俺は旅行中でも油断しない!!~1日目 その1~
女装させられた挙げ句、乗務員さんに怒られて恥ずかしい思いをしたが旅行中にかいた恥などどうとでもなる。
最近恥ばかりかいてるような気もするが…気のせいと言うことにしよう。
そんなこんながあったが俺達は旅館に到着した。
特に変わった所もない普通の旅館だが少し歩けば海の入江があり反対側を向くと山も見える。自然も多く、なんとなく癒やされるような気がする。
旅館内に入り、受付をして部屋に案内してもらう。
「やっぱり和室はいいね~」
「和室は落ち着くにゃ。」
「洋室より和室の方が旅行に来たって感じになるよね。」
「饅頭一つもらうね。」
荷物を置き、畳の上をゴロゴロしてまったりした後、早速出掛けることになった。
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「ここが○山雄三ミュージアムか…感慨深いな。」
「ハッチポッチな奴に用はないにゃ。早くバラを見に行くにゃ。」
「グッ○裕三じゃない!!歌を歌う所は同じだが!!」
「この人最近カレーパンをプロデュースしたよね。」
「ぐっさ○でもない!!○山雄三から離れてるし!!」
「OK牧場の人よね?知ってるわよ。」
「それはガ○ツだ!!わかってて言ってるだろ!!」
「そんなこといいから早く行くにゃ!!」
フシャー!!と威嚇しながら俺の腕を引っ張る雪。
最初に来た所は雪がリクエストした植物園『ラブバラード』だ。
名前の通り、ラブとバラとバラードに満ち満ちている場所だ。
…なんとも安直だと思ってしまうが雑誌で見る限りではなかなか綺麗な場所だったので少し期待していたり。
ちなみに○山雄三ミュージアムはこの植物園の隣に合ったりする。そして少し気になったりする。
入場料を払い、中に入って行くと様々な花が置いてある。
その中の一つを指差しながら雪が話しかけてくる。
「圭人、この花の花言葉知ってるかにゃ?」
「ちょっとわからないな。」
「『狂乱』にゃ。」
「嘘を吐くなネコ娘。ランぽいからって『狂乱』なんて適当なことを…」
「ビョウショウラン(病照蘭、学名:yandelerun、英語:sickness shy orchid)
ラン科コチョウラン属に属する着生ランの一種。学名からヤンデレとも呼ばれる。ビョウショウランの花粉には人を興奮状にする作用があり吸い過ぎると錯乱状態になり想いを寄せる人がいるとその人が自分の物にならないと殺傷しようとする。花言葉は『狂乱』ってこんな花あるんだね~」
「これを圭人に使えば…すいません、これいくらですか?」
ナニィィィィ!?
まさかホントだったとは…てか花粉の作用がヤバすぎるだろ!!
それを平然と置いてるってここの管理はどうなってるんだよ。
学名もなんだよ走るヤンデレって。これなら確かに花言葉が『狂乱』になってもおかしくはないな。
「ほら、本当だったにゃ。私に謝るにゃ、男の娘。」
「ごめんなさい、許してください。」
「ダメにゃ。私はとても傷ついたにゃ。」
「どうしたら許してくれる?」
「…ついてくるにゃ。」
そう言うと雪は俺の手を取って歩き始めた。
しばらく歩くとつり橋が見えてきた。
そのつり橋は赤と青の板が交互についていて風に吹かれてゆらゆらしていた。
橋の前まで来て雪は立ち止まった。
「ここだにゃ。」
「この橋が何か…まさか、俺を落として…雪がビョウショウランの花粉を吸い過ぎてYANDEREに!!」
「そんな訳ないにゃ。あれは雄花が切られてるから花粉が出ないにゃ。去勢状態だにゃ。」
「そうだったんだ。でも去勢状態って…」
「そんなことよりこのまま橋を渡るにゃ。あ、圭人は青い板だけしか踏んじゃダメにゃ。」
「何だかよくわからないけどわかったよ。」
「ロープに掴まっちゃダメにゃ。」
「こんな揺れるつり橋でロープに掴まっちゃだめってなかなかハンパないね。」
「いいから行くにゃ。」
雪はズンズン先に進んで行こうとするがこんな揺れる中でロープに掴まっちゃダメでしかも青い板しか歩けないんだからなかなか進めない。
「圭人、私の好きな所はどこにゃ?」
「うわっと!!ちょっと待って、今それどころじゃ…」
「早く言うにゃ!!」
「はい!!いつも俺の事を気にかけてくれて、うぉわ!一緒にいると落ち着いた気持ちになるところです!!」
「嬉しいにゃ、圭人。圭人は料理ホントは私より上手なのにいつも美味しいって言って食べてくれて、私が傷つかないように一緒に料理するときは私に合わせてくれる優しい気遣いが出来る所が好きだにゃ。」
「バレてた!!見透かされてるのは流石に看過できな、ウィィィ!!」
揺れすぎだろ、このつり橋!!
「圭人、今はハ○センのマネをする時じゃない、にゃー!!」
流石の雪でもこの揺れにはバランスが取れなかったのか後ろに倒れそうになったので抱き抱えた。所謂お姫様抱っこ、ハネムーンキャリーとも言う格好だ。
「大丈夫、雪?」
「…このまま橋を渡って欲しいにゃ。」
「了解さん。この方が渡りやすいしね。」
ふらつきながらもつり橋をなんとか渡り切った。
「ふぅ~なんとか渡り切ったけど、このつり橋は何か意味が…」
言い終わる前に雪が俺に軽くキスをしてきた。
「こらっ、人前でキスをするなと唇がふやけるほど言ったはず…」
「オォォォォ!!渡り切っちゃったよあのカップル!!」
「今年初めて渡り切ったカップルじゃないかしら?」
「でも渡り切ったカップルが百合っ子だなんて…濡れる!!」
いやはや、どうなっているんだ?
「雪、これは何なんだ?」
「このつり橋は『ラブブリッジ』って言ってこの橋を渡り切れた男女は結ばれるって言われてるにゃ。ただ、渡り方があって手を繋いで男は青、女は赤の板しか踏まないでかつ、ロープに掴まらないでお互いの好きな所を言い合わなきゃダメなんだよ。」
「よく俺達渡り切れたな…てか、俺女装しっぱなしだから百合カップルだと思われちゃってるよ!!」
「構わないにゃ。他の有象無象のことなんて興味ないにゃ。そんなことより右手を出すにゃ。」
言われるがままに右手を出すと雪は俺の右手に左手をくっつけてその上にスタンプを押した。
手の甲には半分のハートがついている。
「これで私達は橋を渡り切ったベストカップルにゃ♪」
雪が抱きついてさらに周りのギャラリーが盛り上がり、ワーワーキャーキャー言ってはやし立てる中、一部不穏な空気 が流れているところが合ったので見てみると、そこにはレイプ目な雷華と美波がいた。
さっきまでワーワーキャーキャー言っていたギャラリーは少しずつザワザワ、ザワザワとなりそれは周りに伝播していき完全なるザワザワタイムになってしまった。
「雪、いつも抜け駆けするなと言ってるのにまだわからないの?パンみたいにスカスカな頭じゃ理解できないのかな?」
「雪程度じゃ普通渡るしか出来ないでしょうけど私と圭人ならもっと難易度が高くても渡りきれるわよ。」
そうして始まった圭人サーカスは植物園『ラブバラード』で伝説となった。




