俺はそんな奴の事など知らない!!
家路を急ぐ1人の女子高生がいた。
彼女は部活が長引いたので早く家に帰りたかった。
早足で道を進むとくるぶしまで届きそうなコートを着た人が前にいた。
顔は帽子を目深に被っているのと周りの暗さからわからないが何だかいやな感じがするのを感じた彼女はなるべく男から離れて突っ切ろうと歩く。
「君、ちょっと待って…」
つい立ち止まって何ですか?と聞いてしまった。
コートを着た人の表情はわからないのに笑った気がした…
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「おい、聞いたか才雅!!」
「いきなり何の話しだ、斎藤?」
「昨日この近くで変質者が出たらしいぞ!!」
「へぇ~もうそういう季節かぁ。」
「何でしんみりしてるんだよ!!」
「だって春と秋頃に変質者が出始めるのは毎年のことじゃん。過ごしやすい季節になるとそういう変態の活動が活発化するのは春に目覚めてくるカエルや虫とかと一緒。」
「でも近くにいるんだぜ、変質者。」
「俺は直接被害を受けないならどうでもいいよ。そういうの警察の役目だし。」
「味気ねぇなぁ。」
「無味無臭が俺の特徴だからな。」
「お前の周りの奴が大味で特殊な匂いさせてるのにお前が無味無臭な訳がないだろ。一番有味有臭だっつーの。」
「失敬な。俺は普通だ。」
「そう思ってるのはお前だけだって。」
「何の話ししてるの、圭人?」
やっぱり友達と話してると気になるんだね、雪達も。
「昨日変質者がこの近くに出たんだって。」
「あら、もうそんな季節なのね。」
「何でおまえ達は変質者を旬の味覚みたいに言うんだよ!!」
「だって変質者って春…」
「その話しは聞いた!!」
斎藤も雪にこれだけツッコめるなんてだいぶ慣れたんだな。いいことだ。
「ちなみに変質者ってどんな感じの奴なの?」
「話によるとくるぶし近くまであるコートを着て、顔は帽子を目深に被って見えなかったらしい。で、そいつは被害者の女の子を呼び止めて急にコートの前を開けて『俺のエクスカリバーを見ろ!!』て言って下半身を見せつけるらしい。」
「一般的な変質者だね。」
「しかも逃げた女の子を『エクスカリバー!エクスカリバー!』て言いながら追ってくるらしい。」
「エクスカリバーなんて大言壮語しすぎよ。見せるだけの価値なんてあるのかしら?」
「そうだよね。どうせエクスカリバーじゃなくてフェンシングのエペなんでしょうけど。」
「そのエペ山さんはどんなにマックスになってもエペ山さんなんでしょうね。」
あまりにも辛辣な言葉に俺はエペ山さんを哀れに思ってしまう。
雪達に出会わないことを切に願う。
「ま、犯人の目星はついているんだけどね。」
「マジか!てか嘘だろ!!」
「目星なだけで犯人だなんて言ってないよ。」
「確かに言ってないけど、犯人をある程度特定してることが有り得ないだろ?」
「いや、出来る。お前も考えればわかるはずだ。」
「俺でもわかるのか?」
「俺達ならわかる。考えてもみろ。この近くに現れて、しかも執拗なまでに自分のジョニーを見せたがる粘着性。しかも自分の存在をわからなくしている隠密性…」
「まさか…!!」
「そう、この手口は…」
《大変、訓練された変態の犯行だ!!》
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「と言う訳で早く自首させてください。」
「いきなり何の話し?」
俺達が来たのは生徒会室。もちろん風雅院さんだけしかいないことは確認済みだ。
「しらばっくれても無意味です。最近現れた変質者は風雅院さんの信者達の誰かと言うのはわかっているんですから。」
「そんなのいち早く調べたわよ。この前信者にストーカーがいたってこともあったからとりあえず校内の信者は取り調べを受けてもらったわ。」
「結果は?」
「全員、白よ。別件で黒の人もいたけど。」
別件って他に問題を起こしている変態がいるのか?
「取りあえず白ってことでいいんですね?」
「そうよ?でも、勝手に疑いをかけておいて何も無しって訳じゃないわよね?」
「うっ…疑ってすみませんでした。」
「許してほしい?」
「まぁ、はい。」
「じゃあ私の物になりなさい。そしたら許してあげる。」
「お断りします。」
「あら?許してもらうには破格の値段だと思うけど?逆に泣いて喜ぶ所だと思うわよ。」
「圭人、こんな奴に許してもらう事ないよ。第一、こいつの手下どもは変態しかいないんだから疑われても甘んじて受け入れるべきなのよ。」
「変態のリーダーなんて所詮、キチなんだから気にする必要すらないよ。」
「私の物とかどの口が言ってるのやら。圭人は私を選ぶんだからあんたが出てくる幕はないのよ。」
「美波はいつも妄想しかしてないからしょうがないにしても圭人は私のことが好きだからもうすでに選んでるようなものよね。」
「雪も美波も間違い、勘違い、キチガイの3拍子が揃っちゃってるから質が悪いわ。圭人を一番愛してやまない私が選ばれてるのは自明の理でしょうに。」
雪達と風雅院さんはメンチを切り合いながら火花をチラシまくっている。
俺はそっと扉を開けて外に出て教室を目指す。
それにしても犯人が『ヒリア』にいないなら完全にわからなくなった。
ま、変態なんて掃いて捨てるほどいるからな。
歩いていると後ろから「「「「圭人(君)、逃げるなー!!」」」」と言う声が聞こえたので苦笑しつつ逃走を始める。
あれに関わると確実にろくな事にならないのは目に見えているからね。
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次の日、また変質者が出たらしくHRの時にドテチ○が注意を呼びかけていた。
ぶっちゃけド○チンが犯人じゃないのかと思ってしまう今日この頃。
「才雅、変質者が連続で出てくるっておかしくないか?」
「斎藤、何でそんなに探偵みたいなことがしたいんだ?江南君になりたいのか?」
「確かに、オツムはガキでカラダは大人なんてまんまよね。」
「逆だよ!!しかも江南君になりたい訳でもないし!!」
「朝から元気だねぇ~。ほら、子供に戻れるかもしれないウィスキーボンボンをあげるから落ち着きなよ。」
「あら、今日は蝶ネクタイに短パン、サスペンダーはつけてないのかしら?」
「だから江南君じゃねぇから!!半蔵君の方でも解凍吉都の方でもないからな!!」
「斎藤、いいように遊ばれてるな…」
「哀れだ…」
三山、伊東は憐れむ目を斎藤に向けている。助けに入らないのは飛び火を恐れてるからだろう。
「エペ山さんがまた出たとしても人が殺されたりしてるわけじゃないからそんなに警戒する必要はないだろうに。」
「そうだけど、伏見とかが襲われたらとか考えないのか?」
「いつも一緒なのにそんな心配するほうがおかしいだろ。」
「いつも一緒って…まぁ、お前らは4人1セットだからな。」
「それに…」
「変質者に遭遇しても撃退するくらい余裕よ。」
「ボコボコにして警察に突き出すくらいはしないとね。」
「スタンロッドを食らわせればすぐに大人しくなるし。」
「な、頼もしい子達だから心配いらないだろ?」
「俺には怖すぎるわ…」
と、こんな軽い感じで受けとめていたんだけど事態は急変した。
俺にとっては最悪の形として…




