出会い
呉羽夏音との出会いは、小学3年生のときだった。 きっかけは彼が転入してきたことだった。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「今日からみんなのお友達になる呉羽夏音くんです。みんな仲良くしましょう。」
くれは、かのん。 いい名前だ。 彼はどんな人なのだろうか。 「夏音くん一言どうぞ。」
「えっと、これからよろしくお願いします。」
彼がそういうと、教室からは拍手が一斉になりだした。 女の子みたいに綺麗な声だな・・・。「紫苑くんっ!ぼ〜っとしてどうしたの?」
と、言ってきたのは、二条姫香。 僕の幼馴染みだ。 「え、そうだった?」
僕が間の抜けた返事をすると、クスクスと笑いだしてしまった。 「姫ちゃん、笑わないでよう!」
恥ずかしくなったから、途端に声を出してしまった。 しかも、すごく情けない。 それを聞いた姫香は今度は爆笑。 「姫香ちゃ〜ん、何笑ってるのかな・・・?」
・・・先生に見つかってしまった。 「先生すいません〜」
でも姫ちゃんは素直なのですぐ謝った。 「今度から静かにしなきゃダメよ?」
「はぁい・・・」
姫ちゃんの声、心無しかしょんぼりしてる。
「姫ちゃん、ごめんね?」
気になって声をかけた。 「ううん、紫苑くんはわるくないよ。」やっぱり姫香が悲しんでいるところはみたくない。 守ってやりたい。 僕にとって姫香はとても大切な人だ・・・。僕は・・・姫香が好きだ。そんなことを思っていると、授業終了のチャイムが鳴った。 もう少しこのままでいると、僕のほうに向かって来ている足音が聞こえた。 「君が、春野紫苑くん?」
この声は・・・夏音くん? 「うん、そうだよ。どうかしたの?」
「先生が紫苑くんが一番僕の家に近いよって教えてくれたんだ。だから一緒に帰ろう?」
思ってもみなかった。 「あ、やっぱりダメかな・・・?」
「そんなわけないよ。僕も夏音くんの事知りたいし・・・」
「ホント!?ありがとう!」
それから僕らは仲良くなっていった。