俺は体育祭を楽しめない!!~昼休み、鬼ごっこ~
全校生徒、教師、父兄の方々の前で告白紛いなことをしでかしてしまった俺は色んな感情がごちゃ混ぜになった視線と至る所から響き渡る呪詛の声を受け戦々恐々としていた。
てか斎藤達が、
「気持ちが全然足りん!!」
「そんなんじゃ憎い相手には届かんぞ!!」
「これくらいやらんか!!キョエー!!」
と俺に呪詛を送る奴らにアドバイスをしている。
もしかして、斎藤達は今だに俺へ呪詛を送り続けているのか?
そうだとしたらあまりにも恐ろしい奴らだ。呪詛三人衆は伊達じゃない。
背中や首筋に冷たさを感じつつも午前中の部は終了し昼休みになった。
俺に呪詛を送るのを止めさせ(送っていた奴らは雪達に始末されました。南無南無。)斎藤達を引き連れつつ父さん達の所まで来た。
「さっき言った友達を連れてきたよ。左から斎藤、三山、伊東。」
「…初めまして。斎藤です。」
「…三山です。すみません、昼食ご一緒させてもらって。」
「…伊東です。昼食をご馳走してもらう代わりにさっき取った写真をプリントアウトしてきたんで是非見てください。」
「初めまして、圭人の父の雅人です。圭人とは仲良くやって下さい。」
父さんすごく嬉しそうな顔してるなぁ。
俺が初めて友達連れてきたのがそんなに嬉しいのかな?
「それと、父さんの左にいるのが俺の母さんで右にいるのが雪のお母さん。父さんの後ろから抱きついてるのが美波のお母さんで膝の上に乗ってるのが雷華のお母さんだよ。」
「最初から思ってたけどこの状況、ツッコめるところがたくさんありすぎるんだが…」
「父さん達はいつもこんな感じだから気にしないで大丈夫だ。」
「お前達はいいとしても流石に周りの目は気にした方がいいと思うぞ…」
「それも大丈夫。周りの人達は随分前に諦めてるから。」
「血の繋がりをこれほどまでに目の当たりにしたのは初めてだ…」
斎藤達は呆然としている。これくらいで驚いてたら身が持たんぞ、三人とも。
「そんな事より昼飯にしようよ。斎藤達も座って。」
斎藤達は呆然としながらもレジャーシートの上に座る。
さて、俺も座るかな。
俺が座ると同時に右に雪、左に美波、膝の上に雷華が座った。
「才雅、お前はある意味大物だよ…」
「そんなに自然にやられたら俺達がおかしいんじゃないかと錯覚してしまいそうだ…」
「この親にしてこの子あり、だな…」
三人とも変な奴だな、何をそんなに驚いているんだ?
☆★☆★☆★☆★☆
「「「「はい、あなた(雅人)アーン♪」」」」
「「「圭人、アーン♪」」」
「「「「「ふざけんな、バカ親子!!」」」」」
父兄観覧席は男達の怒りと憎しみに震えた。
「いきなり何ですか、食事中に!?」
「ていうか何でこんなに人が集まってるの!?」
父さんも俺も慌てふためく。
一体何が起きてるんだ!?
「競技中に見せつけてきやがったと思ったら食事中にも見せつけてくるなんてどういうつもりなんだ!!」
「モテない俺達をそんなに見下したいのか!!」
「親がそんなんで一体誰が躾られるんですか!!」
「そんな傍若無人な態度が許されると思っているのか!!」
「誰か『ヒリア』呼んでこい!!こいつらは悪しきリア充だ!!」
「ファッキンサノバビッチ!!」
「何だ、騒がしいな…ウホッいい親子。や ら な い か」
前は生徒だけだったが今回はその父親達まで混ざっている。
恐ろしいほど周りはカオスな状態になっていて収集がつかなくなっている。
特にその中に紛れ込んでいる青ツナギが恐ろしく、無意識に美波を抱き寄せてしまったくらいだ。それが更にカオスな状態を悪化させてしまう始末…
誰か『ヒリア』じゃなくて警察を呼んで!!
俺と父さんは命やら貞操やらの危機にブルッてるのに母さん達も雪達も気にしてないのかお弁当を食べさせようとしてくる。
たぶん傍若無人って言うのは母さん達や雪達のことを言うんだと思う。
ジリジリと近付いてくる哀しき戦士達に色んな物を諦めたかけた時、誰かが言った。
「何でお前らみたいなモヤシな奴らがモテるんだよ!!死ね!!」
この言葉に今まで意識すらしてなかった母さん達、雪達は反応した。
「今うちの人を馬鹿にしたのは誰かしら?」
「雅人に対して死ね?ここにいる人達はそんなに死にたいのかしら?」
「コソコソ隠れて罵倒しかできないクズが雅人をモヤシ扱いだなんて笑わせるわね。」
「もしもし、今流雲高校にいる人達のリスト作っておいて、後で必要になるから。」
「圭人を侮辱する奴は一度死んだ方がいいわね。うん、それがいい。」
「人がイチャついてるときに邪魔するなんて…アイアンメイデンに入れてマリアナ海溝に沈めないと気が済まないね。」
「圭人を馬鹿にした奴を早く出しなさい。今ならそいつだけ看板の代わりに全裸で吊してあげるから。」
母さん達も雪達ももの凄い怒っていて周りにいる哀しき戦士達はビビりまくっている。きっと死神のように見えていることだろう。
そんな殺気の中心にいるせいで俺や父さんも震えが止まらない。
何を勘違いしたのか雪達は大丈夫だよっていいながら頭やら顔やら撫でてくる。父さんも概ねそんな感じ。
ちなみに斎藤達は既に気を失っている。
無言で立ち上がった母さん達と雪達の手にはムチやらメリケンサックやらスタンロッドやら、やらやら。
そうして母さんが一言、言う。
「これから体育祭昼休みの部、『鬼ごっこ』を始めます。全員逃がさないのでそのつもりで。」
こうして哀しき戦『死』達と疾風のごとき死神との命を賭けた『鬼ごっこ』が始まった。
この出来事が後に体育祭の裏競技『鬼ごっこ』として伝わることとなる。
その光景を見た人達は美しい鬼が醜い豚を狩る姿を連想し、その光景にインスピレーションを受けた人が速攻で描いた看板が飛び入りで立てられ看板作りで一番を取ったのは言うまでもない。




