いて迎撃し、俺のソフトクリームを勝手に食べて幸せそうにしている。


 にゃにおー!!と懸命に飛びつこうとするが完全無視な上に片手間でいなされる雪。


 流石に雪が不憫に思えたが自業自得だろう。


 …ネコミミを付けつつ目をウルウルさせて上目遣いで俺を見る雪につい発作が出てム○ゴロウ状態になったのは致し方ないと言うことで。




★☆★☆★☆★☆★


 発作も収まり次に来たのは船着き場だ。


 とは言っても植物園の目の前にあるんだけどね。


 ここで遊覧船に乗り込む訳ですが少しだけアクシデント。


「ねーねー俺達と「お断りします。」」

「俺達4人「有り得ません。」」

「ここら辺、案内「あなた達より知っています。」」

「楽し「あなた達の頭の中の方が愉快だと思います。」」


 ナンパで絡んできたとは言えこんな糞味噌に言われたら流石に彼らもご立腹のようです。


「ア゛ア゛ン!!舐めてんのかこの糞アばぁぁぁぁ!?」


 わめき散らす男を雪は面倒くさそうに愛用のムチで叩くと若○節みたいに叫びつつ悶えている。


「うるさいやつにゃ。誰がこんなぬ○ぼーみたいな木偶の坊と遊ばなきゃいけないのにゃ。お前みたいな奴はマーシーと一緒にCMに出てればいいにゃ。」


「てめー、調子に乗りゃぶひゃー!?」

「このやろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛!?」


 他の2人も掴みかかろうとするが雷華のメリケン付きの拳が顔面を打ち抜かれ、美波のスタンガンによりピクピクさせられていた。


「こんな不細工に用は全くないね。て言うかこの顔は都条例に引っかかっちゃうよ。」


「折角の旅行が台無しじゃない。ムカついたから股間にスタンガン当てて種無しにして上げましょう。」


 なんとも悲惨だなこれは…あれ?もう一人はどこに行った…


「動くな、このエセチャーリー○エンジェル!!この女がどうなっても「誰が女だー!!」オァァァァ!?」


 俺の肩に手を置いてきた男を思いっきり蹴り飛ばしたら海に落ちていった。いい気味だ。 


 だが、


「派手にやりすぎた!!人が集まってきてるから一旦逃げよう!!」


「ダメにゃ、まだ叩き足りないにゃ。」


「我慢してよ、雪!!」


「もう少し待って。もうちょい殴れば都条例に引っかからない顔に出来るから。」


「そいつはもう愛と勇気が生命線のアンパン男みたいになってるから大丈夫だよ!!」


「種無しになろうよ~♪」


「長○剛の名曲を替え歌にして歌いながら股間にスタンガンを当ててないで逃げるよ!!」


 楽しい旅行の初日を警察官と一緒に過ごすのはごめん被るよ!!


 うまく逃げ切れることを祈りつつ浜風香る海岸沿いを大爆走する俺。


 そして顔がにやけているのを察するに脳内では「ハハッ☆捕まえてごらんなさ~い♪」「待てこら~♪」となっているであろう雪達はきっとこんな状況でも旅行を楽しんでいるんだろうな…





★☆★☆★☆★☆★


 逃げ切ったのはいいが遊覧船は明日に持ち越しになり前倒しで『木工の山とガラスの里美術館』に行くことになったがその前に昼食を食べることになった。


 大爆走した後だから腹も減るってもんだよな。


 と言う訳でここら辺で有名な伊勢海老が入ったラーメンを食べることにした。


 海鮮系の出汁を使ったスープはあっさりしつつもしっかり味がついていてやみつきになりそうだ。


「伊勢海老丸々一尾入っているのはすごいにゃ、それにおいしいにゃ♪」


「ホントにおいしいね♪でもさっき海岸沿い歩いてたらウニとか伊勢海老いたから取って持って帰れば今晩の夕飯は…」


「雷華、それいいアイディアね。後で取りに行きましょう。」


「ダメだからね。看板に密漁禁止って書いてたじゃないか。てか夕飯は普通に海鮮系の物が出ると思うから取らなくても大丈夫だよ。」


「じゃあこのウニは海に戻してくるにゃ。」


「雪もう取ってたの!?手を出すのが早すぎだよ、どこのプレイボーイだよ!!」


 とまぁ、騒がしくしつつも美味しい昼食を終えて『木工の山とガラスの里美術館』へとやってきた。


「綺麗なステンドグラスだね。教会みたいだよ。」


「キラキラしてて眩しいにゃ。」


「ネコちゃんはキラキラが苦手のようだね。水入りのペットボトルあるけどいる?」


「ネコじゃないにゃ!!しかもそれはあまりネコ避けに効果がないにゃ!!」


「あっ、大きい目玉みたいな模様のがあるね。家のペットが嫌がるから別のとこ見に行こうか圭人?」


「それは鳥避けにゃ!!私を何だと思ってるにゃ!!」



 にゃーにゃー言ってるの可愛いなぁと一人ほのぼのしつつ発作が出る前に雪の頭撫でつつガラスの作品や木で出来た作品を見ていく。


 ガラスできた椅子や木でできたシャンデリヤを見て、これを作った人達は随分ひねくれ者だったんだなぁと思いつつ他の普通の作品を見ていく。


 今日はガラス作り体験などがやっていないらしく残念だ。

 どれだけ残念かと言うと昔小学校でやったサンドブラストでコップに自分の好きな絵を磨り硝子みたいにする体験学習があり絵を描いていざ次の作業をとなったときにここからは職員がやってくれると言われてどうやって磨り硝子にしたのかわからぬまま後日学校でそのコップをもらった時くらい残念だ。


 余談だが絵が苦手な俺は雪達に絵を描いてもらったのだがなぜかウェディングドレスを着た人とタキシードを着た人が腕を組んでいる絵が3カ所あり、今思えばウェディングドレスの人達はきっと雪と雷華と美波だったのだと思う。だって今の雪達のまんまだったから。そして同じ様な顔したタキシードの男達は俺だったのだろう。


 そんな懐かしい記憶を掘り起こしてたせいかいつの間にか出口に着いていた。


「ここは売店になってるからお土産でも買おうか?」


「そうだにゃ。お母さんに何か買ってあげたいにゃ。」


「いいのがあればいいな~♪」


「何がいいかしら?やっぱりガラス製品?」

 雪達は思い思いに見ていく中、俺は一組のグラスに目がいった。


 多分、薩摩切子だと思うがその赤と青のグラスはペアグラスなのか同じ箱に入っている。


 うん、これにしよう。


 お土産を決めてかごの中に入れると同じくかごに物を入れた雷華がやってきた。


「圭人はどんなのしたの?ちなみに私はお皿にしたよ♪」


「俺はこのペアグラスにしたよ。ついでに俺の専用グラスも買おうかと思ってるんだけどね。」


「じゃあ私も買うからペアグラスにしようよ♪」


「いいよ。どれにする?」


「う~ん…これ!この底に漢字書いてるやつがいい!!圭人はこれね♪」


 漢字とはまた奇抜な。なになに、『絶倫』…


「おい、雷華…」


「冗談だから本気で怒らないで!!はい、これがホントのやつだよ♪」


「まったく、最初からそっちを渡せばいいのに。」


 ちなみに雷華が渡してきたのには『愛』と書かれていた。


「『愛しの』圭人に贈るなら愛の文字以外ないよね♪」


「じゃあ、雷華には…これだね。」


「なになに、『誠』…そう、そんなに圭人は私に刺されたいんだね。」


「違うよ!!誰が好き好んでNice Boatされたいんだよ!!遊覧船乗れなかったからってそれは無いぞ!!」


「じゃあなんで『誠』なの?」


「雷華にはいつも『誠実』でありたいから、だよ。ちゃんと雷華のことを見てるって、真面目に考えてるって気持ちを表してみた。…どうかな?」


「うん、100満点の解答だね♪ご褒美にキスしてあげるね♪」


「だから他の人がいる前で、んん!」


 言い切る前にキスをされてしまった。


「ん…はぁ~。ひとまずこれくらいにしておいてあげるよ♪続きは今晩、ね…」


 とか言いながら雷華はまたキスしようと唇を突き出してきたが横から出された木彫りのタコの唇とキスをさせられていた。


「雷華、あんたはタコッパチとキスしてるのがお似合いにゃ。それと圭人。雷華とだけペアな物買ってないで私とも買うにゃ。てかもう用意してるからこのお揃いの箸を買うにゃ。」


「私もお揃いのバイ…もとい電池式で面白い動きをするコケシがあるからちゃんと買ってほしいんだけど。」


「待て。雪のはいいとして美波のやつはダメだ!!その凶悪な面したコケシを何に使うんだよ!?いや、説明しなくていい。てかお揃いってことは俺に使うつもりなのか!?」


「冗談よ。流石に私もこんな凶悪なモノ使いたくないわよ。」


「よかった、俺を開発しようとするフロンティアスピリッツが働いたのかと思ったよ…」


「本当はこれ。夏もすぐ来るだろうから風鈴にしてみた。もちろん二つとも圭人の部屋につけておくからね。それと私まだ今日キスしてないな~。このままだと今晩、圭人にとっても不思議な動きをするコケシを…」


「今すぐキスさせていただきます。」


 なんでこんな人がいっぱいいる中でキスしなくてはいけないんだ!!


 旅の恥ならなんともないと思ったけど限度があるよ!!


「圭人、美波には自主的にキスするとはどういうことにゃ!私にも激しくキスするにゃ!!」


「私には濃厚なのをお願いね~♪」


 キャーキャー騒いでいたら30過ぎくらいの女の店員が顔を赤くさせながら怒り顔で「お客様!!これ以上は他の客の迷惑になるのでやめてください!!そもそも女の子同士でいちゃつくなんて…」とお説教を喰らったので物だけレジで済まして旅館に戻ることにした。


 急いだせいで斉藤達のお土産は近くにあった小さな電動コケシを買ってしまった。


 …すまない、斉藤達。これをナニに使うかはお前達が決めてくれ。

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