俺は部活に入らない!!~唯前美波編~
さて、今日は美波と部活見学だ。
廊下を歩くとみんなの目線も訝しむものから殺意へとランクアップしている。
「なぜ…なぜ奴ばかり…」
「呪いじゃ無理ならちょっとリア充を毒殺出来るものを作ってくる。」
「あれくらい、男の甲斐性だろ。」
…ドテ○ン、すまん。昨日、ドテチ○の高校の時の同級生である山岡先生に話し聞いたら、
「そんな事実は確認されてない。と、言うかお前はあの顔で女が寄ってくると思うか?」
て、逆に質問されちゃったよ…
○テチンに寂寞とした思いを抱き、涙がこぼれないように天井を仰ぎ見る。
「どうしたの、圭人?なんで涙を堪えてるの?」
「余りにも不憫に思う人がいてな…」
「??とりあえず、部活見学行こうよ。まだ決めてないから一緒に決めて。」
「…そうだな。」
涙を拭い、哀れな類人猿に幸せが来ることを切に願い、美波と一緒に部活の一覧を見る。
見れば見るほど変な部活が出て来ること。
橋田壽賀○研究会を筆頭に、ジャンケン必勝同好会、ウーパールーパー観察同好会、ミリタリー同好会などなど。
ん?一番最後のヒリアってどんな部活だ?打ち間違いか何かか?
まぁ、この一覧も新聞部が作って配布したものだから打ち間違えてしまったんだろう。
「美波、決まった?」
「う~ん、B級映画研究会なんて興味あるんだけど、ちょっとなぁ~。」
「穴場探索部みたいな部活があれば美波にちょうどよかったんだけどね。」
「それなら興味あるわ。ま、あっても無くてもここの近くの穴場は探しまくるけどね!」
「美波は散策とか好きだからね。」
「そうよ。新しい発見をするとテンション上がるもんね♪」
そう言いながら手で双眼鏡を作り俺を見る。
「確かにテンション上がるよな。」
俺も手で双眼鏡を作り、美波の双眼鏡とくっつけて美波の目を見る。
目を見ること数秒。お互いバカらしくなって笑いながら双眼鏡を外す。
「何か新しい発見は出来たかい、美波?」
「そうだね…あっ、唇荒れてるよ。」
「マジで。今日リップクリーム持ってきてないなぁ。」
「私が塗ってあげるわ。」
「大丈夫だよ、自分で塗るから貸して。」
「いいから、いいから。さ、塗るから唇出して。」
「しょうがないなぁ。」
俺は少し屈んで顔を出す。
美波はリップクリームを取り出すと自分の唇に塗った。
何だ、アーンして口を開けたとこを自分で食べるみたい事がしたかったのか。
まぁ、多少唇が荒れてても問題ないしな。
そう思ってると美波はニッと笑ってキスしてきた。お互いの唇をすり合わせるように激しく強く。しかも舌まで入れてきた。
思考回路はショート寸前だったが、ハッとなって唇を離す。離そうとする。
だが美波は唇に吸い付いてきてなかなか外せない。どんな吸引力なんだよ。ダ○ソン並じゃないのか?
吸引力の違う、ただ一つの美波を見せつけた美波は満足したのか離してくれた。
「これで大丈夫だね。」
美波は妖艶に笑う。
雪はネコ、雷華は子犬に例えたが美波の場合はキツネだな。
いつだって俺を惑わす妖しくも艶やかなキツネ。
美波に見とれていたが不穏な空気にまたもやハッとなり周りを見る。
口元に手をやって顔を真っ赤にしている女子。怒りと憎しみを込めた瞳で俺を見る男子。
口元に手をやり顔真っ赤にして、
「うほっ、いい男」
と、言っている青いツナギを着た男。
俺は瞬時に危険を察知して美波の手を取り走り出す。
これはヤバい。かなりヤバい。とにかくヤヴァい。
何がヤバいかって?
周りの男子からの殺意、憎悪、嫉妬しかない視線も女子からの軽蔑、侮蔑、興味などの視線もそうだが一番ヤヴァいのはそう、青いツナギの男だ!!
奴は俺達(恐らく標的は俺(泣))を追ってきて、
「や ら な い か」
とかいいながら猛スピードで迫ってきている。
今の俺は多分恐怖に顔を歪め、泣きながら走ってることだろう。
だってこんなに怖い事ってないだろ!?
しかも通行人の人達の会話をチラッと聞いたが、
「またあいついい男見つけたのか。」
「あいつ、ノンケだろうが平気で食っちまう男だからな。」
「人喰い熊と一緒なんだよ。女喰ったら女、男喰ったら男、ノンケ食ったらノンケばかり喰いやがる。」
なんでそんな危険な奴を校内で放置してるんだよ、この学校!!
とにかく奴を撒かないと俺がとんでもないことになる!!
俺は今日、この学校における特A級の危険人物の顔と声を記憶に刻み込んだ。
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心に大きな傷を付けつつ貞操からがら逃げ切った。
まさか学校の外まで追ってくるとは思わなかった。
途中、公園のトイレに逃げ込もうと思ったが、何となくそこから危険なフラグの匂いを感じたんでそのまま走った。
前の手紙の一件で危険なフラグを察知する術を得ていた甲斐があった。
伊達にnice boatになりかけた俺じゃない!!
何とか撒いて公園のベンチに座り込み息を整える。
美波も荒く息を吐きながらベンチに座り込んでいた。
ある程度息が整うと涙が出てきた。
本当によかった!本っ当によかった!!
泣いている俺を見て、美波は俺の顔を自分の胸にうずめさせ頭を撫でつつ、
「よしよし、怖かったね~。」
と、言ってくれる。
安心したのと頭を撫でてもらって落ち着いて来たせいか更に涙が出た。
他の人が見たらどんな状況に見えるんだろうと思いつつも、今は柔らかくも温かい二つの膨らみを感じて安心を得たかった。
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「ありがとう、すごく落ち着いたよ…」
「まだダメージ残ってそうだけど大丈夫?」
「大丈夫、問題ない。それにしてもここってどこだろう?」
「私も今どこにいるかわからないんだよね。」
「ちょっとケータイで調べて見る…げっ、隣町まで来てる…」
「わっ、本当だ!!そんなに走ってたのね。」
「とりあえず家に帰ろう。金はあるからタクシーを捕まえて…」
「ちょっと待った!!」
「え、何?」
「今から穴場探索部の活動を開始する!!圭人副部長は私と共に穴場を探索せよ!!」
俺はぽかんとしていたが、美波の意図を察してニヤッと笑いながら応える。
「了解です、美波部長」
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俺達は隣町を探索し始めた。
閑静な商店街、見た目も古い古本屋、紅茶のおいしい喫茶店、どこか懐かしい匂いのする駄菓子屋。
今まで知らなかった新しい場所を探索するたった2人の部員。
こういう部活なら入ってもいいよなと思いつつ、野良猫を撫で回している美波を見る。
本当に楽しそうな美波。
美波には部活見学するよりもこっちの方がよかったんだなと思った。怪我の功名とはまさにこのこと。
大っきな怪我だったけどね…
ある程度散策したあと、クレープの屋台があったので俺はバナナ、美波はイチゴのクレープを買ってさっきの公園で食べることにした。
ベンチに座ってクレープを食べつつ、ふと思いついたので美波に話しかける。
「美波のイチゴちょっと食わせてよ。」
「いいよ、はい。」
美波はクレープを持ってはい、アーンのポーズをする。
俺はその手をそっとどけて美波の唇に俺の唇を押し当てる。
さっきやられたことを忘れた訳じゃないのでそのお返しに激しく強くキスをする。
美波は驚いていたがすぐに受け入れていた。
俺は唇をそっと離した。
「イチゴ、おいしいね。」
「…うん。」
美波は顔を真っ赤にして俯きながら応える。
美波は攻撃力に特化していて防御力がザルだ。
だからこういうのにすごく弱い。
この時の美波はすごく可愛い。今までの姿とのギャップでかなりのインパクトがある。布団の上なら確実に押し倒しちゃってるな。たぶん。
お返しが成功して勝った気分になってると美波がニヤァと笑っている。
…少し嫌な予感がする。
「私も圭人のバナナ食べたいな。圭人もイチゴ食べたんだからいいでしょ?」
「ぃゃ~それはちょっと~。」
「ダメ、早く差し出しなさい。」
あまりの迫力にジョニーがビビって縮こまっちまったぜ…
美波さん、調子に乗ってすみませんでした!!




