俺は体育祭を楽しめない!!~騎馬戦~
俺達親子が激しい羞恥プレイを強いられた父兄借り物競争が終わり、体育祭のメインである騎馬戦が始まった。
騎馬戦の説明はいらないよな?
みんな知ってるだろうし。
えっ?父兄借り物競争の後どうなったか知りたいって?
そんなのわかりきってるだろ?
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「もう二度と女装しない…」
「圭人、次はメイド服を着てみよっか♪」
「圭人ならドレス着せれば超きれいになると思うよ♪」
「圭人、もう体育祭なんてサボってデートに行こ、もちろん、あのゴスロリ着てね♪」
どうやら雪達は俺の女装姿に御執心らしいです。
「…もしまた着せたらご褒美あげない。」
えぇ~!!と3人仲良くハモってくれる。
可愛いからつい頭を撫でようと手を上げて、気付いた。
なんかみんな見てるんですけど…
流石にこれ以上目立つのはマズいよな。よし、やめよう!!
そう思って手を下ろしたらポンッと柔らかく、サラサラした手触りが。
見てみたら雷華がわざわざ頭を下げて手の落下位置に持ってきていた。
しかも頭を動かして俺の手を撫でてくる。
「ふぁ~、気持ちいいよ圭人♪」
「雷華だけズルい、私も!!」
「私の頭も撫でて、圭人♪」
「いや、待ってくれ。俺はこれ以上目立ちたくないんだ。だから少しだけ自重してくれ。」
「今更だよ、圭人。多分この学校の生徒もその親も先生方も圭人のこと知らない人なんていないよ。」
「それに私達のことも知らない人いないだろうからどんなに圭人が目立たないように振る舞っても周りの人は放っておかないよ。」
「だから圭人は堂々と私とイチャイチャしてればいいんだよ。」
「そっか、今更なら仕方ないよな。じゃあ遠慮なくイチャイチャ…てするかー!!」
「圭人のノリツッコミ初めて見た!!」
「レアだね!!録音しとけばよかったなぁ。」
「次からは体育祭でもボイスレコーダー持ち歩かなきゃね!!」
「仕方なくないよ!!遠慮するよ!!イチャイチャしないよ!!俺はちゃんと人目を憚る男だからな!!」
俺はそう言い切ったが手は雪達の頭を撫でていた。
もちろん周りにいる奴らは呆れた顔をしていたがそんな顔など俺は一切見ていなかった
雪達の顔見てた方が有益だしね。
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雪達が係の交代に行ったので一人で騎馬戦を見ていると風雅院が隣に座って話しかけてきた。
「圭人君は騎馬戦に出ないの?」
「俺は借り物競争だけしかでないので。風雅院さんの方はいいんですか、こんな所で油売ってて?」
「基本、実行委員がやるから私は今ヒマなのよ。さっきあの子達が係の交代してたの見たけど圭人君は係交代しないの?」
「本当は父兄借り物競争の時の係だったんですけどねぇ…」
「あぁ、応援合戦にでてたもんね。圭人君、かなり可愛かったわよ♪」
「やめて下さいよ、あれは俺の黒歴史なんですから。」
「圭人君達がでた途端に審査してた先生方や生徒が興奮して大変だったんだから。ちなみに圭人君は男女問わず人気が高かったわよ。」
「さいですか…」
「ところで圭人君。そろそろその他人行儀なしゃべり方をどうにかして欲しいんだけど。」
「他人行儀って風雅院さんとは…」
「それ!!その風雅院さんってやつをやめて欲しいわ。ちゃんと愛理って呼んで。」
「いやいや、年上で先輩な方にそんな馴れ馴れしく喋れないですよ。」
「いいじゃない、私と圭人君は親戚同士なんだし。」
「無理な物は無理です。」
「じゃあせめて名前で呼んで。ダメ、かな?」
そう言いながら顔を近づけながら上目遣いで俺を見てくる。
学校の中で一番綺麗だと評されるその整った顔を俺に向けその潤んだ瞳はほとんどの人の庇護欲を掻き立てられずにはいられないだろう。
そんな風に見つめられてしまった俺は言った。
「無理です。」
「「「「ハァァァァッッッッ!?」」」」
いきなり周りから一斉に放たれた言葉に俺と風雅院は驚いて周りを見渡した。
「なんであと10cm顔を近づけたらキス出来るような状態なのにそんな答えが出るんだ!!」
「あんな綺麗な人に上目遣いでウルウルした目で見られて平然と拒絶するやつなんて男じゃねぇ!!」
「死ぬ、このED野郎!!」
出るわ出るわ罵詈雑言。毎度のことだけど結構傷つくんですよ?
でも今はそんな奴らなどどうでもいい。
俺は風雅院さんを見てハッキリと言った。
「俺が名前で呼ぶ異性は雪達だけです。」
「私はどうしてダメなの?」
「…俺のことが好きだからですよ。俺には雪達がいるから他の人は余計なんです。雪達の中から一人を選ぶこと知っているでしょ?」
「それでも私は圭人君がいいの。圭人君じゃなきゃ嫌なの。」
「俺は風雅院さんの気持ちには永遠に答えられないんですよ?そんなの辛いだけですよ?そんな辛い思いをするなら他の人を好きになった方が…」
「嫌!!私はあなたがいいの!!他の誰でもない、あなたが好きなの!!」
「でも…」
「お願い、私の気持ちに応えてくれなくてもいいからあなたを好きでいさせて!!
私の気持ちが簡単に他の人に移るような物だと思わないで…」
そう言うと風雅院さんの目から涙が溢れ出していた。
それでも俺の目を逸らさず見つめて離さない。
…本当、思わずにはいられないね。
なんで俺なんかがいいんだろう?
俺は普通の男子高校生だと自負している。
成績も少し良いくらいだし、運動もそこそこ、性格なんて言ったら酷いもんだよ?
だって雪達以外のことなんて対して興味ないし、何かあったてしても他の人を見捨てて雪達だけしか助けないと断言出来る。
こんな奴を好きになっても嫌な思いをするだけなのにどうしてあんな風に言えるのか全くわからない。
でも、何故だかわからないけど、なんでかわからないけど、どうしてかわからないけど、俺はいつの間にか風雅院さんの頭を撫でながら言っていた。
「ごめんね、愛理ちゃん。僕には好きな子がいるから。」
「えっ?圭人君、今名前…」
風雅院さんは驚いたように俺を見つめる。
でも一番驚いているのは俺の方だ。
なんで俺は風雅院さんのことを愛理ちゃんなんて呼んだのだろう?
とりあえず俺は風雅院さんの頭から手を離した。風雅院さんはあっと言って残念そうにしていた。
気づいたらお互い無言で見つめ合っている状態だった。
何か気まずいような気がしたから何か言おうと思った時、後ろからもの凄いプレッシャーを感じた。
後ろに確実に何かいる!!
だって周りに見える人が俺の後ろを見ながら後退って行くんだもの。
「私がいない間に何勝手に圭人と話してるの?ふざけてるの?死ぬの?
それと、圭人。今すぐ私とキスしなさい。」
「途中から見てたけど圭人の手をその薄汚い頭で触れるなんて有り得ないんですけど。圭人、後でよく石鹸で手を洗った後私の頭を撫でなさい。」
「とりあえず、圭人は今日寝かさないからそのつもりで。」
いや~何やらかなり私利私欲をぶちまけて来やがりますねぇ~…
後ろに気をとられていていたせいでいつの間にか風雅院さんにキスされた。
でもそのキスは軽く触れる程度のものだった。
風雅院さんが前キスしてきたときはブチュ~て感じだったからかなり驚いて風雅院さんの顔を見ると真っ赤になっていてすごく恥ずかしがっていた。
…何でだろう、何で今俺の発作が出掛かっているのだろう…
俺がプルプルと小刻みに震えていると顔をグイッと左に向けられ、雪が吸いつくようにキスしてきた。
さっきの風雅院さんのキスとは180°違うねっとりとしたディープでフレンチなキスだった。
いきなりだったから呼吸が続かなくなってきたので優しくも無理矢理唇を離した。
「ハァーハァー…」
「物足りないけどひとまずはこれである程度消毒出来たわね。」
「ふぅー…不満そうな所悪いですが雪さん、めちゃくちゃやりすぎです。周りの人を見てくれよ。目剥き出しで驚いちゃってるじゃないか。それに風雅院さんもいきなりキ、んっっっー!!」
言ってる途中から雷華がキスしてきた。
だからいきなりやると呼吸が続かないって!!
唇に吸いつきながらも舌に舌を絡めて離れまいとする雷華を優しくも少し強めに無理矢理引き剥がした。
「ハァー、ハァー、ハァー…」
「圭人、この際しょうがないから今すぐ頭を撫でなさい。」
「雷華、呼吸が整ってない状態のディープキスは死に直結するから自重…美波、何で腕を組んで立たせるの?何でそんな餓えた野獣のような目をしてるの?どうして走り出すのー!!」
美波は俺の腕を取りながらなのにまるでトップスピードの時のように走り出した。
「圭人、私はもう限界だから圭人を食べることに決めました!!1人を選ぶとかもうどうでもいいわ!!」
「俺の意志は無視ですかって聞いてないし!!」
「待ちなさい、圭人!!まだ終わってないわよ!!」
「私の頭を撫でないまま逃げるなんてそんなこと出来るわけないよ!!」
美波が俺を連れ暴走するのを雪と雷華が追って走りだす。
その姿を呆然と見る観衆。
そして顔を赤くしながらぼーっとしている風雅院さん。
俺はこの後どうなってしまうのだろう。
1人を決めぬまま大人の階段登ってシンデレラのままでいられなくなるのだろうか…
えっ?騎馬戦がどうなったかって?
そんなん知るか!!




